働き方改革を実施する企業が多い中、人事評価制度を改善したことで、見事、残業時間削減や給与アップなどを実現した優良企業がぞくぞく出てきている。その中でも、2018年9月27日に開催された「あしたの人事評価アワード2018」で表彰された企業の事例を紹介する。いずれも働き方改革としての生産性向上の成果を出した事例だ。
1.社員の猛反発に耐え抜き年功序列型の報酬体系を脱却!
最優秀賞を受賞した三木特種製紙株式会社は、創業70 年を超える老舗企業。旧来の年功序列型の報酬体系を脱却し、新たに導入した人事評価制度で部門間のコミュニケーションの活性化、生産性の向上、業績の向上など働き方改革における多くの結果を出した。
優秀な若手社員がいても年功序列が給与を上げられない中、社長は個人の成果が給与に結び付く人事評価制度に踏み切った。とはいえ、長く続く制度はそう簡単に変えられるものではなかった。労働組合に納得してもらうのに時間がかかった上に、「マイナス査定」の存在を知り、「賃金を下げるためにこの制度を導入するつもりでは?」という不信感を抱いた社員から詰め寄られたこともあったという。
さらには、50代のベテラン社員が最初の説明会で机をたたきながら「こんなこと、やってられるか!」と怒るシーンもあったそうだ。しかし、一年後にはその社員が自部署の成功事例を発表するまでになったというのには驚く。
毎月、上司と部下が面談する制度であるため、必然的にコミュニケーションが活性化し、飲みニケーション減少により広がっていた溝も埋まったという。
人事評価制度を見直すことで、社内活性化にもつながったようだ。旧来の制度を覆すには、それなりの覚悟が必要。しかし社員の猛反発の先には、大きな変革と明るい光が差し込んだ。
2.社員と評価者との面談等でパフォーマンスアップ!30%残業時間削減を実現
事業承継部門で表彰されたグリーンライフ産業株式会社は、福岡県福岡市に本社を構えるエクステリア・ガーデン事業を主に行う会社だ。
先代から事業を承継して3年目を迎え、成果主義からあした式人事評価制度に移行したことで、プロセスの評価と社員育成の仕組み化を実現した。従業員数は3年間ずっと75名と同じ人数だったが、2016年は一人当たりの残業時間は月60時間だったところ、人事評価制度を変更した2017年は45時間、その次の年の2018年は40時間と30%削減に成功している。
その背景には、パフォーマンスアップがあったという。残業しなくてもパフォーマンスは出せるということで、社員の能力が向上していったそうだ。大きかったのは、面談で社員と評価者が一緒に行動目標を立て、フィードバックをすることだった。特に評価者の能力向上が目立ったという。