中間管理職になって痛感している、本質的な課題は何かということ
平社員時代なら、例えば今月の売上げ目標が1億円に対し、2千万円ほど落としそうだと思っても、まっ、そのまま行こうと。仮に目標に行かなくても、「次頑張ります!」とか、持ち前のノリで済ますこともできた。だがブランドマネージャーになると、そうはいかない。
直属の上司はビオレ事業部の中の5つのグループを統括する事業部長だが、仮にある製品の売上げの目標が「1億円ぐらいです」と、報告をする。幹部にあげたその数字に間違いがあったら、会社の事業判断を見誤ることにつながりかねない。
「いい話は別に聞きたくないんだ」それはいつもの部長の口癖だ。「リスクを報告しろ、そのリスクがなぜ発生したのか。どんなリカバリーを考えているのか、そこを中心に話してほしい」現象はいらないともよく言われる。例えば「売上げが2千万円足りなかったのは、数字を見ればわかるんだよ。なぜ売上げが目標の数字にいかなかったのか」
つまり、本質的な課題はなんなのか。部長が畠山から聞きたいのはそこだ。流通の事情が悪かったのか。我々の提案の仕方がお客にマッチしていなかったのか。対策はどうするのか。考えを研ぎすまし、課題の本質を伝えようとすると、報告の言葉はどんどん短くなっていく、管理職になって畠山はそのことに気付いている。
時に上司は気持ちが先行するあまり、「もっとこういうふうにさー、ああいうふうにさー、わかるだろう!」と、身振り手振りで伝えることもあって、考えを汲み取るのに想像力を働かせなければならないこともある。
上からの指示を部下に伝える術も、徐々に工夫が身についてきた。例えば、商品が消費者の心に刺さってない、広告のメッセージを何とかしろ。そんな指示に対しては「有効な手立てって、いくつかあるよね。速さと世の中への伝播力からいって、テレビから変えてみようか。ちょっと検討してみてよ」そんな感じで、課題に対してプライオリティを考え、部下に指示を出す。順々に課題の解決を目指そうという考えからだ。
もちろん、部下への気遣いも大切である。
「あれ、ちょっと雰囲気が変わったね。土日、面白いことがあったの?」とか、出社時にオフィスで明るく部下に声をかけることも、彼が心がけていることの一つだ。
畠山了樹、44才、休日は小学6年の息子と、釣りに行くことを楽しみにしている。家にいる時はほとんどしゃべらないが、妻は彼に文句を言わない。そんな妻には感謝している。
取材・文/根岸康雄
http://根岸康雄.yokohama