あなたの知らない若手社員のホンネ~エスクリ/中尾浩人さん(27才、入社6年目)~
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20代の仕事へのモチベーションを知ることは、平穏な職場づくりの第一歩。20代にとっても、同世代がどんな仕事に悪戦苦闘しているのか知りたいところだろう。今回はウェディングプランナー。結婚式のプランニングを行う業種は、女性が8割を占めるといわれるが、今回登場するのは男性である。
株式会社エスクリ ザ・プレミアムレズデンス・ラグナヴェールトウキョウ 副支配人 中尾浩人さん(27才)入社6年目。
エスクリはブライダル事業を行う企業。20年ほど前と比べると、結婚式を挙げるカップルは半減したといわれるが、「結婚式は学生時代文化祭や体育祭のようなイメージ。二人でイベントを行うことで絆が強まるし、結婚相手のことをより深く知ることができます」と、まずは挙式の効用を語る中尾さん。
入社1年、披露宴を取り仕切る仕事に慣れた頃、プランナーに配転。福岡から東京駅に近いラグナヴェールトウキョウに転勤。会社の中では一番忙しい結婚式場で「止めとけ、大変だぞ」と先輩に忠告された。忙しいのはそう苦にならなかったのだが――
■人生で初、人から拒否され疑心暗鬼に
プランナーには、会場を見学に来たお客さんを申し込みまで案内する新規担当と、すでに申し込まれた方と挙式の内容について、打ち合わせをするスタッフと二種類あって。僕が担当したのは、打ち合わせを担当するプランナーでした。
カップルのおよそ8割が、式の具体的な内容について新婦が主導権を握ります。新婦としては同性の方が相談しやすい。ですから打ち合わせのプランナーの8割は女性だし、女性の方が仕事はしやすい。
うちでの結婚式を決めた方に対して、担当が振られるのですが、「この度、担当になりました中尾です」そんな電話を差し上げると、「女性の方がいいんですけど」電話口でいきなり言われたり。初回の打ち合わせの次の日に、「女性の担当者に変更していただけませんか」という連絡が入ったり……。
ショックでしたよ。学生時代から親や先輩に注意されたことはあっても、拒絶されることはありませんでしたからね。人からまったく認められないという経験は、人生で初めてでした。最初は月に数組のプランナーを受け持ったのですが、うち一組は担当替えを申し出られて。そうなると――、
えっ、なんでなんだ……このお客様も本当は女性の担当の方がいいと思っているに違いない……そんな疑心暗鬼が僕の中で生じて。
でもなんとかしなければならない。まず考えたのは、男性ならではの利点もあるだろうということ。挙式にあまり熱心でない新郎でも、結婚式の直前に電話をして、「この機会に新婦様に感謝の気持ちを伝えましょう」と。「感謝の気持ち…?」戸惑う新郎に花束を提案する。花言葉を覚えておいて、「赤いバラは99本が“永遠の愛”を意味します」とか。「アジサイは家族団欒の意味がありまして、ブルーのお花が好きな新婦様にピッタリです」とか。式の当日、サプライズとして手紙とともに花束を贈ったり。
新郎が結婚式でやりたいということを、応援したりもします。「祝いの席で親睦を深めるため、仲間と騎馬戦をやりたい」というお客様は、さすがにシャンデリアを壊す危険があったので思いとどまっていただきましたが。