小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

【リーダーはつらいよ】「ざっくり言うと、課長の役割はメンバーが力を発揮できる環境を作ること」小林製薬・奥山保雄さん

2019.10.29

前編はこちら

 上からの指示に応え、下からの訴えを聞き、部下は育てて、孤軍奮闘の中間管理職たち。愚痴は言えない中間管理職は働く現場で何を考え、どんな術を講じているのだろうか。この企画は課長職のつぶやきを紹介する。

 シリーズ第14回は小林製薬株式会社 ヘルスケア事業部 マーケティング部 新製品開発グループ グループ長 奥山保雄さん(41)。「うちは何よりわかりやすさと、アイデアを大切にする会社です」と奥山さん。彼が課長に当たるグループ長を務めるのは、社内で生まれたアイデアからコンセプトを作り、製品に落とし込む、ゼロから製品を生み出す部署である。

 部下を好きになること。部下が話しかけやすいようにヒマそうにして、胸を張り笑顔でいること。作業の手を止め相手の目を見て、部下の話を集中して聞くこと、課長はどうあるべきか、いろいろ学んだ奥山さんだ。

部下を思い察すること

 課長たるもの、部下であるメンバーの想いを察することも大切だ。例えば毎月のグループミーティングで「来期はこうしようね」と、商品カテゴリーの分担を決めた時だった。彼なりの考えがあって決めたことで、メンバーは「わかりました」と、その場は終わった。

 ところが会議の翌々日、女性の部下に「やっぱり私には無理です」と、面と向かって告げられる。部下の申告がなければ「頑張れよ!」と、ハッパをかけて終わっていただろう。それからは自分が決めたことを告げる時、部下の表情を慎重に観察し、モヤモヤしているようなら、後で「どうや」と声がけしフォローをする。

 案件を任せるのに不安が過った時は、あらかじめ部下に話を振り、反応を見たりすることも心がけるようにしている。

 だが、仕事上の悩みを言葉にして上司に伝えるのは難しいものだ。30代の女性の部下は気配りが細やかで、「誰々さんは今、仕事量が多すぎますよ」とか、奥山も気づかない部署内の様子を伝えてくれる。

 そんな彼女には難題にぶつかるとひるむ傾向があった。例えば、新製品を発売する際はいろんな面でハードルが高い。彼女が関わる新製品の社内調査の結果が、芳しくなかったりすると、一人で抱え込んでしまったりすることがある。

 奥山はそんな女性の部下と、「ポジ変」というキーワードを作った。ポジティブに変換の意味で、「ポジ変」が飛び出す時の合言葉は、お互いに好きな漫画の『ジョジョの奇妙な冒険』の主人公の台詞。彼女が仕事上の悩みを抱え難しい顔をしている時は、奥山がそばに近づき、「やろう、面白くなってきたぜ!」と、台詞をつぶやく。すると二人の間に笑いが生まれ、ポジ変の完了だ。

 気の利いたアドバイスも必要だろうが、部下を乗せて、ポジティブな気持ちで仕事に取り組めるようにするのも、課長の役割だと奥山は思っているのだ。

 社内には、グループのメンバー1人1人と対話する“成長対話”というシステムがある。グループ内のコミュニケーションは、取れていると自負する奥山は、あえてメンバーとの対話は必要ないと思ったのだが。

 この人はこんなタイプ、そんな決め付けは慎むべきだと、成長対話を通して彼は今更ながら思い知る。30代前半の男性の部下とは、前の部署からの長い付き合いだ。彼は素直で柔軟で会議の時は、メンバーたちの意見を「なるほど、そうですねー」と、うなずいて聞くスタイルだった。

 あいつはみんなの意見を組み合わせて、上手くやるのが得意なんやなと、奥山も思っていたのだ。ところが成長対話の時だった。「僕は自分の意見を理解してもらい、通したいんです」と、胸の内を吐露される。奥山にとって意外だった。

 例えば新製品のパッケージについて、彼はローマ字表記にしたかった。だがわかりやすさが何より優先される会社である。カタカナ表記に決まる確率が高い。彼なりに説得の問答を用意したのだが、「もっと説得力のある想定問答が必要でしたね」「よし、次に提案する時は用意した想定問答を見せてくれ。僕もアイデアを出すよ」、次は部下の提案をアシストする、力になることを奥山は約束した。

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2024年4月16日(火) 発売

DIME最新号は「名探偵コナン」特集!進化を続ける人気作品の魅力、制作の舞台裏まで徹底取材!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。