欧米では夏至祭が開かれる地域もある
日本のみならず欧米でも各地で夏至祭が開かれています。海外で人気の夏至祭を紹介します。
特に北欧では夏を心待ちにする人が多い
冬の日照時間が短い北欧では、太陽の輝く夏を心待ちにしており、夏至を盛大に祝う傾向にあります。
例えばスウェーデンのストックホルムでは、冬の日照時間が6時間程度と短いことがめずらしくありません。北の方では、冬に日が昇らない期間もあります。そのため、暗く長い冬が終わる夏至を心待ちにしているのです。
夏至祭はクリスマス並みに大きなイベントで、国中がお祝いムードに包まれます。サマーハウスでのんびり過ごす人も多いですが、家族や友人とホームパーティーを開いて夏の訪れを楽しむのも恒例です。伝統料理の酢に漬けたニシンやサーモン、茹でたジャガイモなど堪能するのがスウェーデン流のようです。
なお、北欧では夏至を過ぎるとどんどん日照時間が長くなり、18時間にもなります。1日中日が沈まない白夜もあるのです。
映画『ミッドサマー』は夏至祭の物語
北欧の夏至祭の物語として有名な映画が『ミッドサマー』です。不慮の事故が原因で家族を失った主人公が、大学で民俗学を専攻している恋人や友人とスウェーデンを訪れる物語です。
彼らの目的は、1日中太陽が沈まないスウェーデン奥地の村で行われている夏至祭に参加することでした。咲き誇る美しい花々や現地の人たちの陽気さに、幸せに満ちた楽園に来たように感じた主人公でしたが、次第に不穏な雰囲気に包まれていく…というストーリーです。
『ミッドサマー』を観ながら夏至を過ごすのもよいのではないでしょうか。
各地で大小さまざまなイベントが開催される
北欧の国フィンランドでは、夏至祭の時期は祝日になっており、郊外のコテージで過ごす人が多いです。湖の側で火を焚き、悪い精霊を追い払うという『コッコ』という風習があります。
また、イギリスの有名な遺跡『ストーンヘンジ』では、普段は立ち入りが禁止されている石の周辺で、夏至の夜明けにかけて儀式が行われます。夏至には遺跡の一つである高さ6mの岩と中央の祭壇石の直線状に太陽が昇り、それを見るため多くの人が訪れます。
その他にもノルウェー・ロシア・ラトビア・ウクライナ・オーストリアなどで火を焚いたり、豊作を願う儀式をしたり、大小さまざまな行事が行われています。
手軽にできる夏至の楽しみ方
全国に広く残っている風習はなくても、「季節を大切にしたい」と思う人もいるのではないでしょうか?誰でも簡単にできる夏至の楽しみ方を紹介します。
夏至ならではの食べ物を味わう
前述した各地に残る風習に倣って、夏至ならではの食べ物を味わってみるのはどうでしょうか。
例えば、関西地方では夏至にタコを食べる風習が残っています。夏至は梅雨時でムシムシすることもあるので、タコの酢の物やタコのカルパッチョなどさっぱりしたメニューがおすすめです。また、家族や友人とタコ焼きパーティーをするのも盛り上がるでしょう。
もっと伝統的な料理にこだわりたい人は、福井県の『半夏生鯖』や奈良県の『半夏生餅』を作ってみましょう。
自然の恵みや収穫に感謝しながら味わうと、また違った夏至の楽しみ方ができるのではないでしょうか。
エコを考える
世界中が地球の温暖化を懸念し、各地で地球温暖化防止のさまざまな取り組みが行われています。その一つが環境省の実施している『CO2削減 ライトダウンキャンペーン』です。
これは、日照時間がもっとも長い夏至とクールアース・デーの両日に、20時~22時まで全国のライトアップを一斉消灯する取り組みです。
また、『100万人のキャンドルナイト』という取り組みも行われています。夏至と冬至の両日に自主的に約2時間消灯するというもので、多くの人が賛同しています。
夏至は太陽と深い関係にあります。太陽によって照らされる明かりや自然に感謝し、エコを考える日にするのもよいでしょう。
夏に向けて準備をしよう
夏至は、春から夏への季節の移り変わりを感じられる時期です。夏至を過ぎたら、これから訪れる夏に向けて準備をしましょう。
例えば、食器やテーブルクロス、ランチョンマットを夏物に変えるだけでも季節感がでますし、季節の移り変わりを楽しめます。また、衣類も徐々に薄着に変わるため衣替えを始めたり、普段手が届かない場所を掃除したりして気分転換するのもよいでしょう。
季節感のある暮らしを心がけると、自然に対するありがたみや日々の生活を振り返るきっかけにもなります。
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構成/編集部