経済は発展するが社会はボロボロの前半戦
前半終了の時点で、高岩さんが「中間発表」を告げる。まず、個人の人生のゴールの達成状況確認となる。この時点で、既に達成している人が3人もいた。といっても、彼らはゲームから抜けるのでなく、他のプレイヤーからの交渉を受けるため、場にとどまる。そう、このゲームでは、プレイヤー間の交渉が自由に行える、つまり、双方の合意があれば、カードの交換・売買・譲渡など、なんでもありだ。
さらに、世界の状況メーターについても確認が行われた。ホワイトボードを見ると、経済のメーターが大躍進していて、環境はまずまず、社会はゼロだ。
高岩さんが、これについて解説を加えた。
「世界の状況メーターにおける経済の状況は、絶好調です。環境は、ちょっと改善はされているけれど、大気汚染があったり、生物の多様性は失われているなど、課題は残っています。社会はと言いますと、最悪で分裂状態。ジェンダーの不平等やマイノリティの搾取が蔓延し、 孤独死、少年兵 児童労働、テロ、紛争など問題だらけです」
ここで、少なくとも半数のプレイヤーは、「自分の人生のゴールにばかり気をとられていては、いけないのでは」と気づいたようだ。後半の12分が始まると、社会のメーターがアップするプロジェクトカードが盛んに実施されるようになり、黄色のマグネットがどんどん横に並んでいった。
詰んだことで意識が転換し社会が良くなった
筆者はといえば、悠々自適ライフの実現にこだわり、時間の増えるカードを追い求めた。ただ、事務局でもらえる新しいカードはランダムに決まるので効率が悪く、他のプレイヤーと交換するなりした方がベターだと気づく。幸い金ならあるので、時間の増えるカードを持っている人を探し、言い値で買い取ろうとしたが、そうしたカードを持っている人ほとんどいない。
結局、ほぼ詰んでしまい、悠々自適を諦めざるをえないと分かった時に、はじめて世界の状況に注意が向いた。「ゲーム終了までヒマなのもなんだから、社会のメーターをアップしてみようかな」と思い立ち、そうしたカードを持っているが資金が不足している他のプレイヤーに、惜しみなくお金を提供した。
やがて後半の時間も終了。2030年を迎えて、個人のゴールを達成したのは11人中5人と、前半から2人しか増えていない。一方で、世界の状況メーターは、経済、環境、社会のいずれも増えており、特に社会はゼロから14とすごい伸び。