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8月に毎年ある「お盆休み」。 2024年のお盆休みはいつからいつまでなのでしょうか? また、お盆が祝日ではないことや、そもそもお盆とは何なのか、地域で違うお盆の期間についてご紹介します。さらに、お盆休みの各機関の営業、交通機関などの情報もお伝えします。
2024年のお盆休みはいつ?
お盆とはいつからいつまでの期間なのでしょうか?
一般的に、お盆は8月13日から8月16日で、お盆の始まりにあたる8月13日は「盆入り(又は盆の入り)」、お盆の終わりになる8月16日は「盆明け」と呼びます。
多くの地域では、8月13~16日の4日間にお盆休みを取るのが一般的です。前後に土曜日・日曜日・祝日がある場合、5日間以上の大型連休になる場合もあります。
9連休になる人も
2024年のお盆休み期間は、土日が休みの会社の場合、8月10日(土)から18日(日)の9日間になるところが多いでしょう。うらやましいですね。なお今年の「山の日」は8月11日(日)のため、翌12日(月)が振替休日となります。
お盆は祝日なのか?
お盆は祝日?それとも平日なのでしょうか? カレンダーでは祝日にはなっていないことに気づきます。
日本の祝日は「祝日法」という法律で決められており、内閣府のホームページで現在の「国民の祝日」が公開されています。その祝日の一覧によると、お盆という祝日は定められていません。つまり、お盆は祝日ではないということです。
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お盆とは
お盆は、先祖や亡くなった人の霊が『あの世』から『この世』に戻ってくるとされている期間です。現在も供養を目的とした風習が各地で残っています。昔の人もお盆中には休暇を取って実家に帰り、つかの間の休日を過ごしていました。
お盆の由来
お盆の正式名称は『盂蘭盆(うらぼん)』または『盂蘭盆会(うらぼんえ)』です。盂蘭盆の語源は、サンスクリット語の『逆さづりの苦しみ』を意味する『ウラバンナ』や、ペルシャ語で『霊魂』を意味する『ウラヴァン』など諸説あります。
盂蘭盆の由来とされているのが『盂蘭盆経(うらぼんきょう)』というお経です。このお経の元になったエピソードでは、地獄で逆さづりの刑を受けている弟子の母親を救う方法として、釈迦が「旧暦の7月15日に高僧を供養するように」と教えを説いたとされています。
その通りにしたところ、弟子の母親は地獄から救われ、往生できたとのことです。
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お盆休みの始まり 藪入りとは?
かつての日本には、『藪入り』という習慣がありました。1月16日と7月16日の年2回、奉公人が主人から休暇をもらって、実家に帰ることを指します。休暇だけが目的ではなく、一族が集まる正月やお盆の行事に参加させる意味もあったようです。
終戦前は労働者の貴重な休みとして、藪入りが心待ちにされていました。昭和40年代ごろまでは、藪入りの日に休む百貨店や商店もあったとのことです。時代とともに働き方が大きく変わって、藪入りという言葉は使われなくなりましたが、現在もお盆に休暇を取る習慣が残っています。
藪入りの語源
藪入りの語源は判明しておらず、有力とされる説がいくつかあります。一つは、藪の深い田舎に帰る様子から名付けられたという説です。
実家に帰る意味を持つ『宿入り』という言葉がなまって、藪入りに変化したという説もあります。今のように交通機関が発達する前は、実家に帰る途中で何度か宿に泊まる必要があったことから、宿入りと呼ばれていたのです。
他にも「父を養うために実家に帰る『養父入り』や『家父入り』という言葉が変化した」「実家に帰れない者が藪で遊んでいた」などの説があります。
お盆は先祖の霊を迎える行事
お盆は亡くなった人や先祖の霊を迎える『迎え盆』から始まり、霊を送る『送り盆』で締めくくります。お盆の時期は地域によって異なり、風習もさまざまです。お盆の期間中にお墓参りをするのは、古くからのしきたりが関係しています。
地域によって時期は異なる
お盆の時期は地域によって違いがあり『月遅れ盆』『新暦のお盆』『旧暦のお盆』の3通りが主流です。現在は多くの地域で8月13~16日の月遅れ盆が採用されています。新暦のお盆は、7月13~16日に行われるお盆のことです。
旧暦のお盆は、現在の新暦に変わる前に用いられていた『太陽暦』の7月15日を中日とします。改暦以降は旧暦のお盆を廃止する動きがあり、現在は沖縄県など一部の地域にしか残っていません。
旧暦のお盆は毎年日付が変わり、新暦でいう8月の年もあれば9月の年もあります。20年は8月31日~9月2日です。
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お盆にすること
お盆の風習は地域ごとに異なります。例えば、キュウリで作った『精霊馬(しょうりょううま)』と、ナスで作った『精霊牛(しょうりょううし)』の飾り方にも差があるようです。
馬は足が速いことから「早く家に帰ってきてほしい」、牛は「お供え物をたくさん積んで、ゆっくりあの世に帰ってほしい」という願いが込められています。そのため馬は迎え盆に、牛は送り盆に飾るのが一般的です。地域によっては、「ぎりぎりまで家にいてもらえるように」と送り盆に馬を用意するところもあります。
地域差はありますが、お盆にすることは霊を丁重に迎えて送ることです。霊を送り迎えするときの儀式である『迎え火』や『送り火』も、夏の風物詩として親しまれています。
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お墓参りをする理由
お盆中にお墓参りをする人も少なくありません。そこで浮かんでくるのが「霊がこの世に帰ってきているのに、お墓参りをする必要はあるのか?」という疑問です。
古くからお盆中にお墓参りをする風習はあったとされています。霊をこの世に迎えるときと送るときの計2回、お墓参りをしていたようです。お墓が遠いなどの理由で2回お参りするのが難しい場合も、感謝の気持ちを込めて手を合わせれば立派な供養になるでしょう。
お墓はあの世とこの世の玄関口ともいわれています。霊を気持ちよく迎える準備として、お墓をきれいに掃除してもよいでしょう。
知っておきたい迎え火と送り火の役割
霊があの世とこの世を行き来するための重要な儀式として行われているのが、迎え火と送り火です。地域によって方法や規模が異なり、なかには観光客が訪れる一大イベントに発展しているものもあります。
迎え火
お盆の初日には、霊がこの世に帰ってくるときの『目印』として、迎え火が行われます。「迷わず家に帰ってこれるように」と願いを込めて、夕方か夜に行うのが一般的です。家の玄関・門の出入り口・お墓など、迎え火をする場所も地域によって異なります。
マンションなどでたき火ができないときは、ちょうちんの出番です。吊るすタイプもあれば置くタイプもあり、飾る場所に合わせて選択できます。場所も取らないことから、現代人の生活に合っているといえるでしょう。お墓から家までの道をちょうちんで照らす地域もあります。
送り火
一緒に過ごした霊を送り出す儀式が、送り火です。一般的には15日、もしくは16日に行われます。迎え火も送り火も手順は同じです。『焙烙(ほうろく)』という耐熱性の平皿に短く折った『オガラ』をのせて、しばらく燃やします。
オガラとは、麻の皮をはいだ茎の部分のことです。麻は神聖なものとして扱われてきた歴史があり、空間を清めることができるとされています。
霊があの世に帰るときにも火をたくのは「オガラの火に送られて帰っていく」といわれているからです。送り火を消したら、その年のお盆は終わったことになります。
地域や宗派ごとに違いがある
迎え火も送り火も、地域よって方法や目的が異なります。東京都などの一部の地域で受け継がれているのが、たいているオガラや灰になったオガラの上をまたぐ風習です。家の玄関から外に向かって3回またぐことで、家族の厄除けや無病息災が願われてきました。
京都府では五つの山で行われる『大文字焼き』が有名です。山に『大』などの文字がダイナミックに浮かび、ひと目見ようと多くの人が訪れます。宗派によっても違いがあり、お経を唱える宗派がある一方、浄土真宗は迎え火も送り火も行いません。