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人事異動や退職などの理由で担当が変わる場合、取り引きのある顧客に引き継ぎのメールを送る必要が出てきます。担当者変更は、きちんとポイントを押さえないとネガティブなイメージを与えかねません。顧客に安心して取り引きを続けてもらうために気を付けることを紹介します。
担当者変更をメールで顧客に伝える手順
大切な顧客に対して、担当者変更を適切に伝えるときのマナーを説明していきます。マナーを守らないと不安感や不信感を与えることがあるので、注意しましょう。
ポイントとなるのは『前任者からの連絡』と『後任者からの挨拶』です。順序立てて、引き継ぎメールを送るようにしましょう。きめ細やかなフォローが信頼感を築きます。
前任者から連絡する
基本的に顧客へ担当者が変更になることを伝えるのは、一義的には前任者の仕事です。これまで築き上げてきた信頼関係を裏切らないように、最後まで丁寧な対応を心掛けましょう。
顧客からみると、突然知らない後任者から連絡が来たら驚いてしまいます。異動や退職といったタイミングはやるべきことが多くて大変ですが、顧客にも後任者にも迷惑を掛けないように行動しましょう。
後任者から挨拶メールを送る
担当が変わることを伝えるメールを顧客に送って理解してもらったら、今度は後任者から挨拶メールを送ります。タイミングは、後任者が業務を始める前がベストです。
後任者の挨拶なしに突然メールが来たり、会社に訪ねたりすると、顧客は戸惑ってしまいます。不安にさせないためにも相手の立場に立った振る舞いが求められます。
引き継ぎをメールを送る際に気を付けたい点
「引き継ぎメールを送るときはどこに注意したらいいのだろう」と悩むビジネスパーソンは少なくありません。適当にメール文章を作成して顧客に送ってしまうと、かえって不信感を与えてしまいます。送る時期をきちんと選び、引き継ぎ日や担当者変更の理由を伝えましょう。
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業務に支障をきたさない時期を選ぶ
引き継ぎメールを送る時期については、会社によって、あらかじめルール化されているケースもあるので、不明な点があれば、同僚や上司に相談すると良いでしょう。
例えば、トラブルが起こっているプロジェクトで急に担当者変更があると信頼関係を損ねてしまうかもしれません。上司はこれまでの経緯も理解した上で調整して判断してくれるはずなので、アドバイスをお願いしましょう。
いずれにせよ、顧客に「急に担当者が変更になって大丈夫なのか」という不安感や不信感を抱かせないのが鉄則です。引き継ぎメールは送れば良いというものではありません。その送るタイミングを見計らいましょう。
引き継ぎ日を明確にする
引き継ぎのメールには前任者から後任者に切り替わる日を具体的に提示しましょう。顧客としては、前任者と後任者のどちらに連絡したら良いか悩むものです。
また、「前任者に連絡を入れたけれど、後任者に伝わっていなかった」という行き違いが生じる可能性があります。こういったコミュニケーションミスは、顧客側には何の落ち度もないのに迷惑を掛けてしまう恐れがあるので注意しましょう。
顧客や上司から「ちゃんと引き継ぎしてよ」などと叱責を受けないように、引き継ぎ日を明確にして、どちらが窓口か分かりやすいようにしておきましょう。
担当者変更の理由を伝える
なぜ担当が変更になるのか、理由を分かりやすく簡潔に伝えるのも大事です。顧客としてはなぜ担当者が変わったのかというのが気になるはずなので、その疑問を明らかにする義務があります。もし、疑問を払拭できなければ、不安感や不信感につながりかねません。
例えば、前任者は異動によるものか、退職によるものか、基本的な情報は引き継ぎメールに入れるようにしましょう。とはいえ、前任の個人的な情報まで伝える必要はありません。あくまでも簡単な情報だけ良いので、提示するようにしましょう。
引き継ぎメールに記載する内容
さっそく引き継ぎメールを書こうにも、何をどう書いたら良いのか分からないビジネスマンも多いのではないでしょうか。そこで、引き継ぎメールに記載する内容を文例を用いて解説します。
いつ、誰に引き継ぐかを簡潔に伝える
顧客への引き継ぎメールは以下のポイントを押さえます。
- 前任者から後任者へ引き継ぐ日
- 後任者の基本情報
後任者の情報として、名前だけでなく、キャリアや人柄などを記載すると印象が良くなります。もし、あなたが顧客の立場だったら、「次はどんな人なんだろう」と不安と期待が入り混じるかもしれません。少しでも不安を取り除いて親しみやすさを与えましょう。
メール文例1
【件名】
担当者変更のご挨拶
【本文】
株式会社〇〇
●●様
平素より大変お世話になっております。
△△株式会社の××でございます。
この度、担当者を後任の◇◇へ引き継ぐことになり、ご挨拶をさせていただきたくご連絡いたしました。
●●様にはいろいろとご指導賜りまして厚く御礼申し上げます。
私は、◆月◆日をもちまして、人事部へ移動することになりました。
後任の◇◇は、長年経験を積み、社内での信頼も厚い者ですので、お役に立てるのではないかと存じます。
私は、部署を移動することになりますが、同じ社内にて勤務しておりますので、またお目にかかることがあるかと思います。
今後とも変わらぬご指導のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
取り急ぎ、メールにて失礼いたします。
後ほど、◇◇と引き継ぎのご挨拶に伺います。
メール文例2
【件名】
担当者変更のお知らせ
【本文】
株式会社〇〇
●●様
いつもお世話になっております。
株式会社△△の××です。
私事で大変恐縮ですが、一身上の都合により、◇月◇日をもって株式会社△△を退職することになりました。
●●様には何かとお力添えをいただき心より感謝しております。ここに改めてお礼を申し上げます。
本来なら直接お伺いしてご挨拶すべきところですが、メールでのご連絡となりましたことをお詫び申し上げます。
後任は、同じ部署の■■が務めさせていただきます。
後任の■■ですが、入社以来、私のサポートとして長年キャリアを積み、実績も確かな者でございます。
後日改めて■■がご挨拶に伺いますので、変わらぬご指導の程よろしくお願い申し上げます。
末筆ながら、貴社のご発展と●●様のますますのご活躍を心よりお祈り申し上げます。
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退職時の引き継ぎで気を付けたい点
退職時の引き継ぎで気を付けたい点をチェックしておきましょう。この場合、引き継ぎメールを送るタイミングは早すぎても遅すぎても印象が良くありません。また、書くべき内容と、書くのが好ましくない内容もありますので、注意が必要です。
退職の連絡は早めに
顧客への引き継ぎメールを送るタイミングは、最終出社日から2~3週間前くらいがベストとされます。この時期だと、後任者が引き継ぎしやすくなります。
退職間近になって、ばたばたと連絡すると無計画な人だと思われるかもしれません。会社としての信頼も揺らぐので、最後まで責務を果たしましょう。後任者を困らすことがないように配慮が必要です。
私的な連絡は控えるのが無難
異動であれば別ですが、退職となると、会社の人間ではなくなります。今後の連絡先を伝える必要はありません。
また、退職理由を説明するのは避けましょう。会社に不満があるなどの理由であったとしても、当然会社の愚痴や苦言などを書くのはご法度です。メールは相手が削除しない限り、文章として残ります。
思わぬトラブルを招く恐れがあるので、『個人的な連絡先』や『退職理由』を書くのは控えましょう。冷たい印象を与えたくないなら、引き継ぎメールの後、直接相手先に出向き挨拶すると良いでしょう。
退職届、引き継ぎ、挨拶、退職を決めてから退職するまでにやるべきこと
構成/編集部