目次
元日は1月1日、子どもの日は5月5日、文化の日は11月3日と決まっています。一方で、同じ国民の祝日でありながら、春分の日は毎年同じ日ではありません。なぜこうした事象が起こるのでしょうか。春分の日の秘密に迫るとともに計算プロセスを解説します。
春分の日の決め方
国民の祝日の中で、毎年同じ日付と違う日付のものがあります。毎年、日付が変わる祝日は前後の日付、曜日による法則性があるものと、法則性が見いだせないものがあります。
例えば、成人の日や敬老の日は毎年同じ日ではありませんが、それぞれ1月の第2月曜日、9月の第3月曜日となっており、その年の日にちは分かりやすいでしょう。
これに対して、春分の日や秋分の日は、毎年同じでないばかりか、年によって変動する特性があります。
春分の日とは
春彼岸の中日にも当たる春分の日は、本来、『昼と夜の時間が等しい春の1日』となります。
元々は、1878年に太政官達23号で定められた春季皇霊祭という祭日が始まりです。毎年の春分日には、歴代の天皇・皇后・皇親の霊を祭る儀式が行われており、この日を祝日に定めました。
戦後、皇室にまつわる行事や旧制の祭日は大幅に見直されました。そして、1948年7月20日には、国民の祝日に関する法律により「自然をたたえ、生物をいつくしむ日」として春分の日に改められたのです。
そもそも春分とは
二十四節気(にじゅうしせっき)の一つに当たるものが春分の日です。1年のうちで、春・秋で太陽が真東から昇り真西に沈む日があり、それぞれが春分の日・秋分の日になります。
二十四節気では、1太陽年を日数または太陽の黄道上の視位置によって24等分します。そして、その分割点を含む日に、季節をあらわす名称を付けていくのです。
また、天文学でいうところの春分は『太陽が春分点を通過した瞬間』です。春分点とは、地球から見た太陽の通り道である黄道と、赤道の延長ラインが重なる点です。
そして、その瞬間が訪れる瞬間を含む日が、春分の日になります。
2024年の春分・秋分の日
二十四節気は、立春からスタートします。そして、昼と夜の時間の長さが同じになる春の日は4番目の節目です。
たいてい3月20~21日のいずれかで、2024年の春分の日は『3月20日(水曜日)』です。
次に、秋分の日についても見てみましょう。こちらは、立春から数えて16番目の節目となる昼・夜が等しくなる秋の1日です。
ほとんどは9月22~23日に訪れます。2024年の秋分の日は『9月22日(日曜日)』になります。ちなみに、この日は日曜日のため、翌日23日(月曜日)は振替休日となります。
春分の日の豆知識
必ずしも同じ日付けでやってくる訳ではないという点に特徴がある春分の日ですが、よく調べてみると、とても興味深い点も見えてきます。
雑学としてもちょっと便利な、春分の日の豆知識について紹介しましょう。
なぜ毎年違うのか
地球は、太陽の周りを回っており、これを『公転』といいます。太陽を回り切る公転にかかる日数は、365日ちょうどではありません。平均すると約365.24219日です。
これを時間に直すと、365日に6時間弱の端数を加えた時間で、太陽を1週していることになります。そこで、端数分の誤差を調整する必要が出てくるのです。
しかし、端数が6時間に満たないということは、4年に1度、2月を1日加えた閏年(うるうどし)を設けても、まだ誤差が埋まりません
その埋まらない誤差により春分点が確定されず、ひいては春分の日が同じ日にちにならない理由になるのです。
エクセルの計算式
その年によって変動する春分の日ですが、政府が閣議で決定する日付は、国立天文台が定めた計算式によって算出する値が採用されています。
Excelでは、次のように作業します。
- =int(20.8431+0.242194*(自分が調べたい年-1980))-int((自分が調べたい年-1980)/4)
数字を解説すると、うるう年であった1980年の春分の時刻「20.8431日」から、1年毎に0.242194日遅れていくので、1980年から知りたい年までの差分を足して、うるう年で4年に1度、1日増える分を差し引き、INT関数で小数点以下を切り捨てていることになります。
上の関数の中の『自分の調べたい年』に西暦を入れて半角数字で、春分の日が何日か分かります。次に、年月日と曜日を算出する場合には、DATE関数を使い、年・月・日を計算していきます。
- 『=DATE(自分が調べたい年, 3, int(20.8431+0.242194*(自分が調べたい年-1980))-int((自分が調べたい年-1980)/4))』
日付を計算する時と同様に『自分の調べたい年』に西暦を入力すれば、年月日と曜日まで表示させることが可能です。
Excelで小数点以下を切り捨てる方法|ROUNDDOWN関数の使い方などを解説
将来の予測は可能?
公転時の誤差によって日にちの確定ができない春分の日ですが、何年後・何十年後の遠い将来まで予測することはできるのでしょうか。
地球の運行状態などが今のまま続くと仮定した場合、将来の春分日や秋分日も、計算で予測することが可能です。現状をベースに計算した結果について、国立天文台などによる21年からの10年分を記載します。
西暦 | 春分の日 | 秋分の日 |
2024 | 3月20日(水) | 9月22日(日) |
2025 | 3月20日(木) | 9月23日(火) |
2026 | 3月20日(金) | 9月23日(水) |
2027 | 3月21日(日) | 9月23日(木) |
2028 | 3月20日(月) | 9月22日(金) |
2029 | 3月20日(火) | 9月23日(日) |
2030 | 3月20日(水) | 9月23日(月) |
2031 | 3月21日(金) | 9月23日(火) |
2032 | 3月20日(土) | 9月22日(水) |
2033 | 3月20日(日 ) | 9月23日(金) |
春分とお彼岸
仏教において、先祖を迎える法事であるお彼岸は、春分と関連する行事です。春分についての知識を身に付けたことと併せてお彼岸についても理解を深めていきましょう。
お彼岸の期間
お彼岸は、春分を中日として、その前後各3日を合わせた計7日間を指します。彼岸とはあの世のことで、この世を此岸(しがん)と呼びます。
仏教の世界では、昼と夜の長さが等しくなる春分は、あの世とこの世がつながる日だと捉えられてきました。そして、彼岸から先祖の魂が帰ってくると考えているのです。
おはぎとぼたもちについて
お彼岸に欠かせないお供え物に、おはぎとぼたもちがあります。これらの違いは、どのような点にあるのでしょうか。
実は、両者は原則として同じものです。春と秋とでその呼び名が変わります。春は牡丹(ぼたん)の花が咲くのでぼたもち、秋は萩(はぎ)の花が美しいことからおはぎと呼ぶのです。
▼あわせて読みたい
2024年の「立春」はいつ?意味や由来、節分との違いまで覚えておきたい豆知識
構成/編集部