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躍進を続けるベンチャー企業の採用システムは何が違うのか?【後編】

2021.09.07

■連載/あるあるビジネス処方箋

前編はこちら

中途採用者を定着させ、戦力化することは難しい。中途採用者は新卒者と異なり、その時点までの経験や知識、ノウハウを兼ね備えている。新しい職場に移ると、それがマイナスに作用することもありうる。だからこそ、採用試験では慎重に応募者(受験者)を見定め、採否を決めるべきだ。

前回と今回で、中途採用者を次々と雇いながらも、躍進するベンチャー企業・Chatwork株式会社(本社・大阪市、代表取締役CEO山本正喜、正社員203人、2021年6月末日時点)の中途採用を取材した。

プロダクト本部(エンジニア、デザイナー、プロダクトマネージャーなどが在籍)の場合は、内定までのステップは次の通り。

①書類選考
②1次面接(面接官は管理職で、約1時間)
③2次面接(面接官は数人の役員、もしくは管理職で、約1時間)
④オンライン体験入社(1日、約2時間)
⑤最終面接(社長、もしくは担当役員で、約1時間)

いずれの職種も採用試験を受ける前に、応募者の希望に応じて「面談」の場を設ける。応募者と管理職1~2人が1時間程、オンラインで話し合う。ミスマッチを防ぐ試みと言える。基本的には、応募者からの質問に答える形式で進める。面接ではないので、採否に直結はしない。

前編では、①~⑤のうちで特に③2次面接について説明したが、後編では④オンライン体験入社を紹介したい。同社はかねてから「極めて重要な試験」と位置付けている。応募者とのマッチング(相性)を確認するためにも体験入社を必ず実施する。「オンライン」にしたのは、2020年から。

オンライン体験入社は、応募者が内定になった場合、配属予定のチームのメンバーと課題について約2時間に及ぶディスカッションをするものだ。メンバーは少ない時で数人、多い場合は10人程。

プロダクト本部の役職者(通常は、マネージャー)は、事前に応募者に課題を伝えている。

課題は日頃、メンバーがチームを組んで仕事をする際の実務経験に近い業務を体験入社用課題にアレンジしたものだ。

マネージャーやメンバーは、オンライン画面を通じて応募者の課題に対してディスカッションし、フィードバックを応募者にできる限りする。オンラインランチを一緒にする場合もある。マネージャーを始め、メンバーたちは丁寧に応募者の技術力と人柄、課題を評価する。

「オンライン体験入社」で特に重視するのは、主に次の2点だ。

「応募者が自分たちのチームに入り、高いレベルやパフォーマンスの技術力を期待値レベルにまで発揮できるか否か」

「チームワーク力があるか」

メンバーの中で評価が大きくわかれ、意見が一致しない場合は不採用とすることが多い。ベンチャー企業を取材していると、各部署でその人を採用するうえで合意がないにも関わらず、社長や役員が採用を決めるケースが多いように私は思う。これでは、ミスマッチはなくらないだろう。同社では応募者の経験やスキル、知識などを確認しながらも、その人との相性をチームで見定める。そして、メンバー全員がそれぞれの意見を言い合う。このように、チームとして採用の精度を高めようとしているのが、特徴的と言える。

多くの社員が中途採用者であり、キャリアを積んできた文化や背景が多種多様であるために、組織作りやチームビルディング、風土作りには念入りだ。

社内の情報共有を浸透させる取り組みの1つが、月1回開催する会議「Cha室」。前半は社長や役員、本部長から経営方針や各事業のトピックスを伝える。後半では、社員の紹介など。例えば、中途や新卒の新入社員のインタビュー。現在は、1時間の生放送でピープル&ブランド本部 BX部 コミュニケーションチームの担当者が司会をする。原則として全社員がオンラインで参加し、チャットで意見や感想を言い合う。 

「Cha室」で代表取締役CEOが会社全体に関するトピックを共有する

ピープル&ブランド本部 BX部 コミュニケーションチームの担当者が司会

「Cha会」オープニング動画の撮影現場でスタッフ(社員)をねぎらう人事担当者

「私たちは、優秀な人に選んでもらえる企業になりたい。中途採用で私たちが人材を競い合うのは有名企業。その競争に負けないように優位性をいかに確立するか。これが、これからの課題と考えている」(ピープル&ブランド本部人事部マネージャー 吉成大祐氏)

代表取締役CEOと人事担当、新入社員数名でオンラインランチ

本連載の過去の記事『壁を乗り越えろ!オンライン英会話スクールを展開するベンチャー企業の人材採用戦略』『知名度やブランドの壁を越える!躍進するベンチャー企業が実践する新卒採用の新しい仕組み』でも取り上げたが、中途採用はハマる人材を選ぶことができるか否か、に尽きると思う。躍進するベンチャー企業には、そのノウハウがあるのだ。

文/吉田典史

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