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【リーダーはつらいよ】「上司として自分の知見でトラブルに対応できないことがコンプレックスでした」富士ゼロックス・鈴木祥子さん

2019.10.15

私のコンプレックス

 部下のTPMが設計のメンバーを束ね、開発を担ったが、紙を高速で機械に送る時に障害が出たり、開発は思うように進まない状況だった。技術的分野の専門知識が乏しい鈴木はトラブル解消について、「これはこうしたほうがいいのでは」とか、自分の知見で対応することできない。実はその点が彼女のコンプレックスでもあった。

 会議の後に「これはどういう意味ですか」とか、技術者に質問しレクチャーを受けるが、「鈴木さんは文系だから、技術のことなんかわからんよ」、さすがにそんな露骨な言い方はされないが、そう思っている部下もいるかもしれない。しかし――

 リーダーだからこそ、ブレイクスルーに向け発想し、実行できることがあるはずだ。社内的にはカラープリンターの開発が重要視されていて、モノクロに目が向きにくい状況ではある。が、社内でも業務用のモノクロプリンターの重要さは承知している。もっと周りを巻き込み、品質管理を確立できる仕組みが作れるのではないか。

「社内に『重要品質確立状況確認会』を設けたいと思うんです」彼女は部署内で技術者をまとめ、開発を司るTPMたちに提案した。

「達成を確実にするためにチェックする会ですね」

「そうです。開発系の部長や役員に状況を認識してもらい、品質簡易部門も巻き込んで、今やっている開発が正しいのか、このまま進めていいのか、品質を担保するためのアドバイスやコメントをもらいましょう」

 専門知識は及ばない鈴木祥子さん、ならば技術者がいささか苦手とするコミュニケーション能力と、社内の部署を縦断できるリーダーの力で、部署のヘゲモニーを握ることを模索する。理科系の部下の上に立った文系の女性課長、彼女のリーダーとしての底力は後編で。

取材・文/根岸康雄
http://根岸康雄.yokohama

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