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小さな会社の管理職が部下を育てようとしないワケ(2018.03.13)

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■連載/あるあるビジネス処方箋

 今回は前回の「小さな会社ではなぜ人が育たないのか?」の続編として、小さな会社の上司(主に管理職)が、なぜ、部下を育てないのかをテーマに私の考えを紹介したい。この場合の「小さな会社」は正社員数で言えば300人以下の中小企業や、創業10年以内のベンチャー企業で、特に売上10億円以下の会社を意味する。前回の記事とあわせて読んでいただくと、小さな会社の実態が見えてくると思う。

■部下に教える態勢になっていない

 前回のコラムで書いたように、上司は20~30代半ばまでに仕えた上司から手取り足取り、念入りに丁寧に教え込まれた経験が少ない可能性が高い。たとえ、あったとしても大企業の同世代の社員と比べると相対的に少ないはずだ。教えられた経験に乏しい人が管理職になり、部下をもったところで実際は育成などできない。人を育てることは、それほどに甘くはない。本人はなんとなく、教えたつもりになっているだけである場合が多い。ところが、社長などはその上司が部下を育て上げる力があると信じ込んでいる傾向がある。

 プレイヤーとして優秀であったとしても、マネージャーとして部下の育成ができるとは限らないのだが、社長がそのことを正しく理解していない。問題のある上司だと認識していたとしても、ほかの管理職に変えることはなかなかできない実情もある。慢性的に人手不足・人材難であるからだ。

■そもそも、部下に教える必要がない

 なぜ、中小企業では管理職がもっと部下に誠実に教えようとしないのか。その大きな理由は、教える必要がないからだ。まず、着目すべきは、人事異動や配置転換が大企業に比べて少ないことだ。1つの部署に10~20年在籍する社員も少なくない。人事異動や配置転換がなかなかできない態勢になっている。それぞれの部署の各社員に仕事をつけるような仕組みになっているからだ。たとえば、ある人を経理課に採用すると、当初はその人のレベルや力量に応じて仕事をあてがう。そこで人事異動や配置転換がほとんどないから、いつしか、人に仕事がつくようになる。仕事そのものよりも、社員の考えなどで経理課が動くようにもなる。代わりがいないからだ。

 こういう状態が5~10年続くと、社員は大企業の社員に比べて総じてレベルが低いのに、「そこそこに仕事をしている」と思い込む。中には「自分は優秀」と信じ込む人もいる。中小企業の社員が大企業の社員に比べて比較的、自分を高く評価したり、かいかぶり、背伸びをしたり、勘違いした言動をとったりするのもこのあたりに大きな理由がある。

 管理職も、自分のことをかいかぶる傾向がある。ほとんどの人が管理職になっているにも関わらず、大企業のようなハードルの高い試験を合格したような気分になる。部下を教えないことに責任を感じることも少なくなり、小さな会社の社長になったように部下たちを抑えつける人も現れる。それでも、人事異動や配置転換、降格がない。人に仕事がつく構造になっているから、代えようがないのだ。

 大企業では、人事異動や配置転換が頻繁に行われる。結果として、各部署のそれぞれの仕事に各社員が配置される。つまり、仕事があり、それに人がつく形になる。こうなると、社員の意向や考えよりも、仕事の状況に応じて部署のあり方や社内が変わる。社員たちは組織の一員としての歯車意識を持ち始め、自分の非力さや無力さを感じとる。社員間の密度の濃い競争が浸透している。自分を思い知る機会が多い。だからこそ、中小企業の社員に比べて相対的に自分の等身大の力を知る機会が増え、謙虚で、常識的なタイプが多数になる。

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