石川氏:ソフトバンク関係者と、ミニモンスター(おうち割 光セットを適用すると1GBまでの仕様で1年間1980円の月額料金になる、使った分だけ支払うお手軽プラン)は不要じゃないですか? という話をしたんです。あれってユーザーの利用実態に合ってないじゃないですか。
2GB以上はウルトラギガモンスター+(動画SNS放題。新規契約・機種変更で12か月間が月額3480円のプラン)の方が得だし、いらなくないですかと聞いたんですが、以前、総務省が1GBから使えるプランを作れと言ったから、そのためにミニモンスターができたんだそうです。
料金は2019年2月10日現在。料金の詳細はソフトバンクほか各社のHPを参照
https://www.softbank.jp/mobile/price_plan/
NTTドコモ
https://www.nttdocomo.co.jp/mydocomo/payment/
au(KDDI)
https://www.au.com/mobile/charge/?bid=we-we-gn-2003
総務省がうるさく言うと、結果、わかりにくい料金プランができてしまうという弊害が、ここにも見えてきたりする。たぶん、KDDIも同じ理由でやらざるを得なくてピタットプランができたし、ドコモの現状の階段プラン(ベーシックパック)も、それが影響してる。わかりやすいプランを作る上で、総務省が邪魔をしてるというところもあるんじゃないのかなって気はしています。
ソフトバンク株式会社 代表取締役 社長執行役員 兼 CEO 宮内 謙氏
【参照】
スマホの通信費が下がってもユーザーは損する!?菅官房長官「携帯電話料金4割値下げ」発言の不都合な真実
なぜ総務省モバイル研究会の有識者は理解が足りないのか?
法林氏:しかも階段式は、一番下の段だと制限がかかる。あまり料金プランとして良くない。階段式は理にかなってはいるんですけど。
石野氏:理にかなっているんですけど、何も考えずに契約すると、知らない間に料金が上がってしまうので、それはそれでクレームの元になるというか。僕らは納得して、まあしょうがないな、5GB使っちゃったんだからといって5GB分を支払うんですけど、詳しくないユーザーからすると、なんで今月だけ7000円になっているんだよ、みたいな話になっちゃう。
石川氏:そうなると、使い放題の方がみんな安心。今のソフトバンクのプランは、いろんなサービスがカウントフリーになっている、しかも50GB使い放題で、スマートフォンをいっぱい使う人からすると、そっちの方が安心だし、何も考えずに使える。これから5Gの時代になっていくと、もっと高速・大容量の通信に進化していく中で、使い放題がこれからのトレンドになっていくんじゃないかなって気はしますね。
法林氏:階段式は結局、従量制じゃないですか。それって時代からすると完全に逆行してる話。かつてKDDIが何のために「EZフラット」(定額制サービス)をやったのか、なぜ「パケ・ホーダイ」みたいなパケットの使い放題サービスが誕生したかというと、従量制だとみんな安心して使えないから。使い放題プランを作って、安心して使えるでしょとやってきたわけなので、今さら階段式をやっても、理にはかなっているけれども、やっぱり使いにくいかなと。
房野氏:通信と通話って、料金を分けなきゃいけないものなのですか?
法林氏:サービス内容が違うので難しいですね。ただ、海外のプランを見ていると、途上国と先進国で大分違いはありますが、通話に関しては、かけ放題みたいなものが結構多いのと、意外にSMSは一定数まで基本料金の範囲内に含まれているケースが多い。日本がSMSを分けてるのはちょっと疑問。
石野氏:あと、日本のように通話を3タイプから選んで、データ通信料をさらに組み合わせてという、こんな複雑なパターンは少ないですよね。通話を従量制にしている海外のキャリアは、ほぼなかったりする。
石川氏:結局、歴史は繰り返している。カケホーダイが出た時は確か、カケホーダイ一択だったじゃないですか。そのうち、5分までの安いカケホーダイを作りましたとか、シンプルに戻しました、みたいになってしまった。本当はシンプルに1本化したいんだけど、ユーザーニーズを満たそうと思うと細分化される。
法林氏:ユーザーじゃない、総務省のニーズ。総務省のニーズを満たそうとすると、細分化せざるをえない。
石川氏:今回もそんな状態で、本来であればシンプルに1本しかなかったところが、また細分化されていってしまった。プランがいっぱいできたら、「分かりにくい、もっとシンプルにしろ」って総務省に言われるし、シンプルになったらシンプルになったで、「これじゃユーザーのニーズを満たしていない」と言われて、どんどん細かくなっていく。その繰り返しでしかない。たぶん、これからまた揺り戻しがあるんじゃないかなという気はしますね。
石野氏:通話料金が従量制とか、もう時代遅れな感じがします。
法林氏:今年だっけな、固定回線でうわさがあるよね。
石川氏:何でしたっけ?
法林氏:距離課金をやめる。
石野氏:まだ続いていたのか。
法林氏:結構厄介な話もある。中継サービスとかが不要になってしまう。
石川氏:うーん……まあ、意味ないですよね。
法林氏:今、中継サービスを使う人はほとんどいないですけどね。
石川氏:うん。LINEでいいじゃんって話もあるし。
法林氏:携帯電話でかけちゃうし。
房野氏:固定の電話のことなんですね?
法林氏:そう。交換機のアナログ回線のサービスが、たぶん数年以内に終わるんです。
房野氏:アナログ回線って、まだたくさん残っているんですね。
法林氏:アナログ回線は普通にありますよ。ウチもまだ一本残してあるし。だから今後、サービス終了に向けて、ユーザーにどうやってサービスを変更してもらうかという課題もある。家の固定電話がだんだん使われなくなってきている。ひかり電話も多いですけど。そういうものも絡んで、通信行政全体に関して、変わるタイミングになってきている。固定電話に関しては、確か交換機がもうメンテナンスできないとか、そんな話だった気がする。後ろ側を全部IPにしちゃうという話。