■連載/あるあるビジネス処方箋
今年最後となるが、私がちょうどいま、ぶつかっている問題があるので紹介したい。
私はフリーランスの立場として出版社や新聞社、広告会社、IT系の会社と仕事をする。
担当者と内容や時間などを調整しながら、様ざまな記事や冊子、本などを書く。きわめて優秀と思える担当者がいる一方で、依頼や指示がころころと変わり、結局、何を求めているのか、わからない担当者がいる。まさに今、その事態に出くわしている。このようなことは頻繁に起きる問題ではないが、1年で通算5~10件ほどになる。その5~10の事例に共通していることを紹介したい。実は、会社員が日々の職場でぶつかるも問題でもあるのではないだろうか。
まず、前提としていえば、依頼や指示がころころと変わり、結局、何を求めているのか、わからない担当者は、そのほとんどが小さな会社(正社員数100人以下)や歴史の浅い会社(創業5年以内)、中堅・大企業でも業績が伸び悩む会社にいる。大企業で、業績がぐんぐんと伸びる会社は私が知る限りでは少ない。
上司のマネジメント力に問題がある
担当者の指示がころころと変わる背景には、その担当者の上司の存在がある。たとえば、担当者は上司と徹底して具体的に深く詰めることなく、双方であいまいな考えのまま、外部のフリーランスなどに仕事を依頼する。実は、担当者は上司と話し合いをある程度はしたのかもしれない。
しかし、このような会社は上司の仕事力が概して低い傾向がある。本来は、自分の考えを時間内でわかりやすく、部下に伝え、理解させたうえで、外部のフリーランスなどに依頼する流れや仕組みをつくるべきなのだ。これが、いわゆるマネジメントといえるものだ。だが、上司のこのマネジメント力が低い。結局、部下である担当者の考えもまとまらない。そこでそのまま、とりあえず、外部に発注することが少なくない。
上司と部下の関係に課題がある
上記のような上司と部下の間の意識の差が生じるのは、日ごろから双方の間で
向かい合い、納得いくまで話し合う機会が少ないためでもある。ふだんの関係づくりができていない中、仕事のときだけに突然、話し合いをしたところで、ムリがあるのではないだろうか。そのためには、会議やミーティングも今まで以上に密度の濃いものにする必要があるはずなのだが、なかなかできていない。小さな会社や業績の悪い会社は社員の定着率も概して低いために、そのような仕組みをつくることができない。
さらには、上司になる基準、つまり、昇格基準があいまいであり、厳しい査定のもと、管理職になっていない人もいる。こういう人が部下を持ったところで、部下としては苦慮することがあるのではないだろうか。