「退職勧奨」だったらどうするか
宇野さんによると、「明日から来なくていいよ」は「解雇ではない」と否認された場合であっても、「退職勧奨」の可能性もあるという。
「退職勧奨とは、『退職を勧めただけ』という意味です。もし念押しをして『解雇するなんて言ってないよ、やる気が今一つ感じられないから、退職を勧めただけだよ』と相手が言ってきたら、退職勧奨です。本音では労働者自ら退職を願い出るよう仕向けるテクニックとも言えるため、これにのってしまうといつのまにか退職届を出してしまって自ら辞めてしまったということにもなりかねません。
解雇、つまり会社都合ではなく、自己都合の退職は、失業保険の給付日数と額の条件が下がりますし、解雇予告手当も支給されません。金銭面でも精神面でもマイナスになってしまうことから、退職勧奨には『いえ、辞めません』ときっぱりと伝え、応じない姿勢を貫くことがポイントです。その後、パワハラめいたことで退職強要してくることもありますので、その場合には専門家に相談しましょう」
「明日から来なくていいよ」と言われたら、まずは状況をしっかりと見定め、軽はずみな言動は避けることが大切だ。今回紹介された対応法は、あくまで基本的なことになる。もし遭遇したら、ケースバイケースで解決策は異なるため、その都度、専門家に相談するなどして慎重に行動するのをおすすめする。
【取材協力】
宇野紳一さん
群馬県在住、職場の人間関係解決コーチ、社会保険労務士、群馬県働き方改革アドバイザー、研修講師(人材育成・コミュニケーション・人事労務管理)主な著書に『職場の人間関係解決コーチング』『部下指導コーチング』『「明日から来なくていい」と会社から言われたら読む本』(Amazonkindle)がある。
公式ブログ:https://ameblo.jp/hrs-sharoushi-coach/
取材・文/石原亜香利