「相鉄」こと相模鉄道は、本線といずみ野線の2路線を有する大手私鉄で、電車が398両(2018年3月31日現在)在籍するほか、歴史に名を刻んだ名車がかしわ台車両センターに保存されている。その車両たちを2回に分けて、余すところなく御紹介しよう。
7000系-「相鉄の伝統」と「昭和の雰囲気」を融合-
相鉄運輸車両部車両課の村松健太郎課長代理によると、自社車両は基本的に1000系、2000系といった具合に、一番上の位を「何番目の車両」と位置づけているという(例外あり)。なお、4000系は“大人の事情”で見送られ、初代5000系が“4世代目(通算4番目)の車両”として産声をあげた。
現役最古参の7000系は“6世代目”の車両にあたり、1975年9月29日にデビュー。車体は軽量性に優れたアルミを採用することで、従来車と同じ抵抗制御(列車の駆動力を作る機器)ながら、消費電力の低減が図られた。また、当初から冷房を搭載し、旅客サービスにおける快適性が大幅に向上されている。
前面デザインは新6000系から続く、トトロっぽい顔立ちが特徴の相鉄顔。当時、一部の私鉄では同じ顔をした車両が多く、“「昭和」という名の時代”を感じさせる。
車内は「相鉄の伝統」や「昭和の雰囲気」が色濃く残る。
☆相鉄の伝統
○自動窓
乗客に対するサービス向上のほか、乗務員や清掃員が行なっていた窓閉めの省力化を図るため、ボタンを押すと自動で窓の開閉ができる。ツマミで操作するタイプに比べると、当然のことながら使い勝手が良い。
また、乗務員室には一斉に自動で閉める装置もあり、営業運転中は使用しない。
村松課長代理によると、自動窓は手動で開閉ができないほか、メンテナンスも相当な手間を要するという。
○鏡
車内には縦長の鏡が設置されている。これは初代5000系から現在まで後述の10000系、11000系を除き装備されているアイテムで、“横浜にお出かけになる際、身だしなみが整えられるように”という、相鉄からの思いやり。将来、後述の20000系や12000系では、他社線でも身だしなみチェックができそうだ。
○台車の外側に搭載されたディスクブレーキ
こちらは車外の話。鉄道車両では珍しく、ディスクブレーキが台車の外側に搭載されている。長年にわたり、直角カルダン駆動を採用し続けていたからで、ある意味、“相鉄車両の象徴”と言えよう。
☆昭和の雰囲気
○円形の予備灯
昔の車両は、室内灯とは別に円形の予備灯が設置され、非常時にはオレンジの光が灯っていた。現代の鉄道車両は、室内灯の一部が予備灯も兼ねている。
○扇風機
昔の車両は冷房なしが当たり前で、暑い時期は窓開けと扇風機もしくは送風機でしのいでいた。その後、冷房と扇風機の両方を搭載する車両も現れた。併用することで、より涼しい車内を乗客に提供していたのだ。
7000系で特筆すべきなのは、車内に扇風機のスイッチがあり、乗客の手で操作できること。これも相鉄からの思いやりだ。
そうにゃん吊り手はリニューアル車などを除き、設置されている。
さて、7000系は40年以上にわたり活躍が続いているが、新型車両の投入で廃車が進み、現在は2編成在籍。カウントダウンが近づきつつあるようだ。