9000系-車両のリニューアルが進む-
1993年1月11日にデビュー。アルミ車体ながら塗装が施されたほか、車体幅は8000系より30ミリ短い2900ミリとした。
車内は床面高さを10ミリ下げ、天井高さを20ミリ上げることで、高さを2230ミリに拡大(8000系は2200ミリ)。空調のマイコン制御化と除湿機能の新設により、快適性をさらに向上させた。
9000系リニューアル車は、2016年にグッドデザイン賞を受賞。
2007年より塗装変更、2012年度から機器更新が行なわれた。そして、相鉄グループのデザインブランドアップ施策の一環として、2016年4月10日にリニューアル車の営業運転を開始。客室のインテリアデザインや前面デザインが変更されたほか、塗装もYOKOHAMA NAVYBLUEに一新された。2018年まで7編成中5編成がリニューアルされ、2019年には第6編成に着手。残る未更新車は第1編成のみとなる。
村松課長代理によると、9000系のリニューアルにあたり、特に議論されたのはボックスシートだという。乗客のあいだでも賛否両論があるそうだ。
「残すんだったら、グレードアップした雰囲気のある場所(車両)にしましょう」
という結論に達し、リニューアル車のボックスシートは、スコットランド製の本革を採用。併せて背ずり部分も大型化され、簡易個室のような空間を作り上げた。
「革張りにしてから、“クロスシートに坐りたい”と言って、電車が着いたら、セミクロスシートの停止位置ではなかったので、ダッシュして乗り込む人がいるそうです」
9000系リニューアル車は好評で、特にボックスシートに興味を持つ人が多いそうだ。
取材時は何気なく聞いていたが、原稿の確認中、「ダッシュして乗り込む=駆け込み乗車」に気づいた。事故防止のためにも、乗車後、落ち着いて5号車、もしくは8号車に移動することを乗客や読者の皆様にお願いしたい。
ほかに乗客から好評を博しているのは、夕方以降の室内灯で、白色から電球色に変わる。村松課長代理によると、「夕方になると電球色でムードがいいらしい」とのこと。後述の20000系、12000系とも調光調色機能が採用されている。
10000系-21世紀初の新型車両-
JR東日本E231系通勤形タイプをベースに、相鉄版にアレンジした車両で、2002年2月24日にデビュー。自動窓、車内の鏡、台車の外側に設置されたディスクブレーキ、直角カルダン駆動といった、“相鉄の伝統”を廃したほか、座席はロングシートに統一された。また、UVカットガラスの採用により、ブラインド(カーテン)も省略された。
相鉄初採用はステンレス車体、運転台のワンハンドルマスコン(左手操作)、ボルスタレス台車(先述のディスクブレーキは台車の内側に搭載)、平行カルダン駆動方式である。極力E231系通勤形タイプに合わせることで、導入コストの低減を図ったのだ。
車体幅は8000系と同じ2930ミリ、床面の高さは9000系より25ミリ下げた1165ミリにすることで、車内の高さが2268ミリに拡大された。