『JR東海&16私鉄 乗り鉄☆たびきっぷ』を使って、さっそく鉄道の旅に出てみた。今回は新幹線で豊橋に入り、そこから浜松や掛川周辺を巡ってみることにした。最初の目的は豊橋鉄道、愛称〝豊鉄(とよてつ)〟の市内線、東田本線に乗車することだ。
実はこの東田本線、東海三県で唯一の路面電車。豊橋駅の駅前、その名も「駅前」電停から「運動公園前」行きに乗車。運賃は全線均一で、大人150円、子供80円となっている。よくみると、この電停には「ビール電車」と「おでんしゃ」の表示も。これは豊鉄が季節に合わせて走らせているイベント電車の名前。その名の通り、電車の中でビールが飲めたり、おでんが食べられたりするのだ。
この路線、路面電車なので、当然、交通渋滞などの影響を受ける。そこで、「のってみんりん」というサイトにアクセスすると、運行状況をリアルタイムで確認することができるようになっている。状況がわかれば時間も計算できるし、イライラも少なくて済むというわけだ。また、どの形式の電車が来るかがわかるので、乗りたい車種がある人には便利だ。
女性運転士の方の操車で、電車に揺られること数分、「市役所前」電停に到着。周りを見渡すと、そこには……、
1931年竣工の「豊橋市公会堂」がある。この建物、見覚えがないだろうか。TBSのドラマ『陸王』のマラソンのスタートシーンや湊かなえの小説が原作の映画『少女』(2016年)の撮影にも使われた、ロマネスク様式の雰囲気のある建物だ。最近では〝ロケ地巡礼〟で若い女性や親子連れで訪れる人も多いという。
市役所前電停付近を通過する豊鉄車両。ラッピングを施して、動く広告としての役割も果たしている。
「ほっトラム」の愛称で親しまれているT1000形車両。両先頭車に台車があり、中間車は浮かせているという特徴的な設計になっている。両先頭車右側部床下に主電源機を装架して、ユニバーサルジョイントで台車の駆動軸をつなぐことで、台車上部の床面高480mm(乗降部350mm)、最小通路幅820mmを実現し、交通バリアフリー法に完全対応している。
単線区間に入る前には対向車両と待ち合わせ。一時停車して通過するのを待つ。
競輪場電停のそばには豊鉄の営業所があり、2本の留置線が引かれている。交通量が多い道の脇に車両が留置されているなんて、ほかの場所ではなかなか見ることができない風景だ。