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職場の「厄介者」が「伝説の人」になる仕組み

2018.10.02

■連載/あるあるビジネス処方箋

前回は、40~50代で「厄介者」になる人の特徴を書いた。その大きな理由は、大半の社員ができる仕事を時間内に正確にできないことにあると説明した。私は、この「誰もができる仕事ができない」ことに前々から着眼している。

この20年程、成果主義が浸透し、「プロフェッショナル」という言葉をよく聞く。それにともない、「ロジカルシンキング」や「プレゼンテーション能力」などが流行語のようになった。

しかし、私は会社員はもっと基本的で、重要なところで差がつくと考えている。それが、「誰もができる仕事」なのだ。

今回は、「誰もができる仕事」ができないと、なぜ、「厄介者」扱いをされるのかを考えてみたい。

「誰もができる仕事」とは…

会社全体の業務や各部署の業務、各社員の仕事の8~9割は実は「誰もができる仕事」なのだ。その場合の「誰もが」は、たとえば、営業部で部員が10人いるならば、6~8人を意味する。このくらいに標準化、平準化、規格化、マニュアル化をしないと、大企業や中堅企業などは全社員が一定のスピードで業務をすることができない。業績を維持し、拡大することは不可能になる。

たとえば、交通費や出張の清算もマニュアル化されているはずだ。あるいは、日々の仕事の報告・連絡・相談もある程度のモデルがあるに違いない。営業でも、交渉先の選定や交渉の時期、アプローチの仕方、契約に向けての詰め、その後のケアも規格化されているはずだ。だからこそ、「誰もができる仕事」ができないと、浮いた存在になりやすい。

浮いた存在とは…

この場合の「浮いた存在」について考えたい。たとえば、ある大手新聞社の地方支局がある。そこに5人の記者(平均年齢30歳)がいる。東京本社の政治部から、支局長(管理職、部長級)に電話があった。「そちらの支局のエリアに、ある国会議員が遊説で行く。それを取材し、記事にしてほしい」という依頼だ。

ここで、支局長はどういう判断をしたか。下記の2人の記者うち、どちらを国会議員の取材に行かせただろうか。

•ふだんから、取材をマメにして記事を書く。ごくまれに、社内でも評判になるほどの記事を書くことがある。ただし、支局長に報告・連絡をほとんどしない。取材先とトラブルになることもあるが、それすら報告をしない。

•取材をきちんとして、多くの記事を書く。抜群に優秀というわけではないが、平均以上のレベルの記事は書く。支局長への報告・連絡がマメで、トラブルなどは滅多にない。

これは、私が6年前に実際に全国紙の支局長(その後、定年退職)から聞いた話だ。この支局長は、2の記者を抜擢したという。その理由をこう説明していた。

「2は、計算が立つ。仕事が安定している。報告がマメであり、こちら(支局長)からすると、何かがあったときでも対処ができる。1は何をしているのか、が見えない。報告することを求めても、ほとんどしない。ひとりで仕事をしている。こちらからすると、安心して仕事を任せることができない」

「安心して仕事を任せることができない」が、キーワードだと私は思う。言い換えると、「誰もができる仕事が確実に時間内にできないがゆえに、仕事を任せることはできない」ということなのだ。

私が企業の取材を通じて知る範囲で言いたい。会社員は1の記者のように、「ホームランを時々打つが、ほとんどは凡打か三振になる人」よりは、「ホームランは打たないが、ふだんから、ヒットで塁に出る人」を優遇する可能性が高いのだ。それは、後者のほうが「計算が立つ」からだ。

「計算が立つ」がゆえに、上司や周囲は安心して仕事を任せる。そこで本人は自信を持ち、「私はこういう仕事ができる」とセルフイメージを持つ。そのイメージを持つがゆえに、また、同じような仕事をする機会が与えられると、時間内確実に正確にできるようになる。上司や周囲は、この社員のことを「あの人はできる」とますます思うようになる。本人もどんどんと自信を持ち、セルフイメージを強力に描くようになる。この繰り返しで「優秀な人」がつくられていく。

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