2015年9月の国連サミットで採択された「SDGs(エスディージーズ)」。これは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」を略したもので、持続可能な世界を実現するための17個の目標からなる。目標には、「貧困をなくそう」、「ジェンダー平等を実現しよう」などあり、より細かくした169個のターゲットが定められている。期限は2030年、スローガンは「地球上の誰一人として取り残さない」。
なんだか壮大すぎて、われわれ個々人がどうこうできるテーマでないように思える。しかし、日本では多くの自治体・企業レベルでの取り組みはすでに進められており、身近に感じられる存在になろうとしている。
国連本部でもプレイされた日本発のカードゲーム
そのSDGsを、より草の根のレベルで認知・理解してもらおうと誕生したカードゲームが話題になっている。ゲームの名称は「2030 SDGs」。一般社団法人イマココラボが開発したもので、普及啓発活動が盛んに行われている。
ゲームができたのは2017年とまだ日は浅いが、日立キャピタルやユニリーバなどの企業、村上市(新潟県)や駒澤大学といった自治体・大学など、これまでおよそ5万人が体験したという。去る4月18日には、ニューヨークの国連本部でも英語版がプレイされるなど、国外でも注目されている。
シンプルなルールで多人数でプレイできる
それほど多くの人を惹き込む「2030 SDGs」とは、どのような内容のゲームなのだろうか。それを確かめようと、四谷地域センターで開催されたゲームの体験会に参加した。
当日参加したのは、筆者を含め11人の男女。バックグラウンドはまちまちだが、SDGsに興味があるという点で共通している。ゲームの説明・進行を担当するのは、イマココラボ認定のファシリテーター、高岩光さん(オフィスCoo代表)だ。
ゲームを始める前に、高岩さんからSDGsについての基本的な解説がなされ、それからゲームのやり方が説明された。
たくさんのカードが登場するため、難しいゲームかと思ったが、ルール自体は割とシンプルだ。11人の参加者(プレイヤー)は、まず5種類の人生のゴールからどれか1つを選ぶ。ゴールには、「大いなる富」、とか「人間賛歌の伝道師」などあり、複数のプレイヤーが同一のゴールを選んでもかまわない。そして、各プレイヤーには、100ゴールドのお金カードを5枚と時間カードを12枚、そしてプロジェクトカードなるものを3枚与えられる。
プロジェクトカードには、それを実施するために必要なお金と時間が記されており、実施した際にもらえるリターンも記されている。例えば、下のプロジェクトカード「農業での水資源の効率的な活用実現」では、お金は500ゴールド、時間カードは3枚を消費することでプロジェクトが実施され、リターンとしてお金が300ゴールド、青のプロジェクトカード、緑の意思カード(経験・知識を抽象的に表す)をもらえる。
プロジェクトカードの1つ「農業での水資源の効率的な活用実現」
プロジェクトカードはかなりの枚数があり、個々の内容の説明はなかったが、このカードは、SDGsのゴールの1つ「飢餓をゼロ」に関連したプロジェクトなのだろうとはわかる。
プロジェクトは1つ実施するたびに、新たなプロジェクトカードが与えられる。つまり、常時3つのプロジェクトカードが手元にあることになる。
また、このゲームには、「世界の状況メーター」という概念が織り込まれている。これには、経済、環境、社会を表す青、緑、黄の3つの色があり、プロジェクトを実施することで、「メーター」は上がってゆく。「緑+1」なら緑のメーターが1上がるという具合だ(メーターの上昇は、ホワイトボードに丸いマグネットを1つずつ貼って示しておく)。そして、メーターの多寡は、プロジェクトを実施する際の要件となることがある。上のカードでいえば、青のメーターが3以上なければ実施できない。
このメーターと、プレイヤー各自の人生のゴールとがどう関係しているのかについては、高岩さんから説明はなかったが、おそらくあえてオミットしたのだろう。