今回は、40?50代の人で、昇格が同世代の中で遅れ、いわゆる「出世コース」から外れている社員の共通項を紹介したい。ちなみに、私の同世代は40代だが、社員数が100人以下の会社では、すでに役員になっている者がいる。一方で、社員数が1000人以上の大企業となると、部長になっている人は少ない。その意味で、部下が10人もいる部長なら「同世代の中でも昇格が速い」といえるのではないだろうか。社員数が1000人以上の大企業で、40代半ばで執行役員になっている者は10年以内に取締役になり、社長のポジションを狙えるに違いない。このように、出世コースに乗れる人は同世代のうち、だいたい1割以内で、残りの9割は、自らの処遇(人事評価)について何らかの不満を持っているというのが、これまで様々な企業に取材してきた私の経験から感じることだ。そのような人たちと接していて、気がついたのがある共通項があるということだ。
1.過去の「栄光」にすがろうとする
今の自分に自信がないから、過去の「栄光」にすがろうとする傾向がある。例えば、20代の頃に同世代の中で比較的、大きな仕事を任されていたことや、新卒で入社した直後は期待されていたことなどだ。さらには、学生時代の頃や大学受験に遡ることすらある。彼らには自分では気がついていないのかもしれないが、盛んに過去のことを話す癖がある。まだ40?50代だが、70?80代の人と同じようなことを口にする。決して、現在を冷静に見据えようとしはしないのだ。自分がなぜ、昇格が遅れたのかを考えようとしない。本来は、何かの理由があるはずなのだが、それを直視しないのだ。だからこそ、一段と昇格が遅れ、会社にいることがつまらなくなる。
2.同僚への嫉妬が強すぎる
競争で負けたのだから、少々の嫉妬心を持つことはある意味で当然であり、仕方がないことだと思う。しかし、私がここ10年で接してきた、40?50代で昇格が遅れる人は、同世代の出世グループの人たちに、強い嫉妬心を抱いているケースが多い。率直な印象でいえば「強すぎる」と思えるほどだ。例えば、挨拶すら、出世グループの人としない人がいる。社外のスタッフである私が見ていても、あまり気持ちいいものではない。同じ職場にいる社員なら、もっと滅入るだろう。現状を素直に受け入れることができない気持ちはわかるが、周囲の目があることを忘れてはいけない。表向きはライバルを称え、大人気ない言動は慎むべきだ。嫉妬心を持ち続けると、自分の心や意識が悪い方向に向かう。現状が悪化することもありうる。