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2025年の大阪万博で日本の存在感を示せるか?テクノロジーの力で暮らしを豊かにするために求められる企業の視点

2022.04.05

「テクノロジーで暮らしの豊かさの実現と社会課題の解決を両立し、すべての人々が快適で活き活きと暮らせる社会を創る。」をヴィジョンに、2020年4月に発足した一般社団法人LIVING TECH協会。住宅関連事業者やメーカーのみならず、多業種にわたり、国内外問わず大企業・スタートアップ企業が集い、本当に心地良いスマートホームの実現を目指しています。そんなLIVING TECH協会が2022年2月25日に「LIVING TECH カンファレンス 2021-2022」を開催。業界のトップランナーが熱い議論を交わしたオープニングセッションの内容を抜粋して紹介します。

左から、古屋美佐子さん(アマゾンジャパン合同会社Amazonデバイス事業本部オフライン営業本部 営業本部長/ 一般社団法人LIVING TECH協会 代表理事)、山下智弘さん(リノべる株式会社 代表取締役社長/ 一般社団法人LIVING TECH協会 代表理事)、安達功さん(株式会社日経BP 総合研究所 フェロー)

Opening session:【ROAD to 2025】リビングテックロードマップのストーリー戦略


ダイジェストムービーはこちら。

LIVING TECH協会がユーザー視点にこだわる理由

LIVING TECH協会は現在、スマートホームの普及をメインに、さまざまな分野での活動を行っています。「人々の暮らしを、テクノロジーで豊かにする。」をミッションに掲げ、「ユーザー視点」にとことんこだわっている点が最大の特徴です。代表理事の山下智弘さんは、協会について次のように話します。

「LIVING TECH協会は、大企業の方々に集まっていただいて、日本の危機感みたいなものと、一方で日本の明るい未来みたいなものを両方持ちながら『1回やってみよう』とスタートできたのが、とても大きかったと思っています。まだ何も成し得ていない、これからの団体ですが、ユーザ目線、ユーザーのために何ができるかだけを考えている団体というのがすごく珍しくて、この活動に希望や楽しさを感じています」(山下さん)。

LIVING TECH協会設立の背景には「世界の企業の成長に対し日本が遅れをとっている」という危機感があったといいます。

「世界時価総額ランキングというのがあります。左側は平成元年、右側が令和の初めです。30年前は上位50社のうち30以上、6割が日本の企業だったのが、今ではトヨタ1社の状態になっていますね」(安達さん)。

「実は、この数字がLIVING TECH協会を始めようと思ったことと関係しています。この時価総額ランキングはあくまでも一つの物差しですが、この時代に生きる起業家であり、ひとりのビジネスマンとしてこれを見たときに、寂しかったんですね。日本で事業をしている中でそんなことを感じていなかったので。30年間、この大企業の方たちがサボっていたわけでもなく、成長はしているわけです。ただ、それ以上に、アメリカを含めたグローバル企業が一気に成長していて『日本が置いていかれた』ということだと思っています。

僕はその原因の一つが『ユーザー目線(に立てていないから)』ではないかと思うんです。もちろん人口の問題など、他の要因もあるとは思いますが、やはりここに何かヒントがあるんじゃないかと思い、この協会を立ち上げました」(山下さん)。

LIVING TECH協会 代表理事で、アマゾンジャパン合同会社Amazonデバイス事業本部オフライン営業本部 営業本部長の古屋美佐子さんも、山下さんと同じような危機感を持っていると話します。

「アメリカのラスベガスで毎年行われている、世界で一番大きい家電のカンファレンスCESに2020年に参加した時、山下さんとお会いする機会があって、『どう思う?』というお話をしたんです。その時、CESの中で日本の存在感がとても薄かったんですね。

もちろん『もうすぐ追い越されちゃうよ』みたいな話は当時からあったんですが、とっくに追い越されていて。やはり世界で見ると、日本の存在感は非常に薄いという危機感を持っているよと、山下さんとお話させていただいて『何かしなきゃ』ということで協会に参加することにしました」(古屋さん)。

大企業もスタートアップも。協会を軸に様々な協業がスタート

2020年には、二子玉川 蔦屋家電で『暮らしとテクノロジー展』を開催しました。こうした協会の活動を通じて出会った、スタートアップを含む企業との協業がスタートしています。

「この協会の消費者目線を大切にした活動を通じて出会った企業さんと、『一緒にやっていこう』というお話になっていくこともありました。偶発的な話ではあるんですが、我々としては、そうした出会いはとても嬉しいです」(山下さん)。

住宅関連企業の共創で誕生した「真鶴の家プロジェクト」

2021年9月からは、「スマートホームによるWell-beingの実現」をコンセプトに、スマートホームを体験できる場を提供する「真鶴の家プロジェクト」が始動。実際に作ってみて、どんなことが起こるかを試してみようという試みです。

「『真鶴の家』を作ったことで、リアルにいろいろなスマートデバイスが繋がって、実際にそこに人が住めるというのは、やはりすごいことだなと思いました。このプロジェクトを通していくつか実証実験をしてますが、そのうちの一つが、モニターとして2組のご家族に来ていただき、スマートホームの体験をしていただくというものでした。

どのようにデバイスに繋げるのかを説明しながら、実際使ってどう思うか、さらにその後、ご自宅にデバイスを持って帰り、使ってもらってどうだったかをインタビューしました。企業としては、お客様と触れる機会もすごく貴重なんですが、導入から実際に使ってみたところの声まで聞ける機会として、たくさんの学びや気付きがありましたね」(古屋さん)。

「メーカーだとプロダクトを送り届けるところまでは見られますけど、一気通貫で最初から最後まで見る機会は実はなかなかないですよね。もしかしたら、日本企業のプレゼンスが下がっている理由も、そこをつかめてないから、何か細切れになっちゃってしまっているということも考えられますよね。やはりユーザーの生の声に触れる機会というのは、非常に価値があって、そこからビジネスを組み立てていくのが、このLIVING TECH協会の大きな持ち味なのかなと改めて感じています」(安達さん)。

2025年の大阪万博で日本の存在感を示したい

代表理事のお二人は、危機感を感じながらも、日本の存在感を示すことへ意欲を見せています。それを示す場として、2025年に開催予定の大阪万博を視野に入れていると話します。

「2017年にカンファレンスをやり始めて、いろいろなご期待もあり2020年には協会を設立し、2021年頃からだんだんと形になっていきましたが、『何かやりそう』で終わってしまうのはもったいないと思っています。何か形にしたいと思った時、わかりやすいのが2025年の大阪万博。世界に日本を示す一つの大きなポイントだと思っています。『そこで何かやらかしてやろうぜ!』と今、協会のみんなで燃えているところです」(山下さん)。

「Amazonで話しているのは、日本の企業や日本のスタートアップ、もちろん今外資で入ってくださっている方も一緒にミックスで『これが未来の暮らしなんだよ』というのを、日本の方そして世界の方に『日本でこんなことできるんだよ』というのを見せたいなという話はしていますね」(古屋さん)。

サンドボックスの考え方を取り入れ、ユーザーを巻き込みながら“うねり”を作る

オープニングセッションの最後に山下さんは、「サンドボックス」の考え方を取り入れながら、顧客視点が当たり前になるための“うねり”を作っていきたいと語りました。

「真鶴の家プロジェクトもすごく意義がありました。理屈とか資料は作れど、実践するのはなかなか足が重いこともありますよね。あとは、批判されるんじゃないかと躊躇してできないこともあると思います。山下さんと話した時に『サンドボックス』というキーワードが出ました。これは、日本では砂場の意味で、子供が砂場で自由にお城を作るような自由な中で実験をして、駄目だったら壊してまたやろうみたいなことですよね」(安達さん)。

「スピードを上げていく施策の中の一つが、まさにサンドボックスですね。あとは、『ユーザーの巻き込み方』も大切だと思っています。何か批判に繋がるんじゃないかと企業が恐れてできないことも多いと思うんですけど、『失敗するかもしれない、だけど一緒にやってみましょう。意見を聞かせてください』という場をどれだけ作れるかがポイントかなと思っています」(山下さん)。

「このカンファレンスでは、もちろん協会のやってきたこと、これからやっていくことを紹介する目的もあるんですが、この活動に並走してくれる、伴走してくれる人たちを増やしたいという想いもありますよね。私も話を聞いていて日本の、特に大企業はやはりまだ弱いなと感じます。

顧客視点と言いながら実際の顧客目線になかなか立てていないのと、『とにかくやってみる』ということが、なかなかやりにくいですよね。多分この活動にご一緒してもらうと、そういったことをかなり縦横無尽にスピーディーにできるんじゃないかなと、そんな期待を感じました」(安達さん)。

「『顧客視点』と何度も口にしているんですが、実はまだそこに違和感があって。『顧客視点』と言っている時点で、まだそうできていないということなのかなと思うんです。 Amazonさんがまさにそうだと思いますけど、常に顧客のことを意識し続けていれば、あえて口で言わなくてもその考えが普通になっているはず。今後は、その状態にできるための”うねり”を作っていきたいです」(山下さん)。

セッションの模様は、2022年4月12日~2022年5月16日まで期間限定でアーカイブ配信します。

その他講演もこちらからどうぞ!

基調講演1 https://youtu.be/MXrDliYJNT4
基調講演2 https://youtu.be/BA530jytzdU
基調講演3 https://youtu.be/h32nfrzWMDs
Yogibo特別 https://youtu.be/9xkaHH5rnOg

文/久我裕紀

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