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待機時間は労働時間に含まれる?看護師が裁判で未払い残業代1000万円を勝ち取ることができた理由

2023.10.19

待機時間は給料がでるのか?

裁判所の考え方は「会社の指揮命令下にあれば労働時間になる。何もしていない時間であっても労働からの解放が保障されていない場合は労働時間になる」というものです。

今回のような呼び出しTELを待っている状態って、まったく気が抜けないですからね。

裁判所はXさんのケースについて「この待機時間は労働からの解放が保障されておらず、会社の指揮命令下に置かれていたといえるので労働時間にあたる」と判断しました。

待機時間中、Xさんはある程度自由に行動できたんです。待機場所は指定されていなかったし、外出も許されていました。でも、TELが入ればソッコーで駆けつけなければならないので行動範囲は制限されますよね。そういったところにも着目して裁判所は「労働から解放されていない」と判断しています。

▼ お仕置き(783万円)

これがキョーレツでしたね。裁判所はお仕置きも命じています。「残業代の不払いが悪質だなぁ〜」と判断すれば裁判所はお仕置きを命じるんです(付加金・労働基準法114条)

それが今回783万円。残業代1055万+783万円ですよ。

裁判官が「この不払いはクソだ!」とブチギレれば最大で倍返し(半沢直樹)を命じることもあります(たとえば残業代が100万円としたら付加金を100万円もプラスして、合計200万円の支払いを命じます。裁判官を怒らせたら怖いのです)

▼ ほかの裁判例

「この時間の給料を払ってくれない!」トラブルは他にもあります。良ければ下記もご覧ください。

着替え時間

休憩時間

Xさんは管理監督者じゃねー

ーーー 会社さん、何か不満げですが

会社
「Xさんは【管理監督者】にあたります(労働基準法41条2号)。なので残業代を払わなくていいはずです」

裁判所
「いや、【管理監督者】にはあたりません」

■ 解説
ちまたの管理職=【管理監督者】ではありません。会社はよく「チミは管理職だから残業代でないよ」って言ってきますが、そんなことは法律に書いていません。

【管理監督者】にあたるかどうかは、以下の3つ要素をミックスして判断されます。


・実質的に経営者と一体的な立場といえるような権限があるか
・自分の裁量で労働時間を管理できるか
・管理監督者にふさわしい収入か


裁判所は今回のXさんについて、以下のとおり判断しました。


・経営方針などに関する決定権限を持っていたとはいえない
・自分の出退勤時刻を自由に決定できたわけではない
・給料は月額40万円(うち管理者手当が8万円)
 そこまで高額とはいえない。
 管理監督者の地位にふさわしい待遇をうけていたとはいえない


▼ ほかの裁判例

ほかにも裁判所が「この人は【管理監督者】じゃないから残業代はらえ」と判断したケースがあります。良ければご覧ください。

年俸制の管理職による残業代の請求を裁判所が認めた理由

管理職は〝定額働かせ放題〟なのか?残業代が支給される可能性を裁判の事例とともに解説

相談するところ

「待機時間の給料がでない」「管理職になってから残業代が支払われない…」とお悩みの方がいれば労働局に申し入れてみましょう(相談無料・解決依頼も無料)。

労働局からの呼び出しを会社が無視することもあるので、そんな時は社外の労働組合か弁護士に相談しましょう。

今回は以上です。「こんな解説してほしいな〜」があれば下記URLからポストして下さい。また次の記事でお会いしましょう!

取材・文/林 孝匡(弁護士)
【ムズイ法律を、おもしろく】がモットー。コンテンツ作成が専門の弁護士です。
webメディアで皆様に知恵をお届け中。「こんなこと解説してくれや!」があれば、下記URLからポストお願いします。
 https://hayashi-jurist.jp(←プロフィールもコチラ)
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