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意外と知らない「土用の丑」の意味、うなぎを食べるようになった3つの説

2020.07.14

土用の丑の日(どようのうしのひ)には、ウナギを食べる風習があります。しかし、土用の丑の日がどんな日なのか知らない人もいるでしょう。土用の丑の日の意味やウナギを食べる理由・土用の日にまつわる風習などを知り、古くから続く季節の行事を楽しみましょう。

土用の丑の日の意味とは?

土用の丑の日と言われても、日常生活で使用しない言葉のため、意味が分からない人も多いでしょう。土用の丑の日の意味は、『土用』と『丑』のそれぞれの由来を知ると分かりやすいです。

「土用」は季節が変わる約18日間のこと

土用は、中国発祥の『五行説』が由来です。五行説は、全ての事柄が木・火・土・金・水の五つの要素に当てはめられるという思想です。

しかし、季節は春・夏・秋・冬の四つのため、五行を振り分けると、木=春(青)、夏=火(赤)、秋=金(白)、冬=水(黒)となり、『土』が余ってしまい、土の要素は全ての季節に存在するものとされました。そして、それぞれの季節の変わり目を土用と呼ぶようになったのです。

季節の変わり目である立春・立夏・立秋・立冬を迎える前の約18日間が、土用に当たります。つまり、現在は夏の土用のみが広く浸透していますが、本来は全ての季節に存在しているのです。

「丑」は十二支の一つ

丑は、干支で知られる『十二支』と関係しています。丑は、子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥の十二支の中の丑のことです。

十二支は干支のイメージから、「今年は丑年、来年は寅年」といった風に、1年単位で変わる物と思われがちです。しかし実際には、1日単位でも決められています。つまり、土用の丑の日というのは、『約18日間の土用期間にある丑の日』という意味です。

なお、土用の日数と十二支の数は同じではありません。約18日の土用に対し、丑の日は12日周期でやってくるため、土用期間に丑の日が2回巡ってくる場合もあります。2回ある場合は、『一の丑』『二の丑』と呼び分けています。

夏の土用の丑の日が有名な理由は?

夏以外にも土用の丑の日は存在します。夏の土用の丑の日だけが広く浸透したのは、季節に関係しているとされています。どんな理由があるのでしょうか?

体調を崩しやすい時期だから

土用は季節の変わり目のため、体調を崩しやすい時期です。中でも夏は、暑さによる夏バテや食欲不振などにより、体調を崩しやすくなります。

また、今とは生活様式が異なり、冷蔵保存設備もなかったので雑菌なども繁殖しやすく、疫病が流行りやすい時期でもありました。そういった背景から、夏の土用が重要視されるようになったとされています。

夏の土用に、栄養があり精の付くウナギを食べて、夏バテを防止しようという風習が習慣化したのです。

2020年の夏は7月と8月の2回

土用の日程は毎年異なるため、必然的に土用の丑の日も変わります。2020年の夏の土用の丑の日は、2回あります。これは、前述の通り、土用が約18日間なのに対し、丑の日は12日周期で訪れるためです。

20年は、7月21日と8月2日になります。この日には、スーパーなどでもウナギが販売されているので、風習にのっとってウナギを食べ、暑さの乗り切りましょう。

なお、20年の冬の土用の日は1月23日ですが、春は4月16日と4月28日の2回、秋も10月25日と11月6日の2回巡ってきます。

ウナギを食べるのはなぜ?

数ある食べ物の中で、なぜウナギなのか疑問に思っている人もいるのではないでしょうか?はっきりとした由来は分かっていませんが、主に三つの説があります。それぞれの由来について紹介します。

夏を乗り切るために

真夏にある夏の土用の丑の日は、暑さによる夏バテなどで体調を崩しやすくなります。そのため、栄養のある食べ物を食べて、体調管理をしようという考えが始まりという説があります。

ウナギが精の付く食べ物というのは、奈良時代から知られていたとされています。ウナギには、ビタミンA、ビタミンB類、ビタミンDといったビタミン群をはじめ、亜鉛、カルシウムなどの栄養素が豊富に含まれています。そのため、疲労回復や食欲増進など、夏バテの防止になるとされ、ウナギが食べられるようになったといわれています。

参考:うなぎの栄養 | 近畿養鰻増殖研究所

「う」が付く食べ物だから

ウナギは、丑の日の『う』が付く食べ物だからという説もあります。もともとは、体調を崩しやすい土用には、夏バテ防止になる栄養のある食べ物を食べたほうがよいという考えに基づいています。

「土用の丑の日に、うの付く食べ物を食べると夏バテしない」という民間信仰が次第に広がり、定着したとされています。ウナギは古くから精の付く栄養のある食べ物だと知られていたため、ウナギが選ばれたという説です。

なお、土用の丑の日に梅干し・うどん・牛肉・馬肉・瓜などを食べる地域もあります。

平賀源内が広めたという説も

江戸時代を代表する学者の平賀源内が広めたという説もあります。ウナギ屋が夏場にウナギが売れないことを平賀源内に相談したことがきっかけとされています。

ウナギの旬は冬であることや、暑い時期に脂が乗ったウナギが好まれないこともあり、夏場になるとウナギが売れにくい状況でした。困ったウナギ屋が平賀源内に相談したところ、店頭に「今日はウナギの日です」という張り紙で宣伝するようにアドバイスされたのです。

当時「うのつく食べ物を食べると夏バテしない」という迷信が広まっていたこともあり、大盛況したのです。それが、土用の丑の日にウナギを食べる風習として定着したとされています。

ウナギ以外の食べ物も紹介

土用の丑の日の定番と言えば、ウナギと答える人がほとんどでしょう。しかし、実はそれ以外にも古くから伝わる食べ物があります。ウナギ以外の行事食を食べながら、土用の丑の日を楽しむのもよいのではないでしょうか?

栄養価の高い土用シジミ

夏の土用は、栄養価の高い精の付く食べ物を食べて夏バテを防止しようという風習があります。シジミも『土用シジミ』と呼ばれ、行事食の一つでした。昔から『土用シジミは腹の薬』といわれ、体によい食べ物として知られていたのです。

シジミの旬は、夏と冬の2回あり、旬の時期はミネラルなどの栄養が豊富になり、栄養価が高まります。そのため、栄養価が高く精の付くシジミを食べて、夏バテ防止や栄養補給をしていたのです。

シジミは、現在も肝機能などを助けることで知られています。夏バテで食欲が湧かないときなどは、シジミのみそ汁を飲んで栄養補給するのもよいでしょう。

土用餅で無病息災

地方によっては、土用の丑の日に『土用餅』を食べる習慣が残っています。土用餅は、土用に食べるあんころ餅のことです。

かつて宮中では、ガガイモの葉を煮だした汁で練って作った餅をみそ汁に入れて、食べる習慣がありました。この習慣が、江戸時代にあんこで餅を包んだあんころ餅に変わり、土用餅として浸透したのです。

餅は力餅、あんこは厄除けになると信じられ、土用餅を食べることで夏バテせず、無病息災で過ごせるとされているのです。

滋養食の土用卵

卵も土用の丑の日の食べ物の一つです。『土用卵』と呼ばれ、土用期間に産み落とされた卵を食べる風習です。

卵は昔から栄養価の高い滋養食として知られていました。精が付き、疲労回復や夏バテ防止になるとして行事食になったのです。

卵は現在も『完全栄養食』とも言われ、栄養のある食べ物として知られています。ゆで卵・目玉焼き・卵焼きなどさまざまな食べ方がありますし、土用の丑の日にウナギと一緒に食べるのもおすすめです。

土用の丑の日の風習

現在に伝わっている土用の丑の日の風習は、行事食だけではありません。現在の私たちの生活にも簡単に取り入れられる物もあります。あまり知られていない風習を紹介します。

衣類や書物の虫を防ぐ土用干し

土用には、『土用干し』という習慣があります。夏の土用期間の晴れた日に、衣類や書物などを干す風習のことです。

梅雨の時期は湿度が高くなります。そのため、土用干しで梅雨時期にたまった湿気を取り除くという意味があります。衣類などを干して風を通すことで、虫やカビを防止する目的があるのです。

また、土用干しには、10〜11月の『秋干し』と1〜2月の『冬干し(寒干し)』もあります。

田んぼを乾かす中干し

稲作がさかんな地域では、土用の時期に『中干し』という恒例の作業があります。『土用干し』とも呼ばれており、田んぼの水を抜き、ヒビが入るくらいまで土を乾燥させるのです。中干しの期間は、土の状態や質により異なりますが、約7〜10日とされています。

中干しの目的は、いくつかあります。まず、土を乾かすと土中に酸素が入るため、根に活力が与えられ根腐れを防げます。また、同時に土中に蓄積された有害なガスを抜くことができます。さらに、窒素の吸収を抑制し、未熟粒や下葉腐れを防止する目的もあります。

中干しすることで、肥料の吸収力がアップし稲全体が健康になり、おいしいお米に仕上がるのです。

夏バテ・疲労回復にぴったり丑湯

古くから続いている夏の土用の風習の一つに、『丑湯』と呼ばれるものがあります。これは、土用の丑の日に薬草を入れた湯につかり、夏バテ防止や疲労回復を促す風習です。

江戸時代には、桃の葉を入れて入浴する桃湯が一般的でした。桃の葉は、あせもや湿疹・虫刺されなど、夏の肌トラブルに適しているとされています。実際に、現在も桃を使った入浴剤やバスグッズなどがたくさん売られています。

昔ながらに桃の葉を使うのは難しいですが、丑の湯の素を使って風習を味わうのもよいのではないでしょうか?夏場は、シャワーだけで簡単に済ませしまいがちですが、夏バテをしやすい暑いときこそ、湯に入り疲れをとるようにしましょう。

土用の丑の日に避けたほうがいいこと

土用の丑の日は、ガーデニングなど土を動かす作業は避けましょう。土の神様の怒りに触れるとされているためです。ただし、土の神様が地上にいないとされる『間日(まび)』であれば、土いじりも可能です。

また、結婚・引っ越し・開業・転職など、新しいことを始めるのも控えましょう。季節の変わり目である土用は体調を崩しやすいため、静かに過ごした方がよいという風潮の影響によるものとされています。

さらに、旅行なども避けた方がよいといわれています。しかし、土用期間は夏休みと重なるため、旅行に行きたい人も多いのではないでしょうか?どうしても旅行に行きたいという人は、できれば夏の土用の凶の方角である『土用殺』の南西を避けるようにするとよいでしょう。

構成/編集部

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