目次
エアコンを付けっ放しで使うのと、こまめにオンとオフを切り替えるのとでは、どちらが電気代を安くおさえられるのでしょうか。しばしば議論になるこの問題に、さまざまな角度から切り込み、エアコンを安く使う方法を解説します。
エアコンは付けっ放しの方が安い?
エアコンがどのような条件でどんな動きをするのかという点に注目し、冷房と暖房に分けて解説します。
冷房の場合は付けっ放し
通常、冷房の消費電力量が最も大きくなるのは、冷房の設定温度と実際の室温との差が大きい『運転開始直後』です。
冷房が室温を設定温度まで近付けようとする力に電力が必要となるため、設定温度と室温の差が大きいほど、温度を近づけようとする時間が長くなり、より消費電力量が多くなります。
室温が適温になったからといって、こまめに冷房を消すと、付ける度に暖まった室内を冷やそうとし電力量が多くなります。
したがって、日中は30分程度までの外出であれば、基本的には付けっ放しの方が電気代を安くできるでしょう。
また、夜間は温度変化が昼間ほどではないため、こまめに停止させ温度調節することで、よりお得な運転ができると考えられます。
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暖房はこまめにオンオフ
夏より冬の方が、外気温と設定温度の差が大きくなるため、一般的に、暖房は冷房と比べ消費電力量が多くなり、電気代も高くなります。
また、付けっ放しの方が消費電力量を抑えやすい冷房に対し、暖房はこまめにオンオフを繰り返した方が、節約につながりやすい傾向にあります。
その理由は、暖房は冷房と比べ、単純に稼動している時間が長いほど消費電力量が多くなるためです。
特に、外出中や就寝中などは、できるだけエアコンをオフにする時間を長くすることが、電気代を抑えるポイントになります。
運転開始直後に消費電力量が多くなるのは冷房と変わらないため、オンオフの繰り返しをできるだけ少なくするよう、保温に努めることも重要です。
暖房と冷房で違いがあるのはなぜ?
冷房は、室温を下げる際に最も大きな電力を消費しますが、冷えた状態をキープする間はそれほど大きな電力を必要としません。
一方で、暖房は室温を上げる際に大きな電力を消費する上、高い室温をキープする間もエアコン自体がオンオフを繰り返すため、稼働中の消費電力も常に大きい状態となります。
この理由から、室温を設定温度まで近付けるという同じ使用方法でありながら、暖房と冷房は消費電力量に差が生まれ、暖房の方がより大きな電力を必要とするのです。
エアコンをもっと節電する方法
冷暖房を利用するにあたり、節電をより意識する場合は、できるだけ室内の温度を短時間に設定温度まで到達させ、できるだけ長く適温を保てるよう、さまざまなポイントを押さえることが重要です。
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室外機に気を使う
エアコンは、室内の熱を取り除く事で室温を下げています。排熱の役割を持つ室外機をしっかりとメンテナンスすることで、エアコンの稼動効率が上がり、節電につながります。
- 室外機の周囲に多くの物が置かれていると、熱がこもりやすくなり排熱効果が下がるため、できるだけ物を置かないようにし、周囲に溜まりがちな枯葉や雑草も取り除いておきましょう。
- 設置された壁との隙間が狭すぎると運転効率が低下する原因になるため、背面間隔を10cm以上離して設置しましょう。
- 室外機は日陰に設置するのがベストですが、状況により難しい場合は、日除けによしずを使うのがおすすめです。
- 室外機に雪が付着したり、室外機の上に雪が積もったりすると、運転効率が下がりやすくなります。こまめに除雪しましょう。
適した風向きにしよう
エアコンには、風向きを調整できる機能が備わっています。冷房と暖房で適した風向きが違うため、状況に応じて風向きを調整しましょう。
冷房の場合、冷気は下に溜まりやすい性質を持つため、風向きを下方向にすると部屋の上部が冷えにくくなり、消費電力が大きいままの状態で稼動し続けることになります。
水平か、やや上向きに風向きを調整することで、下に向かおうとする冷気により部屋全体の空気が混ざりやすくなり、室温がより早く下がるようになるでしょう。
逆に、暖房の場合は風向きを下向きに調整し、下側に放出された暖気が上に向かおうとすることで、部屋全体の空気循環が良くなり、室内が暖まりやすくなります。
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フィルターの掃除を怠らない
エアコンを清潔に保つことは、エアコンの運動効率を良くし、節電対策につながります。
- フィルターが汚れていると、室内の空気を逃がす通り道を塞がれることになります。空気を吸い込むためのより大きな力が必要となり、消費電力量が大きくなってしまいます。
- エアコン内のカビを放置すると、カビにエアコン内の埃が付着し、風量が落ちる原因となるだけでなく、余計な負荷がかかることにもなりかねません。
- ファンの汚れは、物理的な運動効率を下げ、風力の低下を引き起こします。設定温度に達するまでの時間が延び、余計な電力を消費してしまいます。
取り外しが簡単なため手軽にできるフィルターの掃除は、2週間に1回程度行うようにしましょう。
サーキュレーターと組み合わせる
サーキュレーターは、室内の空気を循環させたいときに使用する家電製品です。扇風機のような形状をしていますが、部屋中に空気を送り込むために強力な風を発生させるのが特徴です。
扇風機が広範囲に幅広く届く風を起こすものであるのに対し、サーキュレーターは直線的に遠くまで届く風を起こすものであり、空調を意識する場合はサーキュレーターの方が適しています。
サーキュレーターとエアコンを併用すれば、エアコンから出る冷気や暖気の流れを意図的に変えられるため、より短時間に室内を快適にでき、節電にも役立ちます。
室内では、冷気が下に、暖気が上に流れやすい性質であることを意識し、サーキュレーターの置き場所を変えながらベストな位置を探しましょう。
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エアコンを付けっ放しにするときの注意点
長時間エアコンを稼動させることで、室内が乾燥しすぎたり冷えすぎたりすると、体に悪影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。
乾燥しないように加湿器を使う
エアコンの付けっ放しによる過乾燥は、冷暖房共に起こる可能性があります。空気が乾燥すると、体から必要以上に水分が放出され、肌荒れやシワの原因になります。
室内の乾燥対策として最も効果的な方法の一つは、加湿器の使用が挙げられるでしょう。加湿器の置き場所は、加湿された空気が上昇し、エアコンにより部屋全体に行き渡りやすくなる、エアコンの真下がおすすめです。
加湿器が用意できない場合は、タオルを1枚濡らし部屋に干したり、コップに水を入れて置いたりする方法も、ある程度の効果が期待できます。
また、肌に直接保湿クリームを塗るなど、さまざまな方法で乾燥から肌を守る意識を持つことが大切です。
冷え過ぎない温度にしよう
夏場に冷房で体を冷やしすぎると、お腹を壊したりトイレが近くなったりすることがあります。
また、強制的に汗を止めるような生活をしていると、体温調節をする必要がなくなった汗腺の機能が衰え、汗をかきにくくなることで、体に大きなトラブルが発生することにもつながりかねません。
人間の発汗作用は体温を調節するという重要な役割を担っているため、冷房の効きすぎで体を冷やしすぎないよう常に意識しておくことが大事です。
エアコンの設定温度を1℃上げたり、送風を弱くしたり、除湿モードに切り替えたりするなどして、室温が下がりすぎないような対策を心掛けましょう。
エアコンの気になる疑問
世間でよく議論されるような、エアコンに関しての気になるテーマについて解説します。
1カ月付けっ放しにしたときの料金は?
エアコンは稼働中に消費電力が変動しやすいため、具体的な電気代を計算することが困難な家電です。
一般的には、エアコンのカタログなどに記載されている『期間消費電力量』から年間の電気代を算出し、1カ月あたりの電気代を割り出す方法が行われています。
この方法で主要電機メーカーが販売するエアコンの電気代を割り出すと、高くても月々1300円までは達しない程度の電気代であることが分かります。
あくまでも目安の数字ではありますが、エアコンの電気代は高いというイメージを覆す結果といえるでしょう。
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夏は除湿の方が安いって本当?
除湿機能は、冷房の弱運転モードという位置付けでエアコンに搭載されており、内部設定によりマイナス3℃程度までしか温度が下がらないようになっていることがほとんどです。
また、冷房は温度の下げ幅を自由に設定できますが、除湿は温度の下げ幅が状況により自動で設定されます。
例えば、冷房により温度を5℃下げたい状況で除湿を使うと、除湿では自動で3℃までしか下がらないため、冷房を使う方が電気代は高くなります。
しかし、冷房により2℃ほど温度が下がればよい状況で除湿を使った場合、状況により自動で温度を3℃下げようとする可能性があり、このケースでは除湿の方が電気代は高くなるでしょう。
したがって、除湿の方が電気代を抑えられるとは、一概には言えないということになるのです。