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どんな食べ物?意外と知らない「亥の子餅」起源と風習

2020.09.21

『亥の子餅』は餅の一種ですが、どのような食べ物なのか気になっている人もいるのではないでしょうか?亥の子餅の見た目や味、起源・風習などを紹介します。亥の子餅の歴史的背景を知り、古くから続く季節の行事を楽しみましょう。

亥の子餅とはどんなもの?

日本には古くから伝わる季節の行事や行事食が数多くあり、亥の子餅もその一つです。では、亥の子餅とはどのような食べ物なのでしょうか?

無病息災を祈って食べる和菓子

古代中国から伝わった風習が由来の行事食が、亥の子餅です。古代中国では『亥子祝(いのこいわい)』と呼ばれる宮中儀式があり、無病息災を願うものでした。

亥の月の亥の日時に餅を食べれば「無病息災で過ごせる」とされていて、このときに食べられた餅が亥の子餅です。

亥の子餅の作り方は、諸説ありますがその年に取れた新米(餅)に『大豆・小豆・ゴマ・栗・柿・ササゲ・糖』の七つの粉を混ぜ入れ、亥の子の形を真似て作られていたとされています。亥の子はイノシシの子ども、つまりうり坊のことです。

現在はうり坊を模した形が一般的

現在は、伝統的なうり坊を模した形で、小豆を包んだきな粉餅が一般的です。しかし、地域や和菓子屋によって使われている材料や作り方・見た目が異なります。

白玉粉を用いた『楕円形の餅』に餡を詰めますが、ふんわりとした食感が味わえるものから、白ごまの食感がアクセントになっている餅までさまざまです。

近年は、コロンとした丸い餅にうり坊のように三本筋の焼き印を入れた餅やかわいらしい色やフォルムの餅も販売されています。

亥の子餅の起源と広がり

先に述べた通り、亥の子餅は古代中国から伝来しました。古代中国の行事食が日本でどのように広まっていったのかについて詳しく紹介します。

亥子祝として平安貴族に広まる

平安時代になると、古代中国の宮中儀式であった『亥子祝』が伝来し、貴族の間で風習として広まりました。有名な紫式部の『源氏物語』にも登場するほど、人気の行事だったとされています。

亥子祝の風習は江戸時代になっても続いており、正式な行事として扱われていました。亥の子餅は地域によって呼び方が変わり、『玄猪餅(げんちょもち)』や『能勢餅(のせもち)』『厳重餅(げんじゅうもち)』とも呼ばれています。

無病息災・子孫繁栄を願う日

亥子祝は日本に伝来した後も、『無病息災を願う日』として広まりました。また、イノシシは多産のため、『子孫繁栄を願う日』という趣旨も含んでいたようです。

やがて、貴族の行事として広まったものが農家の収穫祭と合わさり、庶民的な『亥の子祭り』として西日本を中心に多くの地域で行われるようになりました。

祭りの日には、子どもたちが歌を歌いながら『亥の子石』と呼ばれる石で地面をたたき、雑穀を混ぜて作った亥の子餅をもらう、といった風景が見られたのです。

持ち帰った亥の子餅を食べると、無病息災で過ごせると考えられていました。亥の子祭りは関東地方ではなじみが薄いですが、『十日夜』と呼ばれる似た行事が行われていました。

亥の子餅はいつ食べるもの?

亥の子餅は、いつ食べられていたのでしょうか?また、現在は古くからの風習とは違った形で、亥の子餅が食べられています。どのようなときに食べられることが多いのか紹介します。

旧暦10月、亥の日亥の刻に食べる風習

亥の子餅は『亥』にあやかって、『亥の月・亥の日・亥の刻』に食べるのが昔ながらの風習です。亥の子餅の『亥』は、干支として広く知られている十二支の一つです。十二支は年だけでなく、月や日時にも当てはめられています。

亥の月は旧暦の10月(現在の11月)ですが、亥の日は毎年変わります。2020年では11月4日なります。亥の刻は、午後9~11時のことです。つまり、2020年の場合は11月4日の21~23時の間に亥の子餅を食べるのが、風習に倣った食べ方になります。

しかしながら、過疎化の影響などで亥の子祭りを行う農村が少なくなり、亥の子餅を食べる風習も薄れているのが現状です。

現在は秋の和菓子として親しまれている

旧暦の10月の亥の日亥の刻に亥の子餅を食べる風習は薄れていますが、現在は秋の和菓子として親しまれています。

10月下旬~11月になると、亥の子餅が各地の和菓子屋に並びます。スーパーなどで目にすることもあるでしょう。期間限定の季節の和菓子として食べられているのです。

一般的なうり坊模したきな粉餅だけでなく、子どもも喜ぶかわいらしい見た目の亥の子餅も販売されています。子どもと一緒に亥の子餅を味わいながら、風習について説明するのもよいのではないでしょうか?

また、もち粉や白玉粉を使って手作りもできるので、子どもと一緒に作ってみるのもおすすめです。

炉開きの定番茶席菓子

『亥』は陰陽五行説で『水』に分類されるため、火災を免れられると考えられてきました。亥の月亥の日を選んで火を使い出すことで、火災にならず安全とされていたのです。

茶の湯でも、炉に切り替える『炉開き』は、亥の月亥の日が選ばれています。また、炉開きは、初夏に摘まれた新茶を味わう日でもあります。新茶のお茶菓子として、亥の子餅が食べられているのです。現在は、炉開きの定番茶席菓子の一つになっています。

亥の月亥の日には炉開きだけでなく、いろりやこたつ・火鉢などを使い始める日でもありました。風習に倣って、亥の月亥の日に暖房器具を使い始めるのもよいのではないでしょうか?

構成/編集部

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