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お正月飾りを見かけると、新しい年がくることを実感する人は多いでしょう。ご家庭だけでなく、企業でもお正月飾りを飾っているところも多いと思います。お正月飾りは見栄えのためだけに飾るわけではなく、新年を迎えるうえで重要な深い意味が込められています。お正月飾りの基本的な情報や飾り方について理解を深めましょう。この記事ではお正月飾りをする期間、意味や作り方などを解説していきます!
お正月飾りの基本
お正月飾りを使う期間は、地方によって異なります。社会人として覚えておきたい、飾りつけのルールをチェックしましょう。
飾りつけをする期間は?
お正月の飾りつけをするのは、基本『松の内』までといった考え方がありますが、地方によって期間が違います。関東は『1月7日』まで、関西は『1月15日』までです。
昔の日本は地方によって松の内が異なるということはなく、皆が同じ15日に正月の飾りを外していました。
『1月20日』ごろには鏡開きをしていましたが、江戸時代に時の将軍・徳川家光が亡くなった日が4月20日だったため、20日が月命日に変わります。
「めでたい行事と命日を一緒にすることはできない」という考えから、行事を前倒しするようになりました。また、当時の江戸の街は火事が多かったため、よく燃える松は早めに片付けようとする流れもおこります。
関東では幕府の定めた『大正月』の7日までを『松七日』として、門松などの正月飾りを飾る期間に定めました。
飾りは来年も使える?
しめ縄に使用される藁や門松に使用される竹は自然の素材で、時間が経つと傷んでしまいます。
来年以降も使用したくても次に使うまで1年もの時間があるため、完全にきれいな状態で保管するのは難しいでしょう。
防虫材や乾燥剤と正月飾りを一緒に箱へ入れて、潰れないように置いておきまます。湿気はカビが生える原因のため、結露のおそれのある場所などは避けましょう。
本来の正月飾りは、新年に年神様をお迎えするための飾りです。その1年の幸せを願って、お守りと同じように毎年新しくするのがよいでしょう。
同じお正月飾りでも、インテリアとしての意味合いが強いものは来年以降も使用して構いません。
例えば、プリザーブドフラワーの迎春花のように『防腐処置されているアイテム』は、次の年以降もきれいな状態で使えます。
お正月飾りの名前と意味
お正月飾りはたくさんの種類がありますが、それぞれに違う意味を持っています。お正月飾りの意味や飾る時期などを見ていきましょう。
鏡餅
鏡餅は、お正月の期間中に神様が滞在する場所として知られ「鏡開きのときに食べれば神様の力を分けてもらえる」といわれているものです。
鏡餅を飾る場所は家庭によってさまざまで、玄関・床の間・茶の間・台所など、複数の場所に置くことも珍しくありません。
鏡餅は円満を示す円形を重ねて「1年の福を重ねる」意味があります。地域によって、三段や上の餅の色が桃色のものもあるでしょう。
載せるものは、お供えや位の高い人の食事に使われる『三方(さんぽう)』と呼ばれる四角形の木の台です。周りを紅で縁取った『四方紅(しほうべに)』という四角形の和紙を敷きます。
魔除けの意味合いを持つ紅白の紙を交互につなげた『御弊(ごへい)』も台の左右にハの字に付けましょう。
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しめ飾り
しめ縄は結界を意味しており『しめ縄を境に清浄な空間であること』を来訪者に告げる役割があります。
お正月飾りとして使う場合、しめ縄に水引や松の葉をあしらった『しめ飾り』を使うことが多いでしょう。
神様の居場所であることを知らせて、家の中に悪いものを立ち入らせないようにするために重要です。家の戸口や門といった入り口部分に飾り、神様を迎える準備をします。
二つか三つの藁の束を等間隔に並べた『前垂れ』の先に『ごぼう注連』と呼ばれる左回りにねじった太めの藁を垂直に組み合わせる形は、西日本で多いデザインです。
東日本では、1本の太い藁の根元に縁起物を華やかに盛り付ける『玉飾り』が主流でしょう。玄関などには、ねじった輪っか状の藁の下にひと束を垂らす簡略版の『輪飾り』も使われます。
門松
門松は竹と松を組み合わせた飾りで、玄関や門の前に飾ることが一般的です。多くの場合二つ一組になっており、入り口の両脇にそれぞれ飾ります。
玄関を正面に、左側には葉が硬く長いクロマツの『雄松(おまつ)』、右側には葉がやわらかく短いアカマツの『雌松(めまつ)』を置きましょう。
日本では古くから、樹木には神様が宿っていると考えてきました。玄関に門松を飾ることで『神様が訪問するときの目印にしてもらう』意味が込められています。
松は『祀(まつ)る』に転じることからお正月飾りに用いるようになったという説もあり、縁起にこだわる日本人らしい飾りだといえるでしょう。
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餅花
餅花は餅や団子を花に見立てて、ヤナギやエノキなどの細い枝に飾ったもののことを指します。白と赤を交互に織り交ぜて作ってあり、めでたい雰囲気を持っていることが特徴です。
地域によって呼び名が違い『団子下げ』や『まゆ玉』といった名前で呼ばれることもあるでしょう。たくさんの餅や団子が連なっている様子から、五穀豊穣を祈願するための飾りとして使われています。
餅花を飾る時期は年神様を迎える松の内の行事が終わった後、1月15日の『小正月』の時期に飾り、遅くても1月20日には片付けることが一般的です。
正月飾りとして楽しんだ後は『どんと焼き』で焼いたり『ひなあられ』として揚げて色とりどりに着色したりして食べられます。1年間無病息災でいられる縁起物として人気です。
こだわりのお正月飾りを
毎年同じようなお正月飾りでマンネリを感じている人には、こだわりのお正月飾りを準備することをおすすめします。インテリアにこだわりたい人におすすめの、お正月飾りのアイデアを集めました。
玄関に最適。おしゃれな花屋のお正月飾り
玄関に飾るお正月飾りは神様を迎える準備として大切なものですが、玄関は神様だけでなくお正月の来客や近所の人の目につく場所でもあります。
「できればデザイン性が高いアイテムを飾りたい」と考える人は多いでしょう。
年末に生花店を覗くと、しめ飾りから気軽に飾れるお正月用のフラワーアレンジメントまで、さまざまなアイテムが見つかります。
おしゃれなお正月飾りが欲しい人は、ギフト向けのアイテムが豊富な生花店が狙い目です。クリスマスが終わるとすぐに店頭にお正月飾りが並び始めます。
人気のアイテムは、時季が近づくとすぐに売り切れてしまうことがほとんどです。ワンシーズン前くらいからネットなどで目星をつけておき、早めに手に入れることをおすすめします。
家にあるフラワーベースを使って
「しめ飾りやフラワーアレンジメントを自分で作るのは敷居が高い」と感じる人もいるかもしれませんが、自宅にあるフラワーベースにお正月らしい『切り花』を飾る方法なら簡単です。
迎春花として相応しい植物は、ツバキ・チューリップ・キク・ハボタン・松・竹・千両・南天などがあります。松の葉が加わるだけでもお正月らしい雰囲気を出せるため活用しましょう。
花・グリーン・赤い実ものと、バランスよく飾りつけることがおすすめです。生花店でフラワーアレンジメントの土台となる『オアシス』を購入すると、本格的に飾りつけられます。
フラワーベースの代わりに和食器を使ってもお正月らしい雰囲気がアップするでしょう。
ドライフラワーを使って簡単手作り
お正月の準備に時間をかけられる人は、世界に一つだけのしめ飾りを作ってはいかがでしょうか?
しめ飾りは2週間近くは飾ることが多いため、生花を使うと傷んでしまい時間の経過とともに見栄えが悪くなります。
しめ飾りの材料に『ドライフラワー』を使うと、きれいな状態で長持ちするでしょう。飾りたい場所を決めてから、サイズの合ったプレーンなしめ縄を購入します。
バランスを考えたうえで、好みのドライフラワーや水引を飾りつける方法がおすすめです。細いワイヤーを使って好きな位置にバランスよく飾りを固定するだけで、簡単にできるでしょう。
ワイヤーで留めた部分は『リボンや飾り紐などを結んで隠す』と、手作りとは思えない本格的な仕上がりになります。
お正月飾りはどのように処分する?
出番を終えたお正月飾りは、きちんとした手順を踏んで処分することが大切です。お正月飾りの処分方法をチェックしましょう。
どんど焼き
どんど焼きは『お正月飾りをまとめて燃やす行事』です。お正月の間に家にきてくれた神様は、どんど焼きの煙に乗って天に帰っていくと伝えられています。
松の内が明ける時期に神社や自治会が主催する定番行事として、一般化している地域が少なくありません。近所の神社や自治体でどんど焼きをしていないか調べておくとよいでしょう。
大きな炎で一気に焼くのが醍醐味ですが、お正月飾りなら何でも燃やせるわけはありません。金属やプラスチックの部分は燃やせないため、あらかじめ外しておきます。
行事が終わった後でも、ほとんどの場合寺社へ行けば古くなったお守りやお札などを神様に返す『お焚き上げ』をしてくれます。電話で問い合わせてみましょう。
正月明けに全国各地で開催される「どんど焼き」ってどんな行事?
神社に行けない場合
「お正月飾りの役割を知ると簡単にゴミには出せない」と考える人は多いでしょう。神社へ行くタイミングを見つけられない場合は、自分でお正月飾りを処分するしかありません。
家庭で焚火をするのは危険なため、燃えるゴミと燃えないゴミに分別して出しましょう。
こだわりがないのであれば自治体のルールに従ってゴミに出せばよいのですが、縁起物とゴミを一緒にすることが気になる場合『出す前に塩を振りかけてお清めをする』方法もあります。大きめの白い紙の上にお正月飾りを広げて、塩を振りかけてから包んで処分しましょう。
本来は捨てたり処分したりするものではなく『神様にお返しするもの』という認識を持って、感謝の気持ちを込めることが大切です。
文/編集部