小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

知名度やブランドの壁を越える!躍進するベンチャー企業が実践する新卒採用の新しい仕組み

2021.08.19

■連載/あるあるビジネス処方箋

前編はこちら

ベンチャー企業にとって新卒採用をする際に最も大きな壁は、知名度やブランド力が大企業や中堅企業、メガベンチャー企業に比べると見劣りすることだ。前回と今回でその壁を独自の手法で乗り越えようと試みる、ビジネス英語に特化したオンライン英会話スクールを展開するベンチャー企業・ビズメイツ(東京都千代田区、代表取締役 鈴木伸明、正社員67人)を紹介したい。

「得意分野で早く活躍できる部署や仕事を会社の側から提示する」

「面接試験ではこのポジションで採用したら、活躍できるのではないかと思える部署や仕事を私から個々の学生に伝えるようにしている。早期に戦力になるためには本人の経験や得意分野、適性が生きて、その仕事にハマることが大事だと思う。このあたりまで含めて丁寧に説明し、納得してもらったうえで内定を出している」

新卒採用担当者・亀田菜月氏は、こう説明する。

新卒採用担当者・亀田菜月氏

同社の新卒採用プロセスは、「即戦力」として雇う中途採用に近いものがある。ビジネス総合職として採用するため、入社後は状況に応じて営業やマーケティング、商品開発など様々な部署で仕事をする可能性はある。

一方で、入社時には得意分野で早く活躍できるような部署や仕事を会社の側から提示して採用試験を進めているのだ。ここが、特に大企業や中堅企業、中小企業とは異なるところだろう。

この試みは一部のベンチャー企業もしているのだが、私の取材では上手くいっていないほうが多い。それは、採用担当者が「得意分野で早く活躍できるような部署や仕事を会社の側から提示する」レベルにまで、自社のことを正確に把握していないのだ。より正確に言えば、採用担当者とその上司の2人だけで採用活動をしているケースが多く、各部署の管理職層と深い意思疎通が行われていない。大企業やメガベンチャー企業のようにはチームビルディングができていないのだろうか。

ビズメイツの場合、亀田氏が各部署で求められる仕事力や経験、知識や素養、性格や気質を念入りにリサーチし、把握している。だからこそ、その部署や仕事にはまるか否かを判断できるのだろう。各部署(ランゲージソリューション事業部、タレントソリューション事業部、ITイノベーション推進室)から事業部長クラスが参加し、新卒採用活動を実施。最終の意思決定は、鈴木社長。チームメンバーで密にコミュニケーションを取り、候補者に関する情報共有を徹底する。これを採用責任者の取締役コーポレートデザイン本部長 木村健氏はラグビーのプレーに例えて、「スクラム採用」と呼ぶ。

マッチする学生に採用試験を受けてもらえる仕組みづくり

2年間で新卒の入社数は12人で、2021年8月現在、退職者数は1人。定着率は高い。内定辞退者はいない。ここが精度の高い採用試験を行っていることの1つの根拠と言える。私が取材で知る限りで言えばベンチャー企業は内定者10人がすると、辞退するのは平均3~4人。多い場合、5人を超える。大企業やメガベンチャー企業は内定者30人の場合、辞退者は1~2人。

ビズメイツは採用の精度を高めるための取り組みとして、書類選考やグループワーク(エントリー者が数人で、特定のテーマで討議をする)、面接試験(1回につき平均1時間)、社員面談などがある。

以下は、木村取締役や亀田氏が特に重点的に確認するポイントだ。

◆グループワーク

論理的思考力、主体性(影響力)、チームワーク(周囲とのコミュニケーション、傾聴力など)、オンライン上での対話力

「当社の中期経営計画資料からマーケット・競合・ポジショニング・サービスなど3C分析の情報を与え、それを分析したうえで新規サービス提案させる内容や、会社理解・中長期的に活躍できるポテンシャルの見極め・優秀層の魅力づけも行う」(木村取締役)

◆個別面接

「まず、その方の過去~現在~未来について各エピソードをくわしくお聞きする。そして、当社のミッションビジョンへの共感、主体性や行動力、仕事を進めるうえでのモチベーションなどが、私たちとマッチするかなどを確認させていただく」(亀田氏)

◆最終面接

プレゼンテーションなどを通して主体性や論理性などの総合力から見て判断する。社長や事業責任者と話をする場を設けて、ビズメイツについて理解を深めてもらう。

質の高い母集団形成

亀田氏が特に力を入るのが、質の高い母集団形成だ。同社の事業や経営理念、文化、社員たちと合う学生からのエントリー者を増やし、採用できるようにしている。

施策の1つは、人材紹介会社からの紹介だ。約10の紹介会社の担当者と密に連絡をとり、会社として求めている人材(学生)を具体的に伝え、共有する。そのうえで紹介を受け、好ましいと思える学生には会社説明会を受けるように誘う。

2つめは、スカウト。学生をスカウトするウェブサイト「オファーボックス」を使用し、その中から求めている人材を選び、会社説明会を受けることを打診する。

3つめとして、自社のホームページに、エントリーできるページを設けている。

4つめは、亀田氏自らが運営するTwitterだ。2020年8月に始め、現在フォローワーは約2350人。Twitterを通じての就活についての相談も随時受ける。これらを通じて情報発信を繰り返し、学生などと接点を持つようにしている。

求人サイトに求人広告を載せることはしていない、という。依然として、多くの大企業、中堅企業、ベンチャー企業、中小企業が学生を採用する際に求人サイトを使う。その意味では、差別化をしているとも言える。

「新卒に限らず、求人サイトは広い範囲の人材を対象にする傾向があると私は思う。その方法は、弊社には現時点では合わないのかもしれない。私たちの事業や経営理念、風土などに合い、入社後にハマるような人を求めている。そのためには、たくさんのエントリー者をやみくもに集めるよりは、私たちにマッチする学生に採用試験を受けてもらえる仕組みづくりにこだわりたい。その意味での質を守ることは大切にしていきたい」(亀田氏)

亀田氏は今後の課題として、会社のさらなる認知度と内定に至るまでの精度の向上を挙げる。「SNSやWEBマーケティングの観点で、私たちが求める人材にとって魅力的なコンテンツを充実させたい。そして、目指すビジョンやミッションを明確にわかりやすく表現し、活躍してもらえる人材に精度高くリーチできる仕組みをつくりたい」。

私は、ほとんどの新聞やテレビ、ネットニュースがベンチャー企業を報じる時、光の部分を誇張しているとかねてからみている。中には、それがやりすぎと思えるものもある。だが、こういう報道からはなぜ、そこの部分が優れているのかがわからない。取材者が、背景や実態を深く調べていないからだと思う。それらとは一線を画す意味でも、前回と今回では躍進するベンチャー企業の新卒採用の仕組みに着眼した取材を試みた。

ベンチャー企業は大企業やメガベンチャー企業に比べると、圧倒的なハンディを負う。それをいかに克服していくか。そこには必ず、優れたリーダーがいる。そのもとで念入りな立案と準備が行われている。その試みは実は地味で、人を採用するうえで本来しなければいけない、基本的なことばかりなのだと思う。

亀田菜月氏と木村健氏

文/吉田典史

小学館ID登録&@DIMEログインでルンバi3+&Amazonギフト券が当たる

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2021年9月16日(木) 発売

DIME最新号の特別付録は「モバイルPCスタンドMAX」! 特集は「通勤自転車ベストバイ」、「Chromebook vs Surface」

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 10401024号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。