■容器をめぐり社内で議論
そして、『毎日飲むヤクルト』は容器も特徴的だ。背が高く、口が広くて飲み切りやすいものが採用されている。同社の乳製品乳酸菌飲料『BF-1』に使われている容器で、「手に取ってもらうためのきっかけになるものとして、店頭で目立つ背の高い容器を採用することにしました」と神谷さんは言う。
しかし、この容器に関しては、社内で大きな議論になった。それは、『ヤクルト』といえば、おなじみの専用容器こそがアイデンティティであるため。専用容器と中身の組み合わせで『ヤクルト』であるため、「社内では、お客様に『ヤクルト』と認識してもらえるか? ということを不安視する声があった」と島田さん。しかし、『ヤクルト』を飲んでない人たちに飲んでもらうには、まずは手に取ってもらえるよう目立つことが重要だということから、社内の理解も得られた。
『ヤクルト』といえば、立体商標として登録されているこの専用容器。この専用容器を使わないことに対し、社内では議論が起こったほどだった
■既存商品の売上を落とすことなく新たなユーザーを獲得
『毎日飲むヤクルト』の発売は、まず首都圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)のセブン-イレブンから始まった。その後、段階的に販売エリアを拡大していき、2016年5月から全国のセブン-イレブンで発売。そして2016年11月に、全国のセブン&アイグループ各店で発売となった。
販売は当初、セブン-イレブンのみの予定だった。全国のセブン&アイグループ各店での取り扱いが決まった経緯を、市川さんは次のように話す。
「狙っていた30〜50歳代のビジネスパーソンから支持が得られましたが、そういう方々は、週末はスーパーでも買物をしています。年齢や生活習慣から見て、スーパーでの需要も見込めますので、テスト販売を実施することになり、その結果が良好だったことから、全国のセブン&アイグループ各店で取り扱うことになりました」
スーパーでは『ヤクルト』類全般を取り扱っていることもあり、当初は既存商品の売上が落ちるのでは、という懸念もあった。しかし、既存商品の売上は落ちず、『毎日飲むヤクルト』で新しいユーザーが獲得できた。
今のところ、セブン&アイグループ以外での販売は予定しておらず、今後は、拡販に注力していくことになる。その一環として、店頭では現在、プロモーションスタッフと呼ばれる自社専属の試飲宣伝販売スタッフを通じ、『毎日飲むヤクルト』の価値普及を推進しているという。