ライオンとは違って繊細なチーター
その点、チーターは真逆です。「チーターの飼育の時は気持ちをしっかり切り替えて、作業をするように」と、担当に就いてすぐ先輩に言われました。チーターはライオンと違い、自分よりも体の大きい生き物を襲わない。餌の対象として見ないのです。
人がヘンな動きをすると逆に怖がる。だからチーターの前では急に走ってはいけないし、大声は絶対に出してはいけない。身長180㎝近い僕が急にチーターの前に姿を出すだけで、嫌がる様子がわかります。ライオンとは違ってチーターは繊細でデリケートなんです。
また一回嫌な目に会うと、それを覚えているみたいなんですよ。担当になってすぐの頃、運動場からなかなか獣舎に戻らない個体がいて。飼育員何人かで運動場に出て、そのチーターを獣舎の中に追い込んだことがあった。それ以来、その個体は僕のことを嫌っているというか。
獣舎に戻れば餌の肉があると教え込んで、運動場から戻るように飼育するのですが、そのチーターは「お前、本当に餌くれるのか?」って感じで、怪しむような、疑い深そうな目で僕を見ている気がする。獣舎の中の移動も、僕が担当だと動作を鈍くなるみたいなんですよ。
百獣の王と言われるライオンとは違い、野生のチーターは狩った獲物を他の肉食獣に取られたり、子供も他の肉食獣に食べられたりして。成獣になるのは5%程度だと言われています。
その上、チーターはけっこう病弱なんですよ。だからいつも細心の気配りが必要になってきます。
チーターの飼育の奥深さと、繊細なチーターの心模様については、後編で詳しく。
動物園の赤ちゃん秘蔵ショットを公開!
多摩動物園ではアニメでも人気のサーバルの赤ちゃんを1月17日(木)より公開中!
誕生日 平成30年11月28日
撮影日 平成30年12月25日
取材・文/根岸康雄
http://根岸康雄.yokohama