■連載/あるあるビジネス処方箋
前回の記事「パワハラをする人は極端に〝自己愛〟が強い傾向あり」で、部下や取引先などにパワハラをする人は「自己愛」が相当に強い傾向があることを書いた。この場合の「自己愛」とは、常に自分中心の発想で、相手を決して認めようとしないことである。絶対に自らの非を認めないことなども意味する。誰もがその傾向があるのだろうが、極端なほどに強いのだ。パワハラを繰り返すのは、粘着質なこの性格や気質によるものではないか、という私なりの仮説を紹介した。私が取材を通じて30年近く観察をしてきて、確信に近い思いになっていることでもある。
前回は、その性格や気質として次のものを挙げた。「1、自信がない」「2、動揺に耐えられない」「3、攻撃しかできない」「4、ゲーム感覚で「攻撃」を繰り返す」。
今回は、これらに続くものとして下記を挙げたい。
5、支配の発想しかない
6、罪悪感や道徳を持ち出す
7、自意識過剰
それぞれを私の観察で具体的に説明する。
5、支配の発想しかない
人と仕事をするときには共に栄えるという「共栄」の思想が必要になる。ところが、この発想や意識に著しく乏しい。常に自分を優位な立場にして、相手を劣るようにする。その傾向は、ほかの社員と比べると異様に目立つ。自分が相手よりも勝っていないと、冷静ではいられなくなるようだ。議論をしようものならば、勝つまで続けたり、ひとたび打ち負かされると、逆恨みをして報復する可能性が高い。この人たちを読み解くキーワードは「優位」であり、「勝」だ。一方で、いかなる場合でも、「劣る」や「負」は受けいれがたいのだ。
6、罪悪感や道徳に持ち出す
優位に立ち、他人を常に支配していたいがゆえに、特に自分の意見が通らないような場合は、道徳に訴え、罪悪感を刺激することを言う傾向がある。たとえば、「あなたには成長してほしいから、厳しく言っている。だから、きちんと聞かなきゃいけない」などと言い、相手が自らを振り返るように仕向ける。そして、叱責を繰り返す。なぜか、手取り足取り、教えようとしない。この人たちは時には詭弁を持ち出し、絶対に自分の言い分の正当化を図る。