■ユーザーに直接訴求する機会を創出
一方、ターゲットにしていた若い人たちへの訴求も力を入れた。国内全ルートで販売するようになってから、タレントを起用し広告展開を図ったりもしているが、ターゲットとなる人たちに直接、訴求することもしている。その方法は、ファッションショーの活用。20代女性が多く集まるといった理由から、これまでに2013年8月31日開催の「東京ガールズコレクション」と同年9月1日開催の「神戸コレクションマーケット」に試飲ブースを出した。ファッションショーへの出展は好評。「これが日本酒だとは思わなかった、といった反応は必ずいただきました」と奈良さんは言う。このほか、女性誌とタイアップし、女性読者を呼んで行なった「すっごい!女子会2014」といったイベントも実施し、若い女性に対し直接訴求することもしている。
現在、イメージキャラクターに起用されている、女優の井上真央さんと俳優の玉木宏さん。写真は2016年4月21に行なわれた新CM発表会でのもの
また2015年から、社員自らが飲んでもらう機会を増やすことを、全社を挙げて本格的に取り組んでいるという。具体的には、社員が自分の知人や友人を対象としたサンプリングや「楽しむ会」などを実施することだが、この取り組みの根底にあるものを、奈良さんは次のように説明する。
「調査から、商品は知られているものの、その割には飲んだことがない人が多いことがわかりました。この結果を受け、知っているだけでなく飲んだこともある人を増やすことにしました。飲んでいただければ気に入っていただける自信はありますので、体験してもらう機会を積極的に設けることにしたのです」
ちなみに奈良さんの場合、周囲に勧めたところ、手応えを感じることが多いという。初めて飲んだ人などが、これがきっかけで購入意向を示すケースが多いそうだ。