本音を言って敵を作ってしまったらとどうする?
実際、本音を言おうとしたときに、本音を言うことで、敵を作ってしまうのではないか、と不安になることもあるかもしれない。もし本当に敵を作ってしまったら、どうすればいいだろうか?
「ここでいう『敵』が誰なのか、つまり社内の人なのか、社外の人なのかなどによっても、どんな状況に至ってしまっているのかによっても、その対応が変わることは言うまでもありません。また実際には敵を作ってしまっていることに気づいていない場合もありますので、本音を伝える・伝えないに関わらず、自分が周りにどんな影響を及ぼしているのかに意識を向けておく必要があります。もし敵を作ってしまった場合、大きく3つの視点から考える必要があります」
1.仕事に実害がある場合は、しっかり向き合い、対応する
「仕事上の関係では必ず利害を考える必要があります。利害を考えたとき、周りも含めて実害が大きい場合は、どれだけ苦しくともその敵や状況と向き合い対応する必要があることは言うまでもありません。誠意ある謝罪をする、丁寧な説明を重ねて誤解を解くなど、状況に応じた誠実な対応が大切です」
2.仕事上実害がない場合
(1)大局的に考えて推移を見守る
「仕事上の実害がない、もしくは少ない場合は、大局的な視点から『敵をつくっている状況』を考えることも大切です。仕事で自分がこれから進みたい方向を考えたとき『目の前の状況はしっかり向き合い、対処すべきことなのか?』『やむ得ないことなので、こちらからの積極的な働きかけがなくても大丈夫ではないか?』など、仕事に実害がなく、状況によっては気にしないで済むことであるなら、しばらく様子を見守りながら目の前の本来やるべきことに集中することも必要です」
(2)「時間が解決」あえて何もしない
「(1)と同様に、状況によっては、どんなに働きかけても逆効果になることもあります。その場合、解決するには時間が必要と割り切り、あえて何もせず目の前の本来やるべきことに集中することが大事になります。
敵を作ること自体は悪いことではありません。本音を伝えることにより、当然、そこには共感や反発など、感情的な要素が絡んでくることは仕方ありません。また互いに誤解や勘違い、未熟さなどさまざまな要素も関わっている上でのことです。時間が経過し、互いの成長があって、はじめて解決できることもあります。つまり静観する姿勢も大切だということです」
本音を言いたいけれど言えない、と悩んでいるなら、今回紹介されたことを参考に、メリットやデメリットなどさまざまな角度から考えて取り組もう。
【取材協力】
内海 賢(うちうみ まさる)さん
株式会社コーポレート・エデュケーション代表取締役
ことのはラボ パートナー
iWAMプロフェッショナルズ 営業本部長
(株)日本能率協会マネジメントセンター パートナーコンサルタント
ことのはトレーナー養成講座
https://kh-labo.com/training/
取材・文/石原亜香利