あなたの知らない若手社員のホンネ~ブルーイノベーション/マジョディ チャアベンさん(27才、入社3年目)~
前編はこちら
20代の部下のモチベーションを理解することは中間管理職にとって非常に重要。とは言っても、今回登場するのはチェニジア人。扱うのはドローンである。
ブルーイノベーション株式会社 システム開発部 アプリケーション開発チーム 半年間のインターンシップを含め、入社3年目のマジョディ チャアベンさん(27才)だ。彼が勤務する会社は、無人航空機の安全飛行管理システムの開発や無人航空機でのソリューション・研究開発等を業務とする。
チェニジアは北アフリカに位置する共和制国家。西にアルジェリア、南東にリビアと国境を接し、地中海に面する。2011年、中東、北アフリカで広がった「アラブの春」といわれる政変で、最初に選挙が行われた国でもある。マジョディはチェニジアの首都、チェニス出身。通訳は同僚で日本語ができるポーランド人が担ってくれた。
ネットで見つけた日本のこの会社でのインターンシップ応募。ゲームや漫画等で憧れていた日本に渡航、秋葉原に感激し日本の文化を受け入れ、日本流の時間にキチッと守る仕事の流儀にも慣れた。半年間のインターンシップが終了し帰国後、大学を卒業したチャアベンさんは日本で働くことを熱望。渡航費は会社と折半で、ブルーイノベーションの正社員として再来日を果たす。
■チェニジア人の働き方から日本人のそれに切り替わった?
「組み込み系といわれるエンジニアが、世界規模で不足しています。自動車の自動運転の方に、組み込み系エンジニアは取られてしまうんですね。ましてやドローンに興味を持つエンジニアは極端に少ない。インターンシップを経験した彼は優秀でした」(広報担当者)。
正社員になって僕が主に手がけたのは、オフィスの巡回システムのドローンです。オフィスの中をドローンが飛び、巡回することによって、社員の残業を抑制したり、夜間のセキュリティーも担います。
何事もきちんとやる日本人らしいシステムですが、僕の仕事はパソコンやスマホに、ドローンが飛ぶルートを入力し、そのルート通りに飛ばせるアプリケーションの開発です。そのアプリに反応するサーバーもドローン本体に組み込みました。将来的にドローンを物流に利用しようという構想のさきがけにもなる分野です。
数学的な計算で、アルゴニズムを導き出していくのですが、追加をアップデートしても反応がない。正しく機能するにはコンピュータプログラムの誤りや欠点、つまりバグを見つけていかなければなりません。日本人の仕事にはどの作業にも、きちんとしたマニュアルがあります。その手順に従ってステップ・バイ・ステップで作業を進めていかなければいけない。
チェニジア人はこのステップはわかっているし、重要でないと思ったら、飛ばして次に行きます。ところが日本人はわかりきっていても、丁寧にステップを一つずつ積み上げていきます。最初はなんでそんな無駄なことをするんだろうと不思議でしたが、分かりきったことでも、ステップ・バイ・ステップで根気よく積み上げた方が、バグを見つけやすい。実は日本人のやり方のほうが効率的だとわかってきました。
いつしかチェニジア人の働き方から日本人のそれに切り替わったようで、半年ほど前に一時帰国したんですが、一週間もいると日本に戻りたくなりました。