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体内リズムをサポートする照明、カスタムできる家電、住環境のパーソナライズ化を加速させるための工夫と課題

2022.04.11

「テクノロジーで暮らしの豊かさの実現と社会課題の解決を両立し、すべての人々が快適で活き活きと暮らせる社会を創る。」をヴィジョンに、2020年4月に発足した一般社団法人LIVING TECH協会。住宅関連事業者やメーカーのみならず、多業種にわたり、国内外問わず大企業・スタートアップ企業が集い、本当に心地良いスマートホームの実現を目指しています。

そんなLIVING TECH協会が2022年2月25日に「LIVING TECH カンファレンス 2021-2022」を開催。業界のトップランナーが熱い議論を交わしたセッション5の内容を抜粋して紹介します。

左から、鈴木直行さん(株式会社遠藤照明 営業本部 営業企画統括部 未来環境研究課 課長)、中村 剛さん(一般社団法人LIVING TECH協会 顧問、東京電力エナジーパートナー株式会社 販売本部 お客さま営業部 副部長 リビング・デジタルメディア担当)、久田康弘さん(株式会社ELEMENTS 代表取締役)、町田 玲子(株式会社小学館 DIME編集室 @DIME編集長)

セッション5:【暮らしが進化する②テクノロジーでもっと豊かに暮らしが進化する】パーソナライズ&アップデートで実現する豊かな暮らし

ダイジェストムービーはこちら。

Opening sessionの模様はこちら
セッション1の模様はこちら
セッション2の模様はこちら
セッション3の模様はこちら
セッション4の模様はこちら

光を最適化する、住まいの中での「照明パーソナライズ」の重要性

人々にとってより心地良い暮らしを、テクノロジーで実現するスマートホーム。その普及のキーワードとなるのが、生活者一人ひとりのライフスタイルや趣味、年齢、家族構成などに合わせて、住宅の機能や性能を最適化する「住環境のパーソナライズ」です。

照明・家電メーカーのパーソナライズの取り組みの現状と、それらと連携したスマートホームの事例、メーカーが横断的にスマートホームに取り組む上での課題、解決のヒントなどをテーマにディスカッションが行われました。

照明は、住環境のパーソナライズを考える上で、生活者の健康にも関わる重要な分野の一つ。人と光に関する研究を進めてきた遠藤照明の鈴木直行さんは、過去の研究データを踏まえ、住む人の生活や年齢に合わせて照明をパーソナライズする重要性について、次のように話します。

「照明は、明るさやデザインも大切ですが、実はもっと深いところで私達の生活に関わっています。早朝4時以降に光をしっかり浴びると夜眠くなる時間が早まり、反対に夜遅くに大量の明かりを浴びると、寝る時間が遅くなります。適切な時間に適切な光を浴びないと、生活のリズムが狂ってしまう。それが既往研究でわかっています。

人間の体内リズムは24時間よりも長く25時間ほど。それが、しっかりと光を浴びることでリセットされます。私どもの会社で実証実験を行ったのですが、5000k(一般的なオフィスの照明)と12000k(青空を再現した光)を照射したときのノンレム睡眠の時間を比較すると、高色温度(12000k)の方がより質の高い睡眠を得ることができ、寝起きの印象もすっきりするという傾向が出ました。パーソナライズの基本として、まずは照明で人の体内リズムをサポートする。人間の生命リズムを維持するために適切な光を、適切な時間にしっかりと浴びることが大切だと考えています」(鈴木さん)。

さらに、照明は住む人の年齢や家の中での行為(活動)に合わせることも重要だと鈴木さんは続けます。

「人間は加齢に伴って目の水晶体が白濁し、青系のものが見にくくなります。これも社内で実験をしたのですが、50代以上は色温度が高くなるほど見えが良くなるんです。水晶体が白濁してくると文字の輪郭がぼやけるので、ブルーの成分が多い光を浴びることによって、文字が読みやすくなるという事例もあります。つまり、最適な照明を考えると、高齢の家族がいらっしゃるご家庭ではさまざまな照明が必要になってきます。

あとは、色温度の違いによる生理的な効果も知られていて、一般的に白色の光は交感神経を優位にするため、仕事をする時には白い光で集中して臨む。そして、ヨガなどリラックスする時には、副交感神経が優位になる温かみのある色温度にする。住宅は『一つの空間に色々な機能を要求されるため、一つの色温度では適切な環境を作れない』のですね。それを解決するのが色温度のコントロールです。

遠藤照明では『Synca』というシリーズの照明器具を出しており、ろうそくや夕日のような赤い色温度から青空の高色温度の光までを再現できます。例えば、木質系の内装だったら温かみがより伝わる色味にした方が、空間としてゆったりします。単純に照明といっても明るいだけではなくて、色温度を変えて生活をより豊かにするのが、照明のパーソナライズのポイントだと思っています」(鈴木さん)。

家電のパーソナライズの現状は?主なメーカーの取り組み

LIVING TECH協会の顧問で「家電王」の通称で知られる中村剛さんは、家電メーカーの広報担当の方や開発者とコミュニケーションを取る中で、やはりパーソナライズがスマートホームのキーワードになると実感していると話し、代表的な家電を紹介してくれました。

「パーソナライズの観点から、代表的な家電をいくつか紹介したいと思います。まずは、パナソニックのライス&クッカーです。『フルスペックからMyスペックに』をテーマに、炊飯も調理も1台で行えます。スマホからコースやレシピをアップデートできる家電なんです」(中村さん)。

中村さんが次に紹介したのが、株式会社LOAD&ROADのスマートティーポッド「teplo」。6つのセンサーが脈拍・指の温度などのバイタルデータと室温・湿度などの周囲環境を解析し、飲み手に最適な状態のお茶を抽出してくれる優れものです。

さらに、最近ではフードロスの軽減に力を入れた家電や、使用状況などに応じてアップデートされる家電も増えてきているといいます。

「例えば、日立のスマートストッカー(R-KC11R)には重量センサーが入っています。同様のことはパナソニックも行っていますが、アイリスオーヤマや日立の製品ではカメラで庫内の様子を見ることができます。冷蔵庫内の在庫管理をスマートにやっていこうという流れがあるんです。

ロボット掃除機にしても、家具やコードを避けるだけでなく、そのデータをクラウドで処理してアップデートしていきます。スマート化や連携の話は、個々の家電が最適に動いて初めて実現すると思います。『モノからコト』とよく言われますが、モノが良くならないと、コトは起きないんですよね。ニーズに合わせて性能の良い物が出てくる。これはセットで必要なんだと思います」(中村さん)。

データプラットフォームが実現するパーソナライズ集合住宅「プラウドシティ日吉」

衣食住のデータプラットフォームを提供するELEMENTSの久田さんは、住空間全体のパーソナライズの事例として、自社が参画した野村不動産のプラウドシティ日吉の取り組みを紹介しました。

「弊社では、各メーカーがクラウド化やパーソナライゼーションサービスをしていく際の、データのセキュリティや解析サービスを提供しています。ユーザー一人ひとりのデータを行動分析したり、特徴量を抽出したりするのは、一社ずつしていくとコストがかかります。そこを我々が代替してデータプラットフォームとして提供し、メーカーのサービス化を支援するかたちです。住宅の事例ですと、野村不動産様のプラウドシリーズで、弊社の基盤を採用していただきました」(久田さん)。

野村不動産が手がける「プラウドシティ日吉」では、ホーム管理用のスマホアプリ「Will TAP」を通じて、鍵の施錠やお風呂のお湯はり、エアコン・照明のON/OFFなどを制御できます。

「住環境のパーソナライズ化」を普及させていくための課題・解決のヒント

一方で、さまざまなメーカーの商品を一元的に管理することに対し、難しさを感じる部分があると、久田さんは話します。

「我々はユーザーが統合的に管理するアプリケーションを提供しているので、メーカー間で仕様が異なると基盤の調整が大変ですね。仕様の共通化は行政も含めて10年も20年も議論されているのですが、やはり各メーカーは『自社のハードウェアをこう売りたい』という思いがあるので、ユーザーさんがないがしろになりがちです。ユーザーさんからすると一つの家なので、全部が統合的に管理できないとやはり使いづらいと思いますね」(久田さん)。

「中村さんはLIVING TECH協会の顧問でもありますが、横軸でメーカーやデベロッパーが組む住環境のパーソナライズ化に対して、やはりまだ壁があるという課題感をお持ちですか?」(町田)。

「当然、壁はあるんですが、少しずつ進んでいる印象です。LIVING TECH協会が関わった一つの好事例ですけれども、AIoTクラウド(※1)とシグニファイジャパン(※2)がLIVING TECH協会に参画したきっかけでつながって 、シャープのアプリ(※3)でPhilips Hueが動く、みたいなことが実現しています。こうした動きはもっと広がっていくと思いますね。今まで、こういった共通化を行政が音頭を取ってもなかなか上手くいった例がありません。

あと、メーカー側が単独でやると、メーカーの売る気持ちの方が強くなってしまい、これもうまくいかない。やはり圧倒的に必要なものはユーザーからのニーズなんですよね。先ほどのプラウドシティ日吉の例も、住む人にはこういう機能が欲しいよね、とデベロッパーの方が思ったからこそ、データを活用してスマートホーム装備が実現したと思うんです」(中村さん)。

※1:株式会社AIoTクラウド。シャープ株式会社のグループ企業で、AI(人工知能)とIoT(モノのインターネット)を組み合わせ、家の中の様々な家電やIT機器をクラウド上で連携する「AIoTプラットフォーム」を提供している。
※2:シグニファイジャパン(旧フィリップス ライティング)。IoT対応の照明を手がける最大手の照明機器開発メーカー。家庭用のワイヤレス照明システム「Philips Hue」で知られる。
※3:COCORO HOME。シャープが手がけるスマートライフアプリ。家庭内にある複数のスマート家電や給湯器・照明を連携させ、スマホアプリから操作できる。

スマートホームリテラシーを高めるための体験の場の必要性

メーカーやデベロッパーの連携を普及させるには、ユーザー側のスマートホームに対するリテラシーを高めることも大切だと中村さんは話します。

「プラウドシティ日吉やLIVING TECH協会で行った真鶴の家(※4)もその一つですが、いろいろな事例を増やして『こういう生活っていいよね』と思ってもらうこと。そして、メーカーは気の利いた製品を作る。これが全部セットになって動き始めることによって変わってくると思うんです」(中村さん)。

※4:LIVING TECH協会とYKK AP、ワールドハウジングクラブが協業したスマートホームプロジェクト。スマートスピーカーをはじめ、スマート照明、お掃除ロボット、スマート家電リモコン等の機器類を導入し、ユーザーがスマートホームを体験できる場を提供するとともに、住宅事業者がユーザーにスマートホームを提案する際のハードルを下げることを目的としている。

鈴木さんは、メーカー側の視点から他者と共通のプラットフォームを使う際の課題について、次のように話します。

「今の照明に対する認識だと『明るければいい』というお客様の方が圧倒的に多いですね。せっかく良いものを持っていても、共通のプラットフォームに同列に並べられてしまうとつらい部分があるんです。住み手側にどれだけ照明に関心を持ってもらえるか、まずは照明に対するリテラシーをどう上げていくかが課題かなと感じています。

家電量販店やインテリアショップで見た印象と、実際に部屋につけたときの印象は違うなど、照明にはイメージだけではなかなか伝わらない部分があります。いかに自分の部屋に近い環境で実体験をするか。それは、我々照明メーカー1社だけではなかなかできないので、LIVING TECH協会のような枠組みを使って、広く知られるようになるといいなと思います」(鈴木さん)。

パーソナライズが進んだ先に見える未来

現状は課題も抱えているパーソナライズ化ですが、それを超えた先にはどのような展望が開けるのでしょうか。最後に、最前線で活躍する3名は次のように話します。

「我々の思いとしては、パーソナライズは第1フェーズで、自分の情報を知って自分の生活を変えた先に、そのデータを街全体に還元していくことが重要だと思っています。高齢者の見守り問題やサステナブルといった課題は、データを共有することで解決できる部分も多いと思っています。我々も家電の使用状況で在宅不在を把握して再配達の問題に取り組むなど、さまざまな取り組みを進めていきたいと思っています」(久田さん)。

「『スマートスピーカーは盗聴している』など、データやネットワークで繋がっていること自体が怖いという人はまだまだ多いです。私が行っている『くらしラボ』では、スーパーミステリーマガジン『ムー』とのコラボレーションで、『ムー』の三上編集長がそうした陰謀論的な質問を投げかけて、それに私が答えていくということをやりました。情報発信をしっかりやることで、ユーザーに『これ、実は生活が楽しくなるんだね』と思ってもらうことが大事だと思います。メディアの力はすごく大きいと思いますね」(中村さん)。

「前提としては、先ほど久田さんがおっしゃった社会インフラとのデータ連携が非常に大切で、それが前提になっていますけれども、疫学的には、3ルクスより明るい部屋で寝ている人は3ルクスより暗い部屋で寝ている人よりも肥満率が高いとか、うつ病になるリスクが高いというのがわかっています。照明とパーソナライズを組み合わせた先に、それらを予防のような、生活習慣をセンシングしながら制御してくれるような環境ができるといいと思っています」(鈴木さん)。

「市場が育ってパーソナライズが進んでいけば、その先に自分に本当に合うものや自分を助けてくれる住環境というものが、現実的に整っていくのかなと感じますね」(町田)。

セッションの模様は、2022年4月12日~2022年5月16日まで期間限定でアーカイブ配信します。

文/久我裕紀

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