裁判所のジャッジ
裁判所
「業務手当と加算手当を除外しちゃダメ」
「それらを盛り込んで残業代を計算すると、以下のとおりだ」
Aさん 63万円
Bさん 51万円
Cさん 113万円
Dさん 111万円
Eさん 66万円
手当を基本給に組み込んで計算すると、残業代はアップします。残業代って基本給×1.25なので、基本給が上がれば上がるほど残業代も上がるという構造なのです。
■ マメ知識
残業代を計算する際に除外できるのは、以下の手当だけです。
【労働基準法37条5項・規則21条 】
・家族手当
・通勤手当
・別居手当
・子女教育手当
・住宅手当
・臨時に支払われた賃金
・1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
Q.
なぜ上記の手当は、残業代計算の際に除外できるんですか?
A.
たとえば「家族手当」や「別居手当」は、従業員の個人的事情で払われるものですよね。その個人的事情いかんで、残業代を計算する際の基礎賃金に差が出るのは相当ではないと考えられたからです。
裁判所は「業務手当も加算手当も上記の手当にあたらない。だから残業代計算の際に除外できない」と判断しました。
残業代計算の際に除外できるのは上記の手当だけ、ということを押さえておいてください。
ほかの判例
よくあるトラブルは、会社が「●●手当が残業代だから」って言ってくるケースです。従業員の方は「ウチは固定残業代だから、どれだけ働いてもそれ以上の残業代は出ないんだ…」と思っているかもしれませんが、そんなことはありません!
・どれが残業代か分からなければ固定残業代は無効(明確区分性)
→ 残業代を請求するときの基礎賃金が上がる
→ 基礎賃金が上がれば残業代がチリツモで増える
・その支払いが残業代としての性質を有していなければ無効(対価性)
・固定残業代は定額働かせ放題【じゃない】
規定の時間を超えれば追加で残業代を請求できる
くわしくはコチラをご覧ください
さいごに
●●手当でお茶を濁されている方は労働局に申し入れてみましょう(相談無料・解決依頼も無料)。労働局からの呼び出しを会社が無視することもあるので、そんな時は社外の労働組合か弁護士に相談しましょう。
今回は以上です。「こんな解説してほしいな~」があれば下記URLからポストしてください。また次の記事でお会いしましょう!
取材・文/林 孝匡(弁護士)
【ムズイ法律を、おもしろく】がモットー。法律コンテンツを作ることが専門の弁護士。
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