新幹線に乗ると、目的地以上に(?)期待してしまうものがある。そう、車内販売だ。鉄道客室乗務員が車内に入ってくると、自身の座席を通過するまでの間、ジッとワゴンを凝視! 長旅のお供にと、ついついコーヒーや駅弁、夜ともなれば「ビールちょうだい!」と声をかける人も多いだろう。
揺れる車内にもかかわらず、絶やすことのない笑顔。美しい言葉遣い。丁寧に渡してくれる商品。車内販売で見せる鉄道客室乗務員のこうした立ち居振る舞いは、エレガントで気持ち良いものだ。
実はその鉄道客室乗務員たちは、ある場所で厳しい研修を受けた上で、新幹線に乗務している。東海道新幹線の場合、そのJR東海のグループ会社である㈱ジェイアール東海パッセンジャーズが担当。
同社では、車内そっくりのモックアップを設け、鉄道客室乗務員の接客技術向上を図っているのだ。エアラインのキャビンアテンダントがこうした設備で訓練しているのは有名だが、新幹線のそれはあまり知られていない。一体、どのような指導を受けているか? その現場に潜入してみた。
指導を行う山﨑洋子さんと、入社3年目のホープ、三澤里奈さん。
話を聞いたのは、車内販売員らの指導を行うインストラクターの山﨑洋子さんと、パーサーの三澤里奈さんのおふたり。まず山﨑さんは、「東海道新幹線は1日に約350本以上が運行し、約43万人ものお客様にご利用いただいています。世界一の安全性と正確さを誇る新幹線ですから、パーサーもそのレベルに合わせて、トップレベルのサービスを提供しようと考えています」という。
そのサービスの根源となるのが、
(1)挨拶
(2)表情
(3)態度
(4)身だしなみ
(5)言葉遣い
からなる「接客5原則」。お辞儀するときの手の位置から、商品を提供する際の所作など、細かくマニュアルがあり、それをインストラクターがレクチャーしているという。
山﨑さんは、「私たちは、心を込めたサービスを提供しお客様に快適にお過ごし頂きたいと考えております。その為に接客の基本であるこの5原則を徹底するようレクチャーしているのです」と語る。そこで、この接客5原則に則った、サービスの一例を紹介してもらった。