一方通行はコミュニケーションとは言わない
ところが9月中旬、イベントが迫ったある日のことです。「鈴木君、警備の方ともしっかり確認が取れているな」上司に指摘され、「警備…、あっ」。警備の関係者との根回しを忘れていた。「警備をしっかりしろ!ドミノ倒しのような事故が起きたら、大変だぞ!」上司の指摘のおかげで、イベント直前には万全の警備の体制を整えることができました。
9月中旬の対東北楽天ゴールデンイーグルス戦の試合後、1万人以上のお客さんがグランドに降りて、Dream5や着ぐるみたちと妖怪体操を楽しんでもらい、イベントは無事に成功し翌日の新聞にも載りましたが。
「鈴木君、一方通行はコミュニケーションとは言わないんだよ」と、上司には何回かアドバイスされました。妖怪ウォッチのイベントの時も僕がメールで送った文面を、相手が違って解釈していたということが何回かあった。
「メールを送った後、相手に確認を取ったのか?」
「文面通りに理解してくれているつもりでいたんです」
「キミさ、“つもり”が多過ぎるよ」
その“つもり”で、危うく大変なヘマをやらかしそうになったのは、始球式にゲストを呼んだ時のことで。始球式もプロモーショングループの仕事ですが、この時はゲストのアテンド係に時間を指定して「バックネット裏にゲストを連れてきてください」と、伝えたつもりでいたんです。ところが、時間になってもゲストもアテンド係も現れない。
ヤバイぞ、いったいどうしたんだ……、試合開始時間に合わせ、選手はモチベーションを高めている。試合開始が遅れると選手のモチベーションに水をさすことになる。
「いったいどこにいるの!?」ようやくつながったアテンド係の携帯電話に向かって、声を上げると、「指定されたバックスクリーン裏にいますよ」「バ、バッスクリーン裏って……」そうじゃないと、あわててバックネット裏に来るように指示をして、ことなきを得たのですが。
僕が原因でというわけではないのですが、始球式の時間がチーム側の了解と違ってしまい、注意されたこともありました。
始球式での失敗のエピソードからはじまる後編は、よく知られるライオンズのスター選手との逸話も出てくる。
取材・文/根岸康雄
http://根岸康雄.yokohama