■連載/あるあるビジネス処方箋
上司が部下に「バカ野郎!」「この野郎、マジメに仕事をしろ!」と罵声を浴びせるのは、パワハラであり、けっして許されることではない。しかし最近は、逆にソフトな物言いで、部下に脅しを仕掛ける上司が増えてきたようだ。今回は、私が会社員の頃や、取材の時に聞いた話の中から、よく耳にした言葉を紹介したい。あなたの上司も、こういう言葉を口にしていないだろうか。
1.「評価が下がるよ」
「君の(人事)評価は下がるよ」。つまりは、自分に従わないと、部下であるあなたの評価を下げるから、もっと自分に気を遣うように、と言っているのだ。一言でいえば、これは“脅し”である。上司の中には、部下として意見すら言わせない人もいる。それは特に経験の浅い上司に目立つ。部下であるあなたは不愉快だろうし、怒りすら覚えるだろう。だが、冷静に考えたほうがいい。部下が意見を言ったぐらいで逆上し、「君の評価は下がるよ」などという言葉で抑えつけようとする上司と、深い話し合いなどできるのだろうか。「このレベルの上司なんだ」とあきらめて、冷めた目で見ていればいい。そもそも、上司に過剰な期待はするべきではない。そんな時は、以前に書いた本連載の「上司から理不尽な扱いを受け続けた時に部下がとるべき最終手段」を参考にしてほしい。
2.「ここにいられなくなるかもしれないよ」
言わずもがな、「上司である自分に反抗するならば、この部署から他の部署に追い出すぞ」という意味である。“あなたを生かすも殺すも、上司である自分次第。だから、きちんと従え”と言いたいのだ。これもまた、脅しであり、ダメな上司が使う常套句である。部下であるあなたは憤りを覚えるかもしれないが、まずは冷静になろう。「1」でも書いたが、こんな上司とまともに話し合いをすることなど不可能に近いのだ。「はい」と返事をして、黙っていればいい。心の中で「哀れな人だ」と思い、目の前の仕事を黙々と消化しよう。世の中には、話し合いができる人と、できない人がいる。上司なら当然、話し合いができる人間だ、と信じることにそもそも無理がある。無理に話し合いをしようとせず、相手にしなければ、それでいい。ただし、表向きは合わせておくようにしよう。上司と不必要な議論は常に避けることが賢明だ。