ウナギ以外の食べ物も紹介
土用の丑の日の定番と言えば、ウナギと答える人がほとんどでしょう。しかし、実はそれ以外にも古くから伝わる食べ物があります。ウナギ以外の行事食を食べながら、土用の丑の日を楽しむのもよいのではないでしょうか?
今年の「土用の丑」の日は?うなぎ以外にも古くから伝わる食べ物があった!
栄養価の高い土用シジミ
夏の土用は、栄養価の高い精の付く食べ物を食べて夏バテを防止しようという風習があります。シジミも『土用シジミ』と呼ばれ、行事食の一つでした。昔から『土用シジミは腹の薬』といわれ、体によい食べ物として知られていたのです。
シジミの旬は、夏と冬の2回あり、旬の時期はミネラルなどの栄養が豊富になり、栄養価が高まります。そのため、栄養価が高く精の付くシジミを食べて、夏バテ防止や栄養補給をしていたのです。
シジミは、現在も肝機能などを助けることで知られています。夏バテで食欲が湧かないときなどは、シジミのみそ汁を飲んで栄養補給するのもよいでしょう。
土用餅で無病息災
地方によっては、土用の丑の日に『土用餅』を食べる習慣が残っています。土用餅は、土用に食べるあんころ餅のことです。
かつて宮中では、ガガイモの葉を煮だした汁で練って作った餅をみそ汁に入れて、食べる習慣がありました。この習慣が、江戸時代にあんこで餅を包んだあんころ餅に変わり、土用餅として浸透したのです。
餅は力餅、あんこは厄除けになると信じられ、土用餅を食べることで夏バテせず、無病息災で過ごせるとされているのです。
滋養食の土用卵
卵も土用の丑の日の食べ物の一つです。『土用卵』と呼ばれ、土用期間に産み落とされた卵を食べる風習です。
卵は昔から栄養価の高い滋養食として知られていました。精が付き、疲労回復や夏バテ防止になるとして行事食になったのです。
卵は現在も『完全栄養食』とも言われ、栄養のある食べ物として知られています。ゆで卵・目玉焼き・卵焼きなどさまざまな食べ方がありますし、土用の丑の日にウナギと一緒に食べるのもおすすめです。
土用の丑の日の風習
現在に伝わっている土用の丑の日の風習は、行事食だけではありません。現在の私たちの生活にも簡単に取り入れられる物もあります。あまり知られていない風習を紹介します。
衣類や書物の虫を防ぐ土用干し
土用には、『土用干し』という習慣があります。夏の土用期間の晴れた日に、衣類や書物などを干す風習のことです。
梅雨の時期は湿度が高くなります。そのため、土用干しで梅雨時期にたまった湿気を取り除くという意味があります。衣類などを干して風を通すことで、虫やカビを防止する目的があるのです。
また、土用干しには、10〜11月の『秋干し』と1〜2月の『冬干し(寒干し)』もあります。
田んぼを乾かす中干し
稲作がさかんな地域では、土用の時期に『中干し』という恒例の作業があります。『土用干し』とも呼ばれており、田んぼの水を抜き、ヒビが入るくらいまで土を乾燥させるのです。中干しの期間は、土の状態や質により異なりますが、約7〜10日とされています。
中干しの目的は、いくつかあります。まず、土を乾かすと土中に酸素が入るため、根に活力が与えられ根腐れを防げます。また、同時に土中に蓄積された有害なガスを抜くことができます。さらに、窒素の吸収を抑制し、未熟粒や下葉腐れを防止する目的もあります。
中干しすることで、肥料の吸収力がアップし稲全体が健康になり、おいしいお米に仕上がるのです。
夏バテ・疲労回復にぴったり丑湯
古くから続いている夏の土用の風習の一つに、『丑湯』と呼ばれるものがあります。これは、土用の丑の日に薬草を入れた湯につかり、夏バテ防止や疲労回復を促す風習です。
江戸時代には、桃の葉を入れて入浴する桃湯が一般的でした。桃の葉は、あせもや湿疹・虫刺されなど、夏の肌トラブルに適しているとされています。実際に、現在も桃を使った入浴剤やバスグッズなどがたくさん売られています。
昔ながらに桃の葉を使うのは難しいですが、丑の湯の素を使って風習を味わうのもよいのではないでしょうか?夏場は、シャワーだけで簡単に済ませしまいがちですが、夏バテをしやすい暑いときこそ、湯に入り疲れをとるようにしましょう。
土用の丑の日に避けたほうがいいこと
土用の丑の日は、ガーデニングなど土を動かす作業は避けましょう。土の神様の怒りに触れるとされているためです。ただし、土の神様が地上にいないとされる『間日(まび)』であれば、土いじりも可能です。
また、結婚・引っ越し・開業・転職など、新しいことを始めるのも控えましょう。季節の変わり目である土用は体調を崩しやすいため、静かに過ごした方がよいという風潮の影響によるものとされています。
さらに、旅行なども避けた方がよいといわれています。しかし、土用期間は夏休みと重なるため、旅行に行きたい人も多いのではないでしょうか?どうしても旅行に行きたいという人は、できれば夏の土用の凶の方角である『土用殺』の南西を避けるようにするとよいでしょう。
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構成/編集部