■連載/あるあるビジネス処方箋
ここ数回、正社員数が100人以下で、創業15年以上の会社について私の考えを紹介してきた。結論から言えば、新卒(大卒)でこのレベルの会社に入社するのはお勧めできない。むしろ、強い疑問を呈したい。理由はすでに掲載の記事で述べた通りだが、それでも入社する人はいるのだと思う。今後のキャリア形成を考えると大きなハンディを負い、苦労するようにしか見えないが、1つの選択ではあるのだろう。今回は、その被害をできるだけ少なくするために心得ておくべきことを伝えたい。
1. 多くの人が辞めるのは根深い理由がある
入社後、早いうちに気がつくのが、辞める人が多いことだろう。おそらく、30代前半までの社員を中心に次々といなくなるはずだ。特に入学難易度が高く、上昇志向が強い人から辞めていく傾向があるのではないかと思う。その時、なぜ、辞めていくのだろうかと深く考えたい。「仕事がキツイ」「残業が多い」といった次元の問題だけではないと私は思う。
賃金や労働時間など労働条件もさることながら、ほかの社員たちを見ていて、幻滅する機会が多いのでないだろうか。あるいは職場の雰囲気は常に覇気がなく、まったりとして、空しくなるのではないかとも思う。「こんなところにいて、いいのだろうか…」と感じるならば無理もない。私が、取材や打ち合わせで出入りすると、絶望的な気分になる場合が少なくないのだ。
残念だが、社長以下、役員、管理職、社員たちの意識の低さは今後もほとんど変わらないはずだ。このように考えると、辞めていく人は賢明な判断をしているとも言える。大量に退職者がいる場合、その職場には何か、根深い問題があるはずなのだ。
2. 27∼28歳までに転職をしよう
学歴や学力(特に語学力)にある程度の自信があるならば、なるべく早いうちに転職することを勧めたい。27∼28歳までには、次の会社を決めよう。ただし、いかなる理由があろうとも、同じレベルの会社は避けなければいけない。できるならば、名が通った大企業、将来有望な中堅企業やメガベンチャーに移りたい。20代後半ならば、労働市場においての価値は新卒予定者(大学生)と大きく変わらないはずだ。しかし、30歳を超えると、一定水準以上の学歴であっても、それが評価されないケースが多々ある。27∼28歳までならば、書類選考や面接で「新卒時の失敗は、仕方がないな…」と判断してもらえる可能性が高い。
最悪の選択は、このレベルの会社に残り、キャリアを積んで30代でタイミングを見計らい、転職しようとすることだ。そもそも、社員数が100人以下で、創業15年以上の会社で30代になったところで、労働市場で大企業や中堅企業の同世代レベルの人材のように評価されることはまずない。移ることができたとしても、名もなき中堅企業か前途不安なベンチャー企業、もしくは慢性的に業績難の中小企業だろう。30代後半以降になるともはや、転職は難しく、残留しか、選択肢はない可能性が高くなる。