人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

お盆にナスやキュウリを用意するのはなぜ?「精霊馬」の役割と風習を解説

2020.07.30

お盆のお供え物でひときわ目を引く存在といえば、ナスやキュウリで作った『精霊馬(しょうりょうま)』です。ユニークな見た目ですが、重要な役割を持っています。身近なもので簡単に作れるので、今年のお盆はぜひお供え物に加えてみましょう。

お盆は先祖が帰ってくる日

お盆は、中国から伝わった仏教と日本古来の風習が由来とされている行事です。先祖の霊を迎える風習が受け継がれている一方、お盆だからといって特別なことはしない宗派もあります。

お盆の由来

お盆は仏教の要素が強いイメージがありますが、日本古来の風習も深く関係しています。

日本では古くから年に1~2度、先祖の霊を供養する行事が執り行なわれてきました。そこに海の向こうから仏教が伝わり、日本の風習と合わさったものがお盆です。

日本で最初にお盆が行なわれたのは、飛鳥時代に当たる606年とされています。その後、平安時代ごろからは宮中をはじめとする上流階級の人たちの間で行なわれてきました。

庶民の間にも広まったのは、江戸時代になってからです。

盂蘭盆が起源とされる

お盆の由来となったのは『盂蘭盆(うらぼん)』という仏教の教えといわれています。盂蘭盆の語源となったのは、サンスクリット語の『逆さづり』を意味する『ウラバンナ』という言葉です。

仏教の開祖である釈迦の弟子『目連(もくれん)』は、神通力(じんつうりき)を通して、亡き母が地獄で逆さづりになっているのを目撃したといいます。

亡き母を救いたかった目連が釈迦に相談したところ、「夏に僧侶を招いて供え物を捧げるように」と言われたそうです。そのとおりにしたところ、亡き母は逆さづりから救済され、成仏できたという教えがお経となって残っているのです。

ご先祖を迎え供養する習慣が広がる

お盆は先祖がこの世に帰ってくるとされている期間です。先祖を迎えるために『墓参り』や『迎え火』などをして、丁寧に供養する家庭も少なくありません。お盆でなくても先祖の供養はできますが、あえて盂蘭盆にのっとって行なうことで一種のセレモニーのようになっています。

宗派や地域によって習慣が異なることも、覚えておきたいポイントです。たとえば浄土真宗では「先祖は浄土で仏様になっている」とし、お盆だからと迎え火や装飾をしないことで知られています。

お盆の風物詩、精霊馬

お盆の供え物といえば、精霊馬を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。精霊馬は地域によって素材が異なりますが、ナスやキュウリで作るのが一般的です。地域によって意味合いが違う点にも、注目してみましょう。

精霊馬とは

精霊馬は『お盆馬』とも呼ばれ、ナスやキュウリを馬や牛に見立てた供え物の一つです。作り方は地域によって異なり、割りばし・つまようじ・オガラなどを刺して四本足にしたものが有名でしょう。

現在はナスやキュウリで作るのが一般的ですが、地域によっては『わら』で作った精霊馬を飾るところもあるようです。たてがみやしっぽを細かく再現するなど、職人技が光る精霊馬もあります。

ナスは牛、キュウリは馬の見立て

精霊馬を飾ることの意味合いは、地域・宗派・家のしきたりなどによって異なります。一般的には、ナスで作ったものはゆっくりと歩く牛、キュウリで作ったものは足の速い馬がイメージされています。

「この世には馬に乗って早く来てもらい、あの世には牛に乗って景色を眺めながらゆっくりと帰ってもらいたい」という願いを込めて作るそうです。

なかには「行きも帰りもキュウリで作った馬に乗り、ナスで作った牛には供え物などの荷物をのせる」とする地域もあります。

ナスとキュウリを使うのはなぜ?

精霊馬を作るときに、ナスとキュウリが使われている理由は、はっきりとは分かっていません。

諸説ありますが、ナスもキュウリも旬の『夏野菜』だからという説が有力です。どちらも夏の時期に多く採れて、全国各地で収穫できる野菜として知られています。手に入りやすく誰もが知っている野菜だから、と考えれば自然なことかもしれません。

沖縄では、先祖があの世に戻るときに使う杖として『サトウキビ』を供える風習があります。お盆に供える野菜には地域性も関係しているといえるでしょう。

精霊馬を作ってみよう

精霊馬の材料は、最寄りのスーパーなどで手軽に入手できます。作り方も簡単なことから、子どもと一緒に家族みんなで作成するのもありです。お盆に間に合うように準備するため、事前にスケジュールを立てておきましょう。

12日の夕方または13日の朝に作る

7月または8月の13日に先祖をこの世に迎え入れる『迎え盆』を、お盆の最終日である16日には先祖をあの世へ送り届ける『送り盆』を行ないます。先祖の霊を迎える役割と送る役割の両方を担っている精霊馬は、迎え盆と送り盆の両方に必要です。

迎え盆に間に合うように、12日の夕方~翌朝までには精霊馬を作っておきましょう。迎え盆当日にはスムーズに飾れるように、精霊馬と一緒に飾る果物などの供え物も準備を済ませておきたいところです。

必要な材料を用意

必要なものは、ナスとキュウリが1本ずつと、2膳の割りばしだけです。もっと簡単に作りたいなら、割りばしではなくつまようじを使ってもよいでしょう。

割りばしを使うときには、事前にカッターで半分に切って長さをそろえておきます。一気に切らずに、割りばしを回しながら少しずつカッターの刃を入れていきましょう。

古くからの習わしに従って、オガラを使うのも風情があっておすすめです。オガラは麻の皮をむいた茎の部分を指します。麻は神聖な植物として重宝されてきました。お盆の時期になると、オガラの取り扱いを始めるホームセンターやスーパーが増えます。

乗り物に見立てて作成

ナスの牛を作るときは、ヘタを頭に見立てるとよいでしょう。ナスは小ぶりのものでも太さがあってバランスがとりやすいです。キュウリの馬よりも簡単に作れるので、家族で作るときは子どもに任せると喜ばれます。

ナスの牛もキュウリの馬も、四本足になるように割りばしをさし込んでいく工程は共通しています。自立するように、脚の角度や長さを調節しましょう。牛や馬に限らず「乗り物であれば大丈夫」とする家庭もあり、故人が好きだった車やバイクなどの乗り物を模して作る人もいます。

精霊馬の飾り方

精霊馬は精霊棚に飾るのが一般的です。本格的な精霊棚はスペースを必要とするため、簡易的なものでもかまいません。精霊馬としての重要な役割を果たせるように、飾り方も押さえておきましょう。

精霊棚を準備

精霊棚は「しょうれいだな」や「しょうりょうだな」と読みます。地域によっては『盆棚』と呼ばれることもありますが、つまりは先祖への供え物をするための棚です。昔ながらの精霊棚は、四方に笹竹を立てて、しめ縄を張ります。

現代ではマンション住まいの人も多く、本格的な精霊棚を用意するのは困難です。住宅事情を考慮して、簡易的なもので済ませるケースも珍しくありません。

簡易的な精霊棚の場合、仏壇の前に経机や小机などを置き、その上に『まこも』や敷物をしきます。あとは精霊馬などの供え物を設置すれば、簡易的なものとはいえ、立派な精霊棚になるでしょう。

他のお供え物と一緒に飾り付け

精霊棚に飾るものは、精霊馬の他に位牌・香炉・水の子・季節の果物・ミソハギの花・故人の好物・盆提灯・鈴などが一般的です。簡単な精霊棚で済ませる場合は、一部を省略してもよいでしょう。

位牌は仏壇から出して、精霊棚の中央に安置するのが基本です。あとは、季節の野菜や果物、故人の好物、精霊馬を供えます。精霊棚の脇には盆提灯を置いて、明かりをともしましょう。精霊棚の規模は問わず、先祖を迎えて丁寧に供養することが大切です。

飾る時期と置き方の決まり

精霊馬を飾る時期も置き方も地域や宗派によって異なりますが、7月もしくは8月の13日~16日に精霊棚へ飾るのが一般的です。

精霊馬を飾る際には『向き』に注意しましょう。迎え盆のときは内向きに、送り盆のときは外向きに置きます。キュウリの馬は先祖の霊をこの世にお迎えるだけでなく、あの世に送る役割もあるため、迎え盆と送り盆とでは置く向きを変えます。先祖を送るナスの牛は、外向きに飾りましょう。

精霊馬はどう処分する?

精霊馬は『先祖の乗り物』とあって、処分の方法に困る人もいるでしょう。処分の仕方は地域や家庭によって異なるため、取り入れやすい方法を参考にしてみてはいかがでしょうか。処分する前に、自宅で簡単に清める方法もあります。

昔は海や川に流していた

精霊馬をはじめ、役割を終えたお盆の供え物は、海や川に流すのが一般的でした。しかし、現在の日本では勝手に海や川に流すと、条例違反に当たる可能性があるため、現実的ではありません。環境汚染の問題もあり、海や川に流さないようにと呼びかけている自治体もあります。

同様の理由で、先祖の霊と供え物を『精霊船(しょうろうぶね)』にのせて川に流す『精霊流し(しょうろうながし)』も、形を変えているのが現状です。例として挙げると、大阪府の『中之島の精霊流し』では、川に流す代わりに燭台(ろうだい)でロウソクがともせるようになっています。

現代は家庭によってまちまち

精霊馬を処分する方法は、家庭の環境によって異なります。自宅に庭や畑などがある家庭なら、土に埋めるのが一般的です。しかし、全ての家庭に庭や畑があるわけではありません。

埋めて処分が難しい場合は、近所のお寺へ問い合わせてみるのも一つの手です。精霊馬を作る家庭が多い地域では『お焚き上げ』などをして、お寺が処分してくれるケースもあります。

元は野菜と割りばしなので、可燃ごみとして処分することも可能です。ごみとして処理する場合は、塩で清めてから半紙などに包んで袋に入れます。埋める場所や近くにお焚き上げを頼めるお寺がない家庭は、この方法で処分することが多いようです。

構成/編集部

新型コロナウイルス対策、在宅ライフを改善するヒントはこちら

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2020年7月16日(木) 発売

DIME最新号の特別付録はミクロの世界を楽しめる「90倍スマホ顕微鏡」!特集は「家ナカ オフィス改造計画」

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 10401024号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。