16.5インチのリム径は、レーシングマシン専用サイズだ。一方、一般の市販スポーツバイクの多くは17インチのリム径を採用している。つまり、いくらMotoGPの現場で開発を推し進めても、蓄積された技術はダイレクトに市販車用タイヤに活かせるわけではない。そこでMotoGPを17インチ化することで、市販車用タイヤにより直接的にフィードバックできるようにしたのだ。つまりここでも開発の効率向上が図られているのである。
「厳しい制約の中でマシンを作り、限られたパワーをできるだけロスなく路面に伝える」「開発過程で得た技術的リソースを、無駄なく市販車に活かす」と、徹底的に効率を重視した開発が行われているMotoGP。「有限の時代」の最先端にあって、今、あるべき姿を模索している。「青木宣篤・テクニカルパドックツアー」は、そのことを改めて浮き彫りにしていた。
大好評を博した「青木宣篤・テクニカルパドックツアー」。来年の日本グランプリでの開催は未定だが、「今回はオイルとタイヤに注目しましたが、MotoGPにはもっとたくさんのメーカーが携わっています。いろいろなブランドが持っている高い技術を、今後もぜひ紹介していきたい」と、青木さんは積極的だ。
最後にツアー参加者全員で集合写真を撮影。青木さんの実弟で1996年の125cc世界チャンピオンの青木治親さんもサプライズ参加してくれた
取材・文/高橋剛(たかはし ごう)
4輪レース専門誌編集部、広告代理店勤務などを経て、2000年よりフリーライターに。主にバイク専門誌を中心に活動している。好奇心の範囲はバイク、クルマ、釣り、家電、アウトドアなど幅広すぎて収拾がつかない日々