会社員であるなら時には、上司が自分のことを本当に育てようとしているのか、考えることも必要だ。わざわざ同僚と話し合うことではないが、自分自身で思いを巡らせておくのもいいだろう。私も新人の頃、すべての上司が部下をきちんと指導し、育て上げようとしているものだと信じていた。しかし、記者になって、企業を数多く取材しているうちに、必ずしもそうとはいえない場合があることに気づいた。
例えば、部下を育成する力がない人がいるし、部下を育成しようという意欲に乏しい人もいる。残念なことだが、いじめやパワハラに近い行動をとる人もいる。そして「おまえはダメだ」「君にできるわけがない」と言い放ち、部下を徹底して否定する人。この「否定する」という行為は実に問題があるわけだが、問題視されていない場合が多い。そこで今回は私の経験を含め、距離を置いたほうがいい上司の特徴について紹介したい。
1.モチベーションが萎える言動をする
「君はダメだ」「君にできるわけがない」などと繰り返し言われると、多くの人はやる気を失い、意気消沈していく。もちろん、ミスをした場合、上司は何らかの指導をするべきだろう。ところが、中には「指導」とは言い難い言動をとる人もいる。周囲からみても、いじめにしか見えないものがあるのも事実だ。こういう人の下にいては、いずれ働く意欲が萎えてしまうだろう。
私が「意欲」を重視するのは、仕事に限らず、私生活を含め、人が生きていく上でとても大切なものと考えているからだ。仕事で「もう、俺はダメだ」と思ってしまうと、本当にダメになっていく人も多い。上司がそこまで心得て発言しているのかどうかは、ケース・バイ・ケースだが、部下のモチベーションを萎えさせることは大問題だ。
2.職場で孤立させられる
上司が部下を皆の前で「君では無理だ」などと否定すると、当然、職場で孤立しやすくなる。同じ部署にいる同僚は、「御身が大事」であるからなのか、大抵は上司の側につくものだ。かつて私が所属した職場でも、上司に対し「そんなに否定ばかりしないでください」と反論する部下はいなかった。おそらく、ほとんどの企業でそうではないかと思う。だが、もし職場で孤立してしまうと、仕事に関する情報などが入らなくなり、一段とやる気を失ってしまう。そして、仕事を覚える、処理するスピードは遅くなり、ミスも増えるかもしれない。こうなるとますます孤立してしまい、悪循環に陥るのは必至だ。