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中小企業の管理職はなぜ〝お山の大将〟になってしまうのか?

2018.04.27

■連載/あるあるビジネス処方箋

 前々回「小さな会社ではなぜ人が育たないのか?」、前回「小さな会社の管理職が部下を育てようとしないワケ」で、小さな会社の人材育成についての私の考えを紹介した。今回は、小さな会社の管理職(特に課長や部長など)がなぜ、「お山の大将」、つまり、抜群に優秀でもなければ、大きな実績があるわけでもないのに、自分のことを優秀と思い込むのか、というテーマで私の考えを紹介したい。

 この場合の「小さな会社」は正社員数で言えば300人以下の中小企業や、創業10年以内のベンチャー企業で、特に売上10億円以下の会社を意味する。過去2回の記事とあわせて読んでいただくと、小さな会社の実態が見えてくると思う。

■自分を知る機会が少ない

 まず、自分を振り返る機会が大企業の管理職に比べて少ない。多くの中小企業では、人事異動や配置転換は20代から定年まで数えるほどしかない。人事異動や配置転換を受けると、社内での自分の価値をある程度、察知することができる。東京本社の花形部署の部長から地方の小都市の数人の営業所へ行けば、「左遷かもしれない」とわかる。ここまで露骨な人事異動は少なくとも、人事異動や配置転換の都度、自分の扱いを思い知らされるものだ。小さな会社では、このような機会がほとんどない。

■人事評価の結果を知らされることが少ない

 小さな会社の上司は20代の頃から現在に至るまで、人事評価の結果のフィードバックを受けたことがあまりない。そもそもが人事評価の基準は、あいまいだ。評価基準のち密さは社員の規模にある程度、比例している。小さな会社では、評価基準を全社員に公開しない場合すらある。人事評価をオープンにしたとしても、評価する側の上司が部下のことを正しく観察し、査定ができていないことが多い。そのような教育も訓練も受けていない。小さな会社では、いわゆる考課者訓練がほとんどない。

 結局、結果として上司は自分の「好き・嫌い」という感覚で部下を評価する可能性が高い。大企業にも似たようなことは起こりうるが、2次考課者、3次考課者、人事部、労働組合などが何らかのブレーキになる場合もある。小さな会社では、そのブレーキがない。部下が異議を申し立てはもちろん、「なぜ、こういう結果になったのか」と聞くことすらまずできない。上司が新卒で入社したとすると、20代前半からこういう態勢や文化にどっぷりとつかっている。つまり、部下のことを可能な限り、実態に即して観察し、評価基準にもとづき、正しく評価するという意識が希薄なのだ。こういう状況で、部下のことを真剣に考える上司はおのずと少なくなる。

■部下は次々と辞めていく

 小さな会社の社員の定着率は、大企業に比べると概して低い。私が取材を通して観察していると、特に30代前半までの定着率が低い。辞めていくことに対し、社長以下、役員たちは鈍感な傾向がある。「なぜ、辞めたのだろう」と辞めた社員の上司に確認することも少ない。辞めていく社員が慢性的にいるために、「またか…」としか思わない役員などが多い。上司は「あなたの育成に問題があった」「君の指導はパワハラになっている」などと指摘を受ける機会が少ないのだ。

 こういう職場では通常は、上司は部下のことをますます考えなくなる。パワハラに近い行為をして部下を退職に追い込んでいたとしても、社長以下、役員には「素行の悪い社員に厳しく言っておきました」と報告をする人もいる。それが、通用する環境であるのだ。わざわざ、部下のことで悩む必要がないのだ。

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