少々、仕事が忙しくとも、上司から「新たな仕事をするように」と指示を受けたり、仕事の大きなミスをすればある程度、叱られることは仕方がないこと。上司が厳しく教え込まないと、一定のスピードで仕事を覚えることができない場合があることも事実だ。
しかし、日々の中でのやり取りの中で、上司から厳しく言われたり、バカにした口調で聞かれると、無性に腹が立ち、「いい加減にしろ!」とキレかける言葉がある。少なくとも、私は20?30代の会社員の頃、上司が浴びせる言葉に心の底からキレそうになったことがある。
今回は、そのような経験をもとに、部下が思わずキレそうになる、上司の言葉を5つ紹介したい。なお、職場でキレることは極めて問題であり、会社から制裁を受けたとしても、反論はできないものであることを心得ておく必要がある。キレるようなことは、くれぐれも避けていただきたい。
■「言ったよね?」
部下の仕事のレベルが自分の求めているものではない時などに、上司が大きな声でよく言い放つ言葉だ。「言ったよね?」を言い換えると、次のようになる。「上司である自分は、部下であるあなたにきちんと指示をした。ところが、あなたはきちんと聞いていなかった。つまりは、あなたに落度があるということだ(そして、上司の私には何ら問題はない)」。
要は、自らの仕事の指示などを正当化するための言葉なのだ。かくいう私も、会社員の頃、数えきれないほど、言われた。もちろん、出来が悪かったからかもしれないが、何度もキレそうになった。当時を思い起こすと、上司は私に明確な指示をしなかったため、自分の判断で進めた状況が多かった。しかし、上司はそれが気に入らなかったのだろう。そこで、彼が口にしたのが「言ったよね?」だった。
確かに、落ち度はあったのかもしれない。上司と念入りに話し合ってから指示を仰ぎ、仕事を進めるべきだった。ただ、言い訳に聞こえるかもしれないが、私の場合いつも上司は忙しかったため、話し合う時間もなくなり、仕方なく自らの判断で進めた。経験論でいえば、上司の「言ったよね?」という言葉は、そんな部下の思いをすべて否定するものになり、上司の側にも落ち度はあるはずなのにそれが消えてしまう。そこに、部下としての怒りが生まれるというわけだ。
■「聞いてないぞ!」
これと、前の「言ったよね?」は、表裏一体の関係にある。部下の仕事を隅々まで掌握していないと気がすまないタイプの上司が口にしやすい言葉だ。この手のタイプは、部下の仕事に中途半端に介入し、かき回し、無責任な形で消えていく。部下が怒りを覚えつつも必死で堪え、その仕事を何とかこなして報告をする。すると、上司から「(そんなことは)聞いてないぞ!」と言われてしまう。そんな経験をした方も多いだろう。
これも会社員の頃の私の経験でもあるが、心の底からキレそうになる言葉だ。この言葉は、「上司である自分は、部下のあなたが勝手にそんなことをするということに関して、了解した覚えはない。部下であるならば、俺の指示通りに動け!」といった意味を含んでいる。実は30代半ばだったと思うが、私は「そこまで言うなら、上司としてきちんと明確な指示を出していただきたい」と、上司に反論して、逆に激怒させてしまったことがあった。