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ニュースや新聞で、『立春』という単語を見ることがあります。春先ということは分かりますが、立春を迎えるのは2月の寒い時期です。にもかかわらず、なぜ『立春』という名称なのでしょうか。立春の由来について、また節分との違いについて見ていきましょう。
そもそも立春とは?2024年はいつ?
立春・立夏・立秋・立冬などは、時々ニュースでも見かける言葉です。立春という単語から春の訪れを連想させますが、立春が訪れるのは毎年、まだ本州では雪も降る寒い時期です。この時期になぜ立春があるのでしょうか。
立春の成り立ちや、2024年の立春がいつなのかについて、まずは見ていきましょう。
二十四節気での春の始まり
立春とは、『二十四節気』の中の一つです。二十四節気とは、太陽の動きに合わせて1年を24等分した、中国で作られた暦のことを指します。
春は立春・雨水・啓蟄・春分・清明・穀雨の六つで、立春は春の最初の節気です。
また立春・立夏・立秋・立冬を「四立(しりゅう)」と呼び、それぞれの季節が始まる重要な節気と言われています。
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2024年の立春は2月4日
例年、2月4日が立春である場合が多いですが、天体の動きの変化によって2月3日になることもあります。
立春は旧正月と混同されることもありますが、まったく別物です。旧正月は、月の動きに合わせた太陰暦における正月のことで、2024年の旧正月は2月10日です。
旧正月は、毎年日付が違います。立春と旧正月が一致するのは、およそ30年に1度と言われています。
出典:令和 3年(2021)暦要項 二十四節気および雑節 – 国立天文台暦計算室
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立春の時期に食べたい旬の食べ物
立春に食べておきたい縁起の良い食べ物を紹介します。幸せな1年を送るために、験を担いでみてはいかがでしょうか。
めでたい祝い酒「立春朝搾り」
『立春朝搾り』は、立春の朝一番に搾り上がった日本酒のことです。全国の酒蔵から販売される、この時期にしか飲むことができない特別なお酒です。お酒好きの人にはたまらない一品と言えます。
人気のある立春朝搾りは、ニュースでも取り上げられることがあるほどです。
この日本酒は、地元の神社でお祓いがされ、1年の幸運と繁栄を招くとされています。お酒好きでなくても、思わず飲みたくなってしまうでしょう。
縁起が良い「立春朝生菓子」
立春はお正月とは違い、特に決まったものを食べるという風習はありません。ただし地域によっては、『朝生菓子』を食べることもあります。
朝生菓子とは、作ったその日に食べるお菓子のことで、草餅や大福、お団子が当てはまります。こうしたデンプンを含んだお菓子は時間とともに硬くなっていくので、その日のうちに食べた方が良いとされています。
立春の1日のみ、限定販売される朝生菓子もあります。また地域によっては、名物の生菓子を特別仕様で販売するケースもあります。
立春に作られた大福は縁起が良いとされます。小豆や餅には穢れを祓う効果があるとともに、大福の丸い形から、物事を丸く収めるという意味を持つためです。
体を清める「立春大吉豆腐」
白には、邪気を払う力があるとされています。『白豆腐』もこの例に漏れません。また豆腐は、日本に伝わった当初は寺院で食べられていた食品であり、寺院関係者が好んで食べていたことからも、神様が宿る特別な力があるのではないかと考えられていました。
大豆でできていることにも理由があります。大豆には鬼を払う力があると考えられていました。節分で大豆をまくのも、鬼を払うことが目的です。豆腐も大豆でできているので、鬼を払う力が宿っているとされていました。
立春に食べる白豆腐は『立春大吉豆腐』と呼ばれています。立春の前の日に豆腐を食べると邪なものを払うことができ、また立春当日に豆腐を食べることで、清められた体に幸せを呼び込めると言われています。
立春にまつわる雑学もチェック
立春にまつわる雑学を紹介します。節分との違い、立春大吉のお札の意味と役割について見ていきましょう。
立春と節分の違い
立春と節分には、実は密接な関係があります。節分とは、節の分け目のことで、立春の前日を指す日のことだからです。そのため、立春の日が変われば、節分の日も変わります。
2024年は立春が2月4日のため、節分は2月3日です。
立春は新たな季節を迎える日であり、その前日である節分は、古い邪悪を払う日とされてきました。豆をまいたり、鰯の頭を飾ったり、恵方巻きを食べるといった風習は、立春を気持ちよく迎えるための行事です。
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立春大吉のお札について
魔除けのために、立春の早朝に『立春大吉』というお札を門に貼る風習を持つ禅寺もあります。
大吉が縁起が良いというのもありますが、他の説もあります。『立春大吉』の文字を縦に並べてみると、左右対称となっていることが分かります。そのため、『立春大吉』と書かれた紙を表から見ても裏から見ても、読むことができます。
こんな昔話があります。立春の日に、鬼があるお寺の門をくぐりました。門には『立春大吉』の札が貼ってあります。門をくぐった鬼が振り返ってみると、くぐったはずの門には先ほどと変わらず『立春大吉』の札があります。鬼はまだ門をくぐっていないと勘違いして、再び門をくぐって外へと出て行ってしまったという話です。
こうした逸話もあり、『立春大吉』のお札には魔除けの効果があると信じられてきました。
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構成/編集部