石野氏:MWC 2018でNokiaが「バナナフォン(Nokia 8110 4G)」を展示していたりとか、回帰の動きはグローバル全体であって、その中で日本がやったということと、ドコモは回帰しすぎて京セラに端末を発注しちゃいましたから。
法林氏:京セラはかつてドコモにデータ端末「DataScope(データスコープ)」を納入して、それを知っている人はほとんどいないけれど、何十年ぶりかで話題が出て……。
房野氏:カードケータイは京セラ製なんですね。
法林氏:たぶん、前から京セラがドコモに再参入する話はあったみたいなんですよね。データスコープ以来、20年ぶりなんですよ。
石野氏:「TORQUE」を収めようとして失敗したりとか。
石川氏:カードケータイは、本当はZTEとかに作らせたかったのかもしれないけど、技術的に作れなくて京セラになったんじゃないか、みたいな。
法林氏:あのスケジュールのタイミングを見ると、ZTEには発注できないよ、怖くて。イランに輸出したことでアメリカから制裁を受けた一件もあって会社が危ういところだったので。今はとりあえず息を吹き返しているけれど。
石野氏:ワンナンバーフォンはちょっと怪しいなと思った。本当は夏モデルだったんじゃないかという気がする。確認したわけじゃないし、分からないですけど、あんな、いかにもな携帯電話を2つ、この時期に出します? この時期に出したら、カードケータイにワンナンバーフォンを入れろと言われちゃうじゃないですか。それを分かっていて、あえて出すかという気がちょっとして。あれ本来は夏モデルで、ドコモは毎シーズン、ああいうケータイに取り組んでいますよって言おうとしていたのに、ZTEがBANされそうになってしまって開発が頓挫し、8月くらいから活動再開して、なんとか発表に間に合った、みたいな感じがする。
法林氏:ちょっと微妙な感じだよね。
房野氏:ワンナンバーフォンがiPhoneに対応できないのはどうしてなんですか?
石野氏:アプリがないのと、あと、アプリを対応させようとすると、Bluetoothのプロファイルとかを全部書かないといけないんじゃないかな、iPhoneの場合。
法林氏:たぶんそう。
石野氏:そうすると、開発が大変だということなんじゃないかな。
法林氏:たぶん、Bluetoothだけでは動かないはず。
石野氏:まずBluetoothで接続して、番号を書き込まないといけない。そのBluetooth接続が、iPhoneって結構プロファイルが限られちゃっているので、対応させようとすると全部開発しなきゃいけない。なおかつApp Storeの審査も通さないといけない。Apple的にも、Apple Watchがあるのに、ワンナンバーフォンの審査を通していいのかみたいな話になり、いろいろ面倒なことがあるんじゃないかな。
房野氏:ライバルはApple Watchということになるんでしょうか。
法林氏:うーん、微妙。
石野氏:Apple Watch的な機能ですけどね。
石川氏:iPhoneにはApple Watchがあるから、それに代わるものとしてワンナンバーフォンを出したという感じがするけれど。
法林氏:カードケータイは法人向けだよね。
石野氏:ワンナンバーフォンはモノクロの有機ELが、シャッター速度を上げるとちゃんと写らないんですよね。シャッタースピードが1/100秒を超えていると文字が欠ける。
法林氏:カードケータイは電子ペーパーなので、現状ではできないけど、社員証とかを貼って使うという発展も、なくはない。
石川氏:あれにFeliCaが載ってくれたら最強。Apple WatchもFeliCaがあるじゃないですか。自分の場合、子どもを保育園に送るとき、iPhoneを家に置いて、Apple Watchだけ着けて自転車で送り、帰りにコンビニに寄って買い物をして帰ってくるという感じなんですよ。カードケータイなり、ワンナンバーフォンでも、そういった使い方ができるようになると、すごくいいなと思うんです。
石野氏:カードケータイとワンナンバーフォンを1つに合体させてFeliCaを載せ、そうしたら5万円くらい払ってもいいかな。
房野氏:eSIMありきの端末なんですか?
石野氏:ワンナンバーフォンはeSIMですね。
石川氏:カードケータイは普通のnanoSIM。
石野氏:カードケータイを欲しいなと思ってドコモのサイトを見ていたら、一括で3万円払うと月々の維持費が800円程度なんですよね。2GBまでデータを使えるし、これ4割安いどころじゃないじゃんって。
石川氏:ケータイの料金なんでしょ?
石野氏:そうです。だから通話料も安いんですよ。シンプルプランが選べて、データ通信は段階制ですごく安い。1回線追加してもいいくらい維持費が安い。
房野氏:ワンナンバーフォンの月額500円の利用料はどうですか?
石野氏:ちょっと高いんですよ。auとかは350円。150円の違いですけど、auより3割くらい高いといえる。官房長官に目をつけられないようにしないと(笑)
石川氏:そうね、やっぱり300円台にしたいですねぇ。
法林氏:ドコモはドコモで突っ込みどころがあるし、auはauで突っ込みどころがあるし。昔、iモード、spモード両方契約しても料金は変わらないっていうことがあって、ドコモはうまくお金の負担を増やさないようにしているんだけど、新規にやるときは今回のワンナンバーフォンみたいに、ボンと乗っけちゃうみたいな感じがある。auは逆に、LTE NETとLTE NET for DATAと別々に契約しなくてはいけなかったりとか。そのわりにはApple Watchのナンバーシェアは月額350円で済んだりするし。一長一短ですね。
石野氏:LTE NET for DATAがないと、auはSIMフリー端末が使えないですからね、表向きは。