家電には流行りがある。
「三種の神器」「新・三種の神器」など、ブームに火が付くと、家庭への普及は驚くほどだ。
そんな家電ブームの次代の候補に挙げたいのが、LGエレクトロニクスから販売されている「LG styler(スタイラー)」だ。
LGはご存じ、韓国の2大家電メーカーの一翼。日本の大型テレビで使われる有機ELパネルは全て、LGグループの生産だというのは意外と知られていない事実だが、同グループの実力を物語る。
そんな巨大メーカー、LGエレクトロニクスが作る「LG styler」は、韓国で毎月2万台以上と売れまくっており、実に、1分間に2台のペースで販売されている計算になる。
韓国国内の「衣類管理機器」市場は、2019年に45万台の販売が予測されており、2018年対比で50%成長する見込みだ。
1台が10万円を超す大型の家電が年間50万台近く売れるというのは、ブームというよりはもはや、家庭の必需品になりつつあるといえるかもしれない。
ではなぜ、韓国の家庭で「新・神器」と呼べる家電になったのだろうか? その理由を知ると、日本で流行るのはもはや時間の問題である、そう思われてならない。
理由1 PM2.5問題
「LG styler」は2011年春に韓国で発売を開始したのだが、2015年ごろから売れ行きの伸び率が変わったという。
それは、韓国でPM2.5が悪影響を与えていることとリンクしているようだ。
2015年以前にもPM2.5は測定されており、10年前までは東京とあまり変わらないレベルだったが、この5年ほどで悪化が著しいという。
しかし、これは韓国だけに限った話ではないようだ。現に日本でも、九州地方をはじめPM2.5の影響を受けている。
そして近年、韓国では衣類に対する考え方が変わってきている。それは「健康」を重視するようになったのだ。
例えば、韓国には独自の「産後ケア施設」があり、出産した後2〜3週間くらい妊婦と新生児が入院できる。その屋内は超衛生的な空気が保たれているという。
この施設を訪ねてくる人に病原菌などがついていることがあり、滅菌や抗菌のために「LG styler」を利用する、そんな発想が出ているそうだ。
韓国の最新事情について説明してくれた、LG エレクトロニクス ホームアプライアンス&エアソリューションカンパニー LG スタイラーグローバルセールス&マーケティングチーム チーム長 ホ・ソンウン氏
一方、日本ではこの30年間で花粉症患者が5倍に増えている。
家の中で舞う花粉の量は、換気した時に入る花粉よりも服に着いた花粉の方が多いという計測結果も出ており、健康に配慮した衣類の管理は、日本でもますます重要になっていくであろう。