小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

【リーダーはつらいよ】「部下に任せっぱなしじゃなく一緒になってやることも必要」楽天・山口高志さん

2019.09.11

前編はこちら

上司と部下に挟まれ、社内でも孤立しがちな中間管理職。何に悩み、どんなリーダーといての術を講じているのだろうか。この企画は課長職に相当する管理職の本音を紹介する。

シリーズ第9回は楽天株式会社 事業開発部 オンラインPPAP開発課 シニアマネージャー 山口高志さん(34)。コンサルティング会社から転職し、楽天に入社したのは2016年3月。コスメサブスクの事業長では、クレームの電話対応を経験。事業開発の意味を今更ながら自覚した。

スーパーやドラッグストア等のオフラインでは、誰がどんなものを購入したのかが、わかりづらい。だが、いずれオフラインもEコマースのように、商品の購入者のデータが蓄積されるシステムが整うと確信する山口さんは、2018年3月「Rakuten Pasha(以下・パシャ)」事業を提案。楽天の戦略的案件と評価されるに至るパシャの仕組みは――

厚みのある膨大なデータ

パシャは実店舗のクーポンサービスである。スマホでサイトにアクセス、次々に表示される“トクダネ”と呼ばれる商品をタップ。全国のコンビニやドラッグストア等で、タップした商品を購入。その際に発行されるレシートをパシャッと撮影して送信。するとその商品に表示された楽天スーパーポイントが、ゲットできるという仕組みである。

実店舗でも、商品の値段を必ずしも同じにする必要はない。例えば飲料メーカーが新製品を、お試しで飲んでもらいたい場合、実店舗で購入しても、パシャのユーザーにはポイントバックで値引きすることが可能だ。

さらに、例えば100ポイント獲得のウナギをタップして、近所のスーパーで購入する。スーパーではウナギだけでなく他の日用品等も購入する。送られてきたレシートには他に購入した商品も明記されている。100ポイント獲得でウナギを購入した人は、こんなものも購入していると、レシートを見れば一目瞭然だ。

中には300ポイント獲得できないと、ウナギを購入しない人がいる。そんなユーザーがウナギを買った時のレシートと、100ポイント獲得で購入した人のレシートでは、自ずと購入する商品が違ってくる。

それらを楽天が持っているIDとヒモづけることで、リアルで購入したデータが加わり、内容に厚みが増す。それら膨大なデータは、マーケティングの基盤として企業に提供できるものだ。

山口が提案したパシャは、スーパーやコンビニ、ドラッグストア等、オフラインで購入したユーザーの傾向がわかりづらいという壁に、一つの風穴をあける試みであった。

ディスカバリー体験への工夫

社内にはやりたいことを提案し、有志の人たちで事業化する、社内ベンチャーの仕組みがある。「わかりにくいオフラインのユーザーのデータを読めるようにする、新しい試みなんだ」そんな山口の言葉に、「面白い、一緒に事業をやりたいね」というスタッフが、6名集まった。

是非とも事業化したい。社長や副社長に対しての3分間のプレゼンで、山口はパシャの事業メリットを力説。事業の立ち上げに必要な投資の了解を得た。

パシャの事業化が決まり、彼はシニアマネージャーに昇進したが、部下というより事業化に向けてのチームメンバーだ。メンバーは他の仕事も兼務しながら、パシャの仕事に集中した。ユーザーにどんな価値を提供するのか、女性スタッフは画像の構成やデザインをどうするか等、先頭になって取り組んだ。

「ポイントの数が多い順に並べるのは、よくあるけど」

「技術的にはできますが、ユーザー体験としてお得な感覚より、ワクワクドキドキする、ディスカバリー体験が大事ですよね」

ポイント数の多い順に並べる形にはしない。その代わり表示するトクダネに時限制を持たせる工夫をした。

「今日は何が出てくるんだろう。あれ!?今日はポテトチップスが30ポイント!」みたいな驚きを意図的に作れば、パシャに毎日、目を通すことにつながる。レシートを送信できる期間は画面をタップし、トクダネをゲットしてから3日以内等、パシャの設計を練っていった。

画像の中身やデザインが整うと、コーディングなどを行うエンジニアに渡される。デザイナーもエンジニアも山口曰く、「パシャのスタッフは社内で5本の指に入るほど優秀」と評価する。だが、一人一人は秀でていても、自分と同じレベルで仕事ができるスタッフを育て、一緒に事業を立ち上げるようなことができるかどうか。

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2024年11月15日(金) 発売

DIME最新号は「2024年ヒットの新法則!」、永尾柚乃、小田凱人、こっちのけんと他豪華インタビュー満載!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。